私自身は、ヴァン・クライバーン国際音楽ピアノコンクールで、
日本人初の優勝をされた時に、初めて辻井さんの存在を知りました。
その時も凄い人だなぁ・・・と思っていたのですが、
今回NHKの特集を見て、ほんとうに感動しました。
ヴァン・クライバーンのコンクールは20日間にわたって
何曲も演奏するという事と、カルテットやオーケストラとも
一緒に演奏するということを知ってびっくり。
普通の人でも大変であろうことを、目に障害のある辻井さんが
やりとげられ、優勝までされたんですから。
それとこのコンクールでは、演奏者の人間性までもが
選考の基準となっているんだそうです。
あまりこういう世界を知らないので、本当に驚くことばかりです。
私が見たNHKの特集では、最終選考に残った他のピアニストの
演奏も見ることが出来ましたが、素人目で見る限り、
自己主張の強い方が多いな~と感じました。
辻井さんが優勝された時に新聞の記事で、
外国のピアニスト達の中には、自分なりの曲の解釈をしすぎる・・・
と言うような内容が書いてあった記憶がありますが、
今回映像を見て、なるほど納得いたしました。
オーケストラとの演奏を見ていると、辻井さんはオーケストラと
本当に一体となって演奏されている感じがするのですが、
他の方の演奏の中には、戦っているように見える方もいました。
きっとそれぞれの個性もあるのでしょうから、
どっちが良いというものでもないのでしょう。
ただ、ピアノに限らないことですが、何か表現する時に、
本当にその人の人間性というのは、にじみ出て来るものだと
つくづく実感いたしました。
辻井さんのインタビューの中で、ご自分には眼の障害があり、
誰かの助けを得なければいけない事が多いこと、
そして、自分を助けてくれる人たちに対する感謝の気持ちを
とても自然に語られていたのが印象的でした。
辻井さんが自分で作られた「川のささやき」という曲を聴くと、
本当にこの方の純粋で素直な心が伝わってくるようです。
目では川の流れる風景を見ることが出来ないのに、
本当にきれいな小川のせせらぎが目の前に浮かんで来るような曲です。
来年から世界中での公演が始まるそうですが、
辻井さんの演奏は、きっといろいろな国の方々にも
感動を与えると思います。