ヒーリングノート[東洋医学 漢方薬 中医学 手技療法(接骨 整骨 整体 カイロプラクティックを除く) 鍼灸(針灸)]

真実は一つ!自然の理にかなった健康情報.
施術所 鍼灸院 治療院 趣味の話題.
※症例は患者様の同医済み.

白内障の東洋医学的手術と鍼灸によるケア

2013-10-27 18:20:46 | 目やまぶた
漢方薬や鍼灸治療で白内障の視力が好転したということがネットで見かけられますが、
今まで治療してきて水晶体の白濁が消失したとか減少させたという経験はありません。
ですが、治療後に目の前が明るくなったとかすっきりしたと言われる場合があります。
これは目に関わる治療点の刺激により網膜の血流が促進されたことによるものだと思います。
カメラでいうと、水晶体はレンズであり、網膜はフィルムやセンサー(CCDや解像度)に相当すると思います。
安価なコンパクトカメラでは、レンズの透明度が低いのでセンサー部分の能力を高めることにより写真の見栄えがよくなります。
白内障でも水晶体以外の部分を改善することにより白内障が改善されたと錯覚するのではないかと思うのです。
45才から水晶体が濁りはじめ60才代では半分以上に白内障が出ていると言われてます。
なので視力の低下の原因が白内障によるものなのかどうかというのはわからない部分もあり、視力が回復するのであれば白濁があろうが漢方薬でも鍼灸でもいいと思うのです。

ですが昔は鍼で白内障の白濁をとっていたようです。
おいおい、言っていることが違うじゃないかと言われるかもしれませんが、古代インドの医学では、白内障が水晶体の混濁によるものであることが知られ、かなり古い時代から鍼をさして混濁した水晶体を脱臼墜下させる手術が行われていて、それが中国に移入され、さらに日本にも伝えられたということで、平安末期の絵巻《病草紙(やまいのそうし)》にそのようすが描かれているようです。
このように東洋医学しかない時代において手術する必要があったということは鍼灸でのツボで完治させることができなかったということになります。
外科手術=西洋医学と思いがちですが、東洋医学にも外科的治療があったわけで、しかも鍼で。

白内障の手術もここ数年でかなり進歩しているみたいです。
昔は全身麻酔で、レンズが入る大きさ(1cm以上)だけ切開していたようですが、最近は、麻酔も目薬で、切開幅も3mm以下となり、日帰り手術も可能になっているようです。
簡単な外科手術の代表が盲腸(虫垂炎)で、眼科では白内障というイメージですが、今や比べものにならないくらいリスクの少ない手術です。

老人性白内障の原因には諸説あり、まだまだ不明な点が多いようです。
その中に「牛乳説」というのがありました。
日本では古くから「「しろそこひ、うみそこひ」といわれ、白内障はあったようで、江戸時代の眼科の名門馬島(まじま)流の元祖馬島清眼僧都は、白内障の鍼術を得意としていたという記録があります。幕末の眼科医土生玄昌(はぶげんしよう)(土生玄碩(げんせき)の子)には、白内障の臨床記録だけをつづった《白内翳手術人名》があり、白内障患者の多かったことが伺えます。
牛乳が食品として一般的になったのは近代に入ってからなので、「牛乳説」というのには無理があります。

易学的調査で紫外線との因果関係が論じられてます(参考1)。
白内障の進行に関しては、シンガポールでは日本より10年早く、アイスランド(レイキャビック)では10年遅いという結果で、市街戦の被曝量と相関していることが推察されます。
ただずっと外で仕事している人はもっと若いうちから白内障がでるのではないかという疑問が起こります。
先日、某大学の教授の講座で老人性難聴について興味深い話がありました。
高齢になると脳や神経の情報刺激のキャパが減少するので、伝導路で制限をかけているというのです。
聴覚神経や脳に入る音は鼓膜の震動から骨伝導により聴覚神経に伝達されるわけですが、加齢に伴い骨伝導に関わるあぶみ骨の関節の伝導が悪くなります。
これは脳や神経に負担がかからないようにする、いわば安全装置ではないかという推論でした。

目に関しても加齢とともに網膜は衰えるわけですが、そこに光線という刺激情報を水晶体というフィルターで眼底を守るのではないかと思えます。
発生学的に水晶体は外胚葉由来の組織ですが、水晶体は英語でlens(レンズ)となってます。
受精卵は細胞分裂により三層の胚葉に分かれ外胚葉は主に皮膚や神経という体を守る組織を形成していくのですが、
水晶体も含まれるということから単なるレンズではなく、守るという役割もあるとも言えるのではないでしょうか。
なので糖尿病網膜症では病気により網膜は弱っているわけですから、それを保護するために水晶体を白濁させるのではないかと思います。

こういう考え方は、ほかにもあって、年をとると歯が抜けますが、これも意味があるという説もあります。
がんを肯定する研究では種族保存のための安全装置であるということを言う先生もおられます。
そうなると白内障を手術するとストレートに網網膜が紫外線の被曝を受けるじゃないかということになります。
白内障の原因になると言われている紫外線の波長は、300~400nmです。
眼内レンズでは、もともとある水晶体には及びませんが、380nm以下の紫外線をカットするそうです。
それ以上の波長の光は通過して網膜に達します。
なので野外に出るときは、サングラスや紫外線カット加工された眼鏡で対応するしかありません。
茶、黄、オレンジ色は400~500nmの短波長光をカットするそうです。
ただ濃いサングラスは瞳孔が大きく開き、紫外線の入り口を大きくしてしまうのであまり濃くないものがよいとされてます。

白内障の予防としては紫外線対策とともに、眼球、および眼球周囲の血流をよい状態にしておくことだと思います。
眼球の運動で効果があったという報告をされている眼科医がおられました。
漢方薬としては「八味地黄丸」や「杞菊地黄丸」がよく使われているようです。
野菜(特にホウレンソウ)や果物に含まれる色素の一種の、ルテインの抗酸化作用が、目の老化とともに白内障も予防するということです。

鍼灸治療では白内障に効能があるツボが予防にも効果があるはずです。
これらは白内障の手術ができない方にとっては視力をあげる有効な治療法となります。

日本では失明の原因のトップが糖尿病性網膜症ですが、発展途上国では白内障だそうです。
昨今の健康志向は温故知新というか、自然療法や自然治癒力が見直されていますが、太古の時代から白内障は失明の最大の原因の一つであったと考えられていたようです。
それを克服した人間の叡智は、自然の理に反するのではなく、天の理と人の理を融合させたものだと考えるべきだと思います。


(参考1)
白内障の実態把握並びに「白内障発症と紫外線被曝との関連性に関する国際比較研究; 金沢医科大学眼科学教室,東京女子医大衛生・公衆衛生学教室, 国立環境研究所



【to鍼灸師】

白内障で用いられる経穴
少沢(刺絡法を用いる)、角孫、絡却、合谷、沢田流合谷、承泣、陽陵泉、光明...など。

中医学では陽虚と陰虚で治療法が異なりますが、漢方薬においても彰が違うことにより症状が改善されるどころか、その誰の症状が悪化したという事例があるのでそのへんは慎重に弁証する必要があるようです。
 陰虚→杞菊地黄丸
 陽虚→八味地黄丸」


トクサという長細い植物があり、これを煎じたもので目を洗うという方法があります。
実際に1週間試した方の話によると、朝 起きると目が見えなくなるくらい目やにが出ていて、洗い流すと目がすっきりしたような気がすると言っておられました。
ネットでも調べたのですが詳しく書かれているのがなかったので効能についてはなんとも言えません。
いちおう嘉祐本草に収載されているということです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。