歯科界は日進月歩...

名取市のライフタウン歯科クリニック 院長のひとりごと。。。

震災はまだ終わってはいない…

2011-09-01 20:00:21 | お仕事
お話しするのを控えておりましたが、警察歯科医として今でも身元確認のお手伝いをしております。

本日も石巻に行って参りました。

日によっては0体の時もありますが、ほぼ毎日ご遺体が見つかっております。

本日は1体。

最近はご遺体の痛みも激しいため、歯式をとる(歯を一本一本調べる)だけではなく、口腔内写真を撮り、さらにはレントゲン写真も撮影します。

ご遺体発見時に身元判明のヒントになる特徴があれば生前の歯科カルテを取り寄せ、その内容と照合します。


本日のご遺体は、ある程度身元が判明している方でした。

歯式、口腔内写真、レントゲン撮影を済ませたあと、実際のカルテと照合。

これが神経をすり減らす作業。

本日照合したご遺体は、口腔内状態とカルテの内容に矛盾点がなく、”同一人と思われる”との所見を書きました。

警察官の方の話では、ここ最近は歯の照合が決め手となるケースが増えているそうです。


今日検案したご遺体は近いうちにご家族の元に返られるでしょう。

変わり果てた姿ですが、これで一つの区切りになると思います。


震災直後からはじめた身元確認のお手伝い。

次から次へと運ばれてくるご遺体にただただ愕然とし、我を忘れてみていた3月、4月。

5月頃からは遺体の痛みも激しくなり尻込みしてしまいましたが、誰かがやらなければならない仕事。

きちんと仕事できるように7月に警察歯科医の資格を取りました。

そして8月から志願して再開。

正直メンタル的にかなり厳しいですが、要請がある限り続けていくのが自分の責務と考えています。


あれからそろそろ半年。

夏も終わりに近づき、季節がまたひとつ変わりつつあります。

毎日TVで流れてくる政治(政局?)の報道。

政治の世界は誰のために動いているのか疑問を感じざるを得ません。


一個人の力には限界があります。

しかし、未だご家族に会えない方が大勢いるという現実を踏まえ、少しでもその解消に役立てればと思います。

まだまだ震災の爪痕は濃く深く残っています。

決して忘れないで下さい。