風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

楽書き雑記「戦争と平和を考える8月=名古屋の資料館『ピースあいち』へ行ってきました」

   







8月は「戦争と平和を考える月」。終戦の日の15日を中心に、全国各地で展示会や講演会などさまざまな催しが企画されています。
名古屋市名東区よもぎ台2丁目にある資料館「ピースあいち」に出かけ・常設展示場と、開催中の漫画家や俳優らの体験を知る特別企画「私の8月15日展」を見てきました。

名古屋を中心に三菱重工や愛知時計電機、豊川海軍工廠など軍需産業の一大拠点だった愛知県。米軍のB29爆撃機による空爆は大戦末期まで繰り返され、県民たちは逃げ惑い、肉親を亡くすなど悲惨な日々を過ごしました。

こうした戦争の体験や資料を風化させまいと、2007年に開設されたのがボランティアらで運営する3階建ての「ピースあいち」です。

まず2階の常設展示場へ。
空爆の写真から始まる展示コーナーには、人々の暮らしや戦争被害の実態、報道の記録などの資料が並びます。

焼夷弾による火災を消すために砂をまき散らす砂弾、手榴弾タイプの消火弾、白煙幕・・・。灯火管制のため真下だけを照らす電球や、防毒マスクもあります。
そばに置かれたボタンを押して、防空壕に逃げ込んだ幼いころの僕の脳裏にも残る空襲警報と警戒警報を聴きました。

開戦を告げる新聞も展示。一般家庭を再現した部屋には、最後は玉音放送を聴くことになったラジオがぽつんと置かれています。


出征した兵士が妻や子どもたちに宛てた遺書には、繰り返し目を通しました。
前線だけでなく原爆、空爆、沖縄戦などで犠牲になった遺体が重なる写真。そこに大書きされた「眼をそらさないでください。

さい これが戦争です」の文字は、犠牲者からのメッセージと言えるでしょう。

大戦末期に生産された「気球爆弾(風船爆弾)」。アメリカ本土を爆撃するために、コンニャク糊で和紙を張り合わせた気球に爆弾を付けて飛ばすという奇策は、国民の竹槍訓練などとともに語り継がれる戦争の一端ですが、名古屋でも椙山高等女学校の生徒たちが作らされていたことが紹介されています。

展示室には数多くの文書や写真が目立ちます。しかし、他の資料館、例えば名古屋の愛知県護国神社そばの桜華会館内「愛知平和記念館」や、愛知県庁近くの「愛知・名古屋戦争に関する資料館」に展示されているような全国各地の街を破壊し、焼き払った250キロ爆弾や焼夷弾、戦争遺族から寄せられた今も血の跡が消えない兵士の遺品などは、あまり見当たりません。

戦争と平和をより深く考えるうえで、これらの資料館も併せ見ることも大切なことでしょう。「ピースあいち」でも「3つの資料館を訪ね歩く方が多い」と話していました。

3階では、特別企画「私の8月15日展」(8月31日まで)が開かれています。
赤塚不二夫、サトウサンペイ、里中満智子、ちばてつや、松本零士、水木しげる、森田拳次、やなせたかし,渡辺正子ら著名な漫画家たち。それに永六輔、海老名加葉子、黒柳徹子、高倉健、山田洋次・・・。

手榴弾を投げたという中日ドラゴンズの往年の大投手・杉下茂らの体験も。
著作権などのため作品の撮影はできませんでしたが、約50人が絵と文で語る「あの日の記憶」に引き寄せられました。

※「ピースあいち」の開館は火曜~土曜の11:00~16:00。休館日は日曜、月曜、年末・年始ほか(ただし今回の特別企画展会期中は日曜日も開館)

入場料は大人300円(小中高生100円)。特別展を合わせると大人500円(小中高生200円)



 
 
                



             

 

 

 

  


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