伊藤とし子のひとりごと

佐倉市議会議員4期目
議会、市民ネットワーク千葉県、さくら・市民ネットワークの活動あれこれ、お知らせします

佐倉市公立幼稚園の閉園問題

2023-09-23 18:13:26 | 議会
佐倉市の公立幼稚園は3園ありますが、すでに2園は休園となっています。
残った公立佐倉幼稚園は110年以上の歴史があり、卒園生の親からは定評があります。
しかし、幼児教育無償化の波をもろにかぶり、今年度の入園者者(4歳児クラス)が1人になったことから教育委員会は急遽閉園を決定。
8月議会に閉園の議案が出されています。

保護者が園長から「2023年度で閉園することを検討している」と知らされたのは今年3月。
驚いた保護者たちは撤回を求める要望書を提出して、記者会見を開き、多くの人たちに知ってもらうため署名を集めたりと活動を始めました。
というのも、佐倉幼稚園は公立幼稚園としてインクルーシブ保育に定評があり、可能な限り特別な支援が必要な園児を受け入れてきたからです。
障がいのある子も無い子も当たり前に幼稚園生活を送ることで、障がいがあっても特別の事じゃないと理解し合うことができることを保護者達は評価しています。

私たちが閉園問題の相談を受けたとき、保護者からは
「私立幼稚園の入園を断られたり、私立幼稚園を10日で退園を言い渡されたりした子どもが現におり、
佐倉幼稚園が受入れてくれたので、幼稚園生活を送ることができました。
佐倉幼稚園が無くなったら、私立幼稚園に受け入れてもらえない子はこれからどこに行けばいいのでしょうか。」
と涙ながらに訴えられました。

6月議会では伊藤が代表質問で、松島こずえが一般質問で幼稚園の閉園問題を取り上げてきました。
論点は、教育委員会は園児を増やす努力をこれまで一切行ってこなかったのに、入園者がひとりになったと
あわてて閉園を言い出したことは問題なこと。
これまで、入園につながる園庭解放のパンフレットやポスターが子育て世代が利用する施設や場所に一切おいて
いなかった事。
驚いたことに、幼稚園から一番近い公共施設、子育て支援を謳っている「ゆめさくら館」にもお知らせが一枚も
置いていなかったのです。

保育園の民営化問題の時でさえ「保育園あり方検討会」を立ち上げて、2年間、市としての考えを外部識者を交えて検討したのですが、
幼稚園閉園という大事な問題をたった2~3か月で決めてしまう教育委員会、佐倉市の姿勢には、幼児教育をどう考えているのか。
インクルーシブ教育を口ではいいながら、本気で取り組む気があるのか疑問です。

2019年幼児教育無償化が始まり、このままだと公立幼稚園の入園者が減ってしまうので、3年保育を検討してほしい、
と在園の8割の保護者が声を上げました。
2021年8月、教育委員会会議で3年保育化が協議され、前向きに議論されたにもかかわらず、たった1か月で「3年保育化」
は白紙撤回されてしまったのです。
聞けば、私立幼稚園協会が「佐倉幼稚園を3年保育にすることは民営圧迫だ」と反対したから、というのです。
あの時3年保育にしていれば、園児減少に歯止めがかかったはずです。

閉園の理由を、園児がひとりとなってしまい、十分な教育環境とは言えないため、と言っています。
文科省の幼児教育の適正配置基準は先生一人に「15人から20人」との事ですが、先生が少ないのは
ダメというだけであって、今も4歳児5歳児合体した縦割りクラスですが、何ら問題はないのです。

また、来年度に入園したいと2年保育を待っていた子どもたちは何人もいます。
いまさら、私立幼稚園に行きなさい、というのは酷い話です。

また、公立幼稚園の予算が8800万円もかかっている、というのも閉園を急ぐ理由に挙げています。
しかし、人件費が一番大きく、先生方は配置換えになるだけで、経費全体としては削減されるものではありません。

私立幼稚園は障がいのある子を入園させれば、幼稚園教師を加配しなければなりません。
私立幼稚園の中には、頑張って障がいのある子を受け入れていますが、その分がすべて補助される訳ではなく、
経営面から考えても、公立幼稚園のようにはいきません。
公立幼稚園の役割は私立幼稚園とは別のところにあるはずです。

閉園ありきではなく、時間をかけて佐倉市の公立幼稚園のあり方を検討すべきです。

~9月23日朝日新聞の記事から~
今春、自閉症の次男が卒園した保護者は、「通わせてもらって本当に良かった」と感謝。
別の自治体から3年前に自閉症の長男が通える幼稚園を探していて、私立では障害を伝えると、園の見学すらさせてもらえなかった。
特別支援学校の幼稚部に入園したが、母子通園を求められ、負担があった。
そこで療育支援が手厚いと聞いた佐倉市に転居。
児童発達支援センターに紹介された佐倉幼稚園に入園した。
「自閉症の子どもがウエルカムな姿勢がありがたかった」と振り返る。
「佐倉幼稚園のすばらしさを受け継いでほしい」と願う。



一度閉園にしてしまうと、インクルーシブ教育のノウハウがなくなってしまいます。
これこそ、公立幼稚園の役割ではないでしょうか。
そして、佐倉市が長年培ってきた財産です。

26日火曜日の閉会日に決まります。


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