黒砂台鍼灸あん摩治療院

鍼灸院の日常日記

夜の空に見えるのはきれいな星だけじゃない

2010-08-17 11:18:09 | 院長のひとり言
このところ早起きしたときや夕刻時には必ず空を見上げています
星や人工衛星の観測が日課となっているためです

でも見上げる空に見えるのはきれいなものばかりでは有りません
いやなものも結構見えてきたりします



日本の気象衛星である「ひまわり」のような静止軌道衛星は見ることが出来ません
これは高度が35,000km程度とがあまりにも高いことと、赤道直上という日本から見るとかなり南にあるためです

観測しやすい衛星は低軌道といわれる高度2000kmまでのもので通常は円軌道を描いています
毎回少しずつ違う地域の上空を通過しながら大体90分から100分程度で地球を1周します
このため同じ衛星を観測しようとしてもなかなか見ることは出来ないことが多いです

ところが4月からの観測メモを見てみると結構な頻度で同じ衛星を見ていることが解りました

「風雲1号cデブリ」

この名前の衛星を何度か見かけるんですね
但し、この衛星はきちんとしたものではありません
  デブリ=スペースデブリ=宇宙ゴミ
衛星打ち上げ時の残骸や運用できなくなってしまった物などコントロールできなくなってしまったものなんです

それにしては見る頻度が多すぎると調べてみたら、いやなことがわかりました
この風雲1号Cデブリは中国の衛星攻撃兵器の実験によって生じた宇宙ゴミなんです
2007年1月に中国が自国の老朽化した衛星である風雲1号Cを標的にして実験を行ったわけです

実験は成功し風雲1号cはデブリに粉砕されました
観測可能なものでも650個から900個ともいわれ、細かい物は数万個にも上るとのこと
「国際宇宙ステーション(ISS)」や日本の観測衛星「大地」の軌道に接近し、問題となりかけたこともあります
ISSがデブリと衝突する危険性はこの実験によって60%増加したとも言われています(by欧州宇宙機関)

中国だけの話ではありません
この衛星破壊兵器、もともと米ソ冷戦時代に開発が盛んでした
アメリカは1980年代には開発に成功し、複数回の実験を行っています
これにより多数のデブリが発生し「宇宙開発への障害となる可能性」により1985年米議会により実験は中止されています

この後20年以上衛星破壊兵器の使用は行われませんでした
既にデブリの危険性やケスラーシンドロームなどの諸問題の認知が世界的に広まっていったためと、ソビエト崩壊によって宇宙軍拡が停滞したためです

ではなぜ中国が国際的な反感を買うことが必須の実験を行ったのか
2001年中国はジュネーブ軍縮会議の場において宇宙の軍事化防止についての提案を行っています
この提案の中には衛星破壊兵器の禁止も含まれていました
事実上、唯一の衛星破壊兵器運用国であるアメリカは反対したわけです
「自分しかもっていない強い兵器をナンデ放棄しなきゃならないの?」と
これが中国の衛星破壊兵器開発のきっかけになったとも
(まあ中国の場合、「アメリカが反対するのを開発の口実にしたくて提案した」というほうがありそうですが)

お上手なことに中国はロシアと共同で2008年ジュネーブ軍縮会議に「宇宙空間における兵器配置、宇宙空間の物体に対する武力行使または武力行使の威嚇を防止する条約」草案を提出しています
自分の持っているのカードの強さを他国に意識させといて他国が同様のカードを使えなくするわけです
ポーカーだったらイカサマみたいな物
ワイルドカードを隠し持っておきながら、もうワイルドカードを配るのをやめようと言っているわけですからね

北朝鮮問題、ウイグル問題、チベット問題、アフリカでの資源争奪やレアアースの寡占などなど
根っこはみんな同じ
自国の利益です
まあ中国だけじゃなくアメリカもその他の国もどっこいどっこい

国家としての日本はこんな天才イカサマ師みたいな周辺国と切った張ったをしていかなきゃならないわけです

夜空できれいな物を見ようとしたところがこんな結末
まあこんな夜空の見方も良いかな?

○参考HP
 
  JavaScriptで人工衛星の位置を表示する

  衛星攻撃兵器 byWikipedia

  風雲1号C byWikipedia

(治療院のページのため毒舌は少なめです)