黒砂台鍼灸あん摩治療院

鍼灸院の日常日記

天然ビタミン・サプリメントのウソ・ホント 1

2010-08-25 13:08:28 | 健康食品 ウソ・ホント
「天然」「自然」という言葉ほど簡単な詐欺は無い

前職の健康食品開発製造会社の社員研修で講義をしてくれた先生の言葉です
ものすごく印象に残る新人研修をしてくださいました

第一声が
「えーとね、毒にも薬にもならない健康食品なんていらないんだよ」
でしたから
もちろん敢えてこういう言い方をしているわけですが正直びっくりしました

さてこの先生の言葉でもある「天然」「自然」というおはなし
特に今回は天然ビタミン・サプリメントのおはなしをしていこうと思います
まあ自分のサプリメント開発経験からのおはなしになりますので情報としては少し前のものになります
ただし、それ以降も情報の収集はある程度行っています

さて「天然ビタミン」と称した商品は市場に溢れています
果たしてこれはウソ・ホント?

結論から先に言いますと 「ウソ」 に限りなく近い

ただ難しいのは完全にウソとも言い切れ無い
でも消費者の期待する意味での「天然ビタミン・サプリメント」などというものはほとんど入手不可能です

少し詳しくお話していきます

市場で入手可能の「天然」と称するビタミンやサプリメントのほとんどは米国で作られたものです
一つめのウソの原因はここにあったりします
アメリカのドラッグストアに行くと「natural vitamin」という表記のなされた商品を多く見かけます
というかビタミン関連の製品においてはこの表現のほうが多いです
こういった商品が日本に持ち込まれて「天然ビタミン」と訳されるわけですが多くは誤訳です

実はアメリカにおいては「natural」という表記は合成したものでも可能です
多くの「natural」という表示が指し示すのは「天然型」という意味です
「天然型」つまり合成でも組成や構造が同じであれば用いれるということです

ここからさきはちょっと難しいお話になるので続きで
まずはちょっと難しいおはなしから

ビタミンは生物に必要な栄養素のうち、炭水化物やタンパク質、脂質、ミネラル以外のもので、生理作用に必須な有機化合物です
このため微量栄養素などとも言われます

栄養としての機能で区分されるため同様の働きをすれば同じビタミンとして区分されるのでややこしいんです
つまり天然に存在しているもの以外に同じような働きをするものを人工合成しても同じビタミンとして使用できるわけです

具体的に天然型・人工合成型のあるビタミンの例をあげましょう

先に取り上げた乳児死亡事件とも関わりのあるビタミンK

ビタミンKには代表的なものだけでも天然型として2種類(VK1、VK2)、人工合成型として2種類(VK3、VK4)が有ります
(細かくはVK1~7まであります)
天然型であるVK1は主に植物や藻類に含まれています
このためお魚に含まれているのもVK1(餌に含まれているため)
同じく天然型のVK2は微生物の発酵で作られることが知られています
このため納豆やチーズに多く含まれています
ただし発酵を行う菌によって側鎖構造が異なる場合があります(側鎖の数でMK-4~MK13まであります)
一般的なものはMK-4、MK-7があります
特にMK-4は食品添加物として長く使用されています
VK1、VK2は作用がほぼ同じというのが通説になっていますが、VK2の側鎖構造によって力価が異なることも知られMK-7が最も高いと言われています
サプリメント等に使用されるのは主にこのVK2です
また新生児に投与されるシロップ剤も「K2シロップ」という名称です

化学合成品のVK3は現在は使われていません
また同じ化学合成品のVK4は化学式も異なっています、医薬品として使用されています

ちょっと例えが悪いのですがVK4を使用してアメリカでサプリメントを発売する場合「natural vitamin」という表記はできません
でも合成のVK2であれば「natural vitamin」と表記が可能なんですね

でもこの表記の問題を知らずに日本に輸入したらどうなります?
普通に訳せば「天然ビタミン」としたくなりますよね
ダークな話、知っててもこのように表記しているケースも多々有ります


ざっくり言えば
「誤った認識による間違った表記の商品も多い」
ということです


では天然原料のみを使用したとするサプリメントなら大丈夫なの?
これについてはもっとダークな話になるので明日あたりに
もっとダークな話を毒全開でお送りする予定です

「天然」とか「自然」なんて言葉はやっぱり売る側にとって都合のいいもんなんで、あまり鵜呑みにしない方がいいよというおはなしです



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