Yさんの閑日好日雑記

徒然に、気まぐれに何かが見つかれば

白金桟道橋

2015年04月09日 | 日記
白金桟道橋は、目黒駅から200mほど恵比寿駅寄りの線路上に掛けられた
陸橋である。

1926年(昭和元年)に竣工した、国内に現存する数少ない古レールを
構造に利用した跨線橋で、山手線部分は単純な垂直橋脚だが、山手貨物線
(現埼京線・湘南新宿ライン)部分は掘割で高度差が大きいため、曲線を
描いたアーチ橋となっている。

桟道という名が何故ついているかである。
桟道とは、山岳用語で切り立った山腹や崖などに沿って、木材で棚のように
張り出して設けた道、岩場また崖など通行困難な場所に木材や鉄板などで
棚状に足場を組んだものとある。

多分、完成時の昭和元年頃は家並みなど少なく、この付近は台地であり田んぼや
畑であった。現在は住宅街になっており、近くに「国立科学博物館自然教育園」が
あり、戦前は旧朝香宮邸があった。

山手線は、起伏のある地理的状況の中で、高低差を作らず線路を引いていった。
五反田付近の谷底は築堤で、目黒辺りからの高台は掘割で線路を引いた。
特に後から複々線化のため作った旧貨物線は、恵比寿までに旅客線と左右を
逆にする必要があった。そのため深く掘って旅客線を潜って反対側に向かう
構築をとったのである。(必要性は恵比寿ビール工場と関連があったのでは)

昭和初期の自然環境を考えれば、山のつり橋を架ける感覚の橋だったのであろう。
完成当時の桟道橋と云う命名は、当然だったのかもしれない。