甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

北寿老仙をいたむ 1745

2020年03月31日 06時11分44秒 | 蕪村さんの旅と放浪

 北壽老仙(ほくじゅ・ろうせん)という人がいたそうです。どんな人なんでしょう? 

 このお名前の「北壽」とは、下総結城郡本郷の俳人・早見晋我(しんが)さんの隠居後の号なんだそうです。「老仙」は老仙人の意味で、蕪村さんがつけた敬称みたいなものになりますか。

 晋我さんは通称治郎左衛門、善久。代々酒造家で、初めは俳諧を其角(きかく)さんに学び、のち佐保介我(さほかいが)という人についたとか。その晋我さんは、延享2(1745)年正月28日に75歳で没したということでした。

 当時この地方に住んでいて晋我さんに愛されていた蕪村さん(当時30歳)が、悲しみにたえず作詩した、といわれているのが、この挽歌なんだそうです。

 蕪村さんは、晋我さんが亡くなった時には30歳なのですが、晋我さんの三十三回忌に記念の作品集を出すということで、この詩がつくられたという話もあるそうで、30いくつで作ったのか、60過ぎで作ったのか? どっちなんでしょう? 

 わりと落ち着いた感じもあるから、60過ぎが正しいのかもしれない。でも、気持ちがあふれている気もするし、30歳のころの詩なんだろうか? とにかく、追悼する気持ちをこめた「詩」ではあるのです。




   北壽老仙(ほくじゅろうせん)をいたむ   

君あしたに去ぬ(さり)ゆふべのこゝろ千々(ちゞ)に
何(なん)ぞはるかなる

 あなたは突然に、今朝この世を去ってしまわれた。今宵わたしの心はビリビリに引き裂かれているのです。本当に、あなたは遠く隔たってしまわれたのですね。
 
君をおもふて岡のべに行(ゆき)つ遊ぶ
をかのべ何ぞかくかなしき

 あなたのことを思って、近所の野山を歩きました。いても立ってもいられなかったからです。でも、野山は、ムチャクチャに悲しいのです。私を慰めてくれるものではありませんでした。


蒲公(たんぽぽ)の黄(き)に薺(なづな)のしろう咲(さき)たる
見る人ぞなき

 春の野山にはタンポポが黄色く咲き、ナズナは白く咲いています。
でも、だれもそんなのを気にも留めません。



雉子(きぎす)のあるかひたなきに鳴(なく)を聞(きけ)ば
友ありき河をへだてゝ住(すみ)にき

 キジがいるのか、一生懸命に鳴いているみたいです。
そして、それを聞いてて思うのです。
私にもかつて友がいて、その友は川の向こうに住んでいた。
その人と私は、親しく付き合っていたことなどを思い出すのです。

へげのけぶりのはと打(うち)ちれば西吹風(にしふくかぜ)の
はげしくて小竹原(をざさはら)眞(ま)すげはら
のがるべきかたぞなき

 変化していく煙というものは、ぱっと散ってしまい、西から吹く風はとても激しくて、低い笹原や菅原のどこにも潜みようがなく、はかなく大空に消えてしまいます。

 この煙というのは、火葬するときの煙なのか、それとも、かまどの煙なのか。

 状況から行くと、「変化(へんげ)」の煙と解釈する方がよくて、亡くなった人を荼毘に付せば、その煙はもう少し未練がありそうなものだけど、風にかき消されてしまったということでしようか。

友ありき河をへだてゝ住(すみ)にきけふは
ほろゝともなかぬ

 かつて友がいて、川の向こうに住んでいた。君のことを思い出させてくれた草むらのキジたちは、ほろろという鳴き声も出さない。



君あしたに去(さり)ぬゆふべのこゝろ千々に
何ぞはるかなる

 あなたは突然に、今朝この世を去ってしまわれた。今宵わたしの心はビリビリに引き裂かれているのです。本当に、あなたは遠く隔たってしまわれたのですね。

我庵(わがいほ)のあみだ仏ともし火もものせず
花もまいらせずすごすごと彳(たたず)める今宵は
ことにたうとき

 わが庵の阿弥陀仏に、お灯明も差し上げず、花もお供えせず、こうして暗い中でひとりしょんぼり拝んでいる今宵は、人の世のはかなさが身にしみて、ことに尊く仰がれる。

              釋蕪村百拜書

 出家した蕪村としてうやうやしく書きました。


★ ずっと取り上げたいとは思っていました。下書きもしました。それでも、中途半端な私が、いい加減なことを書いていいものか、自分でダメだと反省したり、あれこれしてきました。

 でも、もう、何でも、どんなことでも起こりうるのだと思い、載せてみます。

 とにかく、静かに祈ろうと思います。そんな気持ち、毎日毎晩持っていたいけど、私は日常に流されているだけです。だからこそ、「キミ、あしたに去りぬ」なのです。

 心は砕け散るのです。涙はあんまり出ません。ただどうしたらいいのかわからないし、コントロール不能で、モヤモヤした気持ちがいつまでも続きます。

 そう、少し落ち着いたらいい。そうします。みなさん、コロナに気をつけましょう!



 
 

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