黒砂台鍼灸あん摩治療院

鍼灸院の日常日記

ホメオパシーは「荒唐無稽」 学術会議が全面否定談話 朝日新聞記事より

2010-08-25 17:20:25 | 院長のひとり言
「ホメオパシーは「荒唐無稽」 学術会議が全面否定談話」という記事が朝日新聞に出ています
というか日経、産経、毎日、朝日、読売とほとんどの全国紙に出ていますね

以下朝日新聞ネット版より抜粋

 通常の医療とは異なる民間療法「ホメオパシー」について、日本学術会議(会長=金沢一郎東大名誉教授)は24日、「科学的な根拠は明確に否定され、荒唐無稽(こうとうむけい)」とし、医療従事者が治療で使わないよう求める会長談話を発表した。山口市の女児ら死亡例が出たことを重視。通常医療から患者を遠ざける懸念があるとして、一般に広まる前に、医療現場から排除する必要があると判断した。科学者の代表機関が、特定の療法を否定するのは極めて異例だ。
2010年8月25日付けasahi.comより


こちらに日本学術会議の会長談話が有ります

記事にも書かれていますが日本学術会議から正式な形で一代替療法に対して談話が出されるのは異例中の異例です
というか過去にはなかったのではないでしょうか?

記事では日本医師会や日本歯科医師会、日本獣医師会などの6団体も賛同とのこと
かつてない規模での全面否定が起きています

ネットの中には魔女狩りのようだとおっしゃる人もいます
ここまで学会が大きく動く理由としては危機感でしょうね
死亡事故に関わったのが医療従事者であるということ、そしてなにより現代のネット社会に対する危機感でしょうね

ネットは自由ですが反面怖い世界です
情報の発信が誰にでもできるということは、悪意を持った誤情報も悪意のない誤情報も発信が可能ということです
そういった危機感からの会長談話とも取ることができます

記事だけを読むと「荒唐無稽」というような表現が使われるなどかなり日本学術会議の会長がセンセーショナルに煽っているような印象を受けます
でも、実際の談話を読むとそうでもありません
読めばわかりますがその歴史から始まり、エビデンスの有無についても根拠とする文献やWHOの注意喚起などすべて列挙した上での談話となっています
談話の最後はこのように結ばれています

ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています。それを「効果がある」と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為です。このことを多くの方にぜひご理解いただきたいと思います
(注記として 「ホメオパシーについて十分に理解した上で、自身のために使用することは個人の自由です。」と書かれています)



英国議会下院の勧告をざっとですが読んでみました
下記にリンクを張っていますが275ページにも及ぶ膨大な量の報告です
検証も多岐にわたり、この報告に目を通した限りですが、なんで英国議会が公的扶助の継続を認めたのか不思議に感じました
まあ、王室の権威に傷をつけないためとの憶測が正しいのでしょうが

ホメオパシーに関する英国議会下院の勧告(英文HTML)
ホメオパシーに関する英国議会下院の勧告(英文PDF)

EBM(evidence-based medicine)という言葉があります
日本ではエビデンスと略されることも
「根拠に基づいた医療」という意味ですが、すべての治療家は頭に置かねばならない言葉でもあります

天然ビタミン・サプリメントのウソ・ホント 1

2010-08-25 13:08:28 | 健康食品 ウソ・ホント
「天然」「自然」という言葉ほど簡単な詐欺は無い

前職の健康食品開発製造会社の社員研修で講義をしてくれた先生の言葉です
ものすごく印象に残る新人研修をしてくださいました

第一声が
「えーとね、毒にも薬にもならない健康食品なんていらないんだよ」
でしたから
もちろん敢えてこういう言い方をしているわけですが正直びっくりしました

さてこの先生の言葉でもある「天然」「自然」というおはなし
特に今回は天然ビタミン・サプリメントのおはなしをしていこうと思います
まあ自分のサプリメント開発経験からのおはなしになりますので情報としては少し前のものになります
ただし、それ以降も情報の収集はある程度行っています

さて「天然ビタミン」と称した商品は市場に溢れています
果たしてこれはウソ・ホント?

結論から先に言いますと 「ウソ」 に限りなく近い

ただ難しいのは完全にウソとも言い切れ無い
でも消費者の期待する意味での「天然ビタミン・サプリメント」などというものはほとんど入手不可能です

少し詳しくお話していきます

市場で入手可能の「天然」と称するビタミンやサプリメントのほとんどは米国で作られたものです
一つめのウソの原因はここにあったりします
アメリカのドラッグストアに行くと「natural vitamin」という表記のなされた商品を多く見かけます
というかビタミン関連の製品においてはこの表現のほうが多いです
こういった商品が日本に持ち込まれて「天然ビタミン」と訳されるわけですが多くは誤訳です

実はアメリカにおいては「natural」という表記は合成したものでも可能です
多くの「natural」という表示が指し示すのは「天然型」という意味です
「天然型」つまり合成でも組成や構造が同じであれば用いれるということです

ここからさきはちょっと難しいお話になるので続きで
まずはちょっと難しいおはなしから

ビタミンは生物に必要な栄養素のうち、炭水化物やタンパク質、脂質、ミネラル以外のもので、生理作用に必須な有機化合物です
このため微量栄養素などとも言われます

栄養としての機能で区分されるため同様の働きをすれば同じビタミンとして区分されるのでややこしいんです
つまり天然に存在しているもの以外に同じような働きをするものを人工合成しても同じビタミンとして使用できるわけです

具体的に天然型・人工合成型のあるビタミンの例をあげましょう

先に取り上げた乳児死亡事件とも関わりのあるビタミンK

ビタミンKには代表的なものだけでも天然型として2種類(VK1、VK2)、人工合成型として2種類(VK3、VK4)が有ります
(細かくはVK1~7まであります)
天然型であるVK1は主に植物や藻類に含まれています
このためお魚に含まれているのもVK1(餌に含まれているため)
同じく天然型のVK2は微生物の発酵で作られることが知られています
このため納豆やチーズに多く含まれています
ただし発酵を行う菌によって側鎖構造が異なる場合があります(側鎖の数でMK-4~MK13まであります)
一般的なものはMK-4、MK-7があります
特にMK-4は食品添加物として長く使用されています
VK1、VK2は作用がほぼ同じというのが通説になっていますが、VK2の側鎖構造によって力価が異なることも知られMK-7が最も高いと言われています
サプリメント等に使用されるのは主にこのVK2です
また新生児に投与されるシロップ剤も「K2シロップ」という名称です

化学合成品のVK3は現在は使われていません
また同じ化学合成品のVK4は化学式も異なっています、医薬品として使用されています

ちょっと例えが悪いのですがVK4を使用してアメリカでサプリメントを発売する場合「natural vitamin」という表記はできません
でも合成のVK2であれば「natural vitamin」と表記が可能なんですね

でもこの表記の問題を知らずに日本に輸入したらどうなります?
普通に訳せば「天然ビタミン」としたくなりますよね
ダークな話、知っててもこのように表記しているケースも多々有ります


ざっくり言えば
「誤った認識による間違った表記の商品も多い」
ということです


では天然原料のみを使用したとするサプリメントなら大丈夫なの?
これについてはもっとダークな話になるので明日あたりに
もっとダークな話を毒全開でお送りする予定です

「天然」とか「自然」なんて言葉はやっぱり売る側にとって都合のいいもんなんで、あまり鵜呑みにしない方がいいよというおはなしです