ma-marinの徒然日記-☆素敵にサトシック☆

大野智くんと嵐と猫と映画と美しいものと美味しいものを愛してやまない、シングルマザーの徒然ブログです。

『小暮写眞館』宮部みゆき

2010年07月04日 16時14分38秒 | 読書

読み終わって、顔を洗いました。
洗い終わって、目薬さしました。
それから、歯を磨いて、掃除機をかけました。

昨日、今日の大半の時間を費やして、宮部みゆき著『小暮写眞館』を読了。

読み終わって、しばらく涙が止まらなくて、無性に自分を清潔にしたくなりました。

著者3年ぶりの現代エンターティメントとのことで、発売を知ったのは少し遅れたけれど、新聞の広告でどうしても読みたくなって買ったのが、6月中旬頃。
買って読み始めるのに1週間ぐらいかかって、読み始めても物語に入り込むのにちょっと時間がかかったけれど、4話からなるこの小説の第2話を読み始めてからは、夢中になりました。
それが昨日。
713Pある厚い小説。1話が132Pで終わっているから、600P弱を昨日の午後から今日の15時までの約1日で読んだ計算。
久しぶりに夢中で本を読みました。

宮部さんの作品はどれも、普通の生活をする、でもちょっと普通から外れた、少し変わっているけれど、とても優しい人たちで成り立っていることが多いです。

『小暮写眞館』もそんな小説でした。

主人公は高校1年生の花菱英一くん。
物語の中でも時は流れて、小説が終わる頃は高2の終わりでした。
小さな妹を失った痛みを心の奥に抱えています。
その両親と小さな弟、高校の友人達。
出会う人々、みな心の痛みを抱えながら、周りの人に優しい気遣いで生きてる。
そして、死んだ後も温かく見守るもの。

両親が買った新居が古い写真館で、そのために生じた誤解に近い縁で押し付けられた写真の、そこに写ったありえないものを主人公が解明していく形で物語りは進んでいきます。

作者の人間に対する観察の鋭さと、人間の想いに対する優しさが溢れた1冊。

最終的には主人公が自分の心の痛みと向き合い、成長していきます。
主人公の初恋は切ない別れに終わるけれど、人生の出会いと別れの風景が丁寧に心に残る終わり方。

いろんなことが切なくて、登場人物の優しさが沁みこんで来て、みんなみんな幸せになって欲しくて、いろんな想いが溢れてきて、涙が止まらなくなりました。

泣いた後、心がじーんと麻痺した感じ。
でも、じわじわと暖かくて、今はちょっと脱力状態です。

宮部みゆきさんは、もともと素晴らしい小説を書く方で、大好きな作家です。
3年の間に少し文章のテイストが大人っぽくなった、物書きとしても人間としてもかなり成長されたなって、ファンとして思いました。

素敵な物語でした。


 


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