黒砂台鍼灸あん摩治療院

鍼灸院の日常日記

天然ビタミン・サプリメントのウソ・ホント 5

2010-08-31 10:42:42 | 健康食品 ウソ・ホント
健康食品ウソ・ホントシリーズ、今度はミネラル編です
ミネラルには様々なものが有りますが、大きく分けると所要量の多いミネラルと少ないミネラルに分けることができます

所要の多いミネラルに関しては実はウソは少なくほぼホント
問題なのは所要量の少ないミネラルです

まずは所要量の多いミネラルから進めてまいります

代表的なミネラルであるCa(カルシウム)
天然と称するものも多いのですが、これはほぼホント

材料となるのは動物や魚の骨、卵殻、カキ殻などの貝類の殻、その他にミルクカルシウムがあります
これらを焼成したり乾燥・粉砕等で加工したものが多いです
もう一つ別枠というかドロマイトという素材が有りますがこれについては後ほど触れます

サプリメントで多く用いられているのは卵殻カルシウムやカキ殻カルシウム
牛骨粉もかつては使われていましたが狂牛病の影響で今は殆ど使用されていないようです
卵殻やカキ殻中ではカルシウムはは炭酸カルシウムという形で存在しています
高度焼成等を行った場合は酸化カルシウムになることもありますが殆どの場合炭酸カルシウムの形のものが多いですね

卵殻カルシウムは価格も安く色も白いため非常にサプリメントに使用しやすいカルシウムです
昔は粒度が荒くざらついた食感になるため使用できる形態が限られましたが、今は微粉砕のものが主流で飲料等にも使用可能になっています
またリンの含有量が低く、透析患者さんのリン吸着剤としてもよく使用されています

カキ殻カルシウムは欧米でサプリメントによく使用されている素材です
焼成することで色も白くなり、食感も良くなりますが特有の味があるため汎用性には欠ける部分も有ります

ミルクカルシウムは若干高価ですが食味に優れ、またカルシウムがリン酸カルシウムの形で含まれています
いくつかの研究では吸収率が高いというような報告もあります
(吸収率については後で詳しく述べていきます)

カルシウムは元素ですのでそのものの合成品は存在しませんが、乳酸カルシウムやグルコン酸カルシウムのように食品添加物として販売されているものも有ります
これらの食品添加物もカルシウム自体は天然の素材を使用する場合が多いです
乳酸カルシウムであれば発酵乳酸に焼成貝殻等を添加して撹拌・精製・乾燥で作られます
グルコン酸カルシウムは水溶性に優れるため輸液向けの医薬品として広く用いられています

最後に取り上げるカルシウム素材がドロマイト
これを食品というのは少し憚りが有ります
というのもこの「ドロマイト」は岩石を粉砕したものなんです

ドロマイトは苦灰石、または白雲石とも言われる岩石を粉砕したものです
主成分の化学式はCa・Mg(CO3)2 で炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの複合したような構造です
日本では10年ほど前から食品添加用としての使用が認められています
カルシウム:マグネシウム比率が2:1と栄養摂取には理想的で、在職時は積極的に採用をすすめていました
ただ、素材が岩石ということで結構抵抗感があって10年ほど前の当時はなかなか採用されなかったですね
これは後から述べますがマグネシウム素材になかなか理想的なものは無いというのもあり、元が岩石というのを除けば非常に良い素材です
ただし、元が岩石ということもあってメーカーや産地等での品質にバラつきが多いです
採用にあたっては価格よりも品質に目を光らせなくてはいけない素材ですね

このようにサプリメントに使用するカルシウム素材は天然由来のものが多いです
また食品添加物だからといって元のカルシウムの由来は天然のものだったりもします


ただし、カルシウムのサプリメントにもウソが結構あったりします

それが「吸収率」や「水溶性」という言葉
実はカルシウムの吸収率は同じカルシウム素材でも文献や治験で大きくばらつくことが多いです
また「水溶性だから吸収率が高い」とうたう商品も多いのですが、一概には言えないというのもあります

十数年前には訪問販売や悪徳商法でこういった水溶性カルシウムの販売が相次いだんですね
「ハイ、この二つのカルシウム、このビーカーでお腹のなかに入った時を再現しましょう」
なんて言って、乳酸カルシウムと炭酸カルシウムをビーカーに入れて水で溶かすわけです
「ホラ、こっちの奥さんの使用しているカルシウム(炭酸カルシウム)はほとんど溶けません、これじゃウンチと一緒に出ていっちゃいますね」
「でも、ウチの商品は全然チガウ、ウチだけのトッキョ製法で作られた天然カルシウムは溶けちゃうんです、だから吸収されるんです」
なんて口上で食品添加物の安価な乳酸カルシウムを高く売りつける業者もたくさんいました
水に溶かした乳酸カルシウム溶液やグルコン酸カルシウム、乳酸グルコン酸カルシウムもこういった悪徳商法の犠牲になってましたね

確かに空腹時の服用では吸収率に差が出るという治験も有りますが、食事時に食べ物とほぼ同時に摂取すれば炭酸カルシウムでも吸収率は十分な値になるんです
そういう意味ではあまりに「水溶性」や「吸収率」に過度に拘る必要はありません

だから素材としてのカルシウムにウソは殆ど無いのですが、売る側のセールストークにウソが含まれることは注意してください

次回はマグネシウム編
これの方がウソは多いかも知れません