黒砂台鍼灸あん摩治療院

鍼灸院の日常日記

天然ビタミン・サプリメントのウソ・ホント 3

2010-08-27 11:28:34 | 健康食品 ウソ・ホント
さてでは天然ビタミンCサプリメントのどこにウソがあるのでしょうか?

もう一度サプリメント設計の観点からお話します
ちょっと前回と重複する部分も多いのですがお付き合いください

前回述べたように市場にあるビタミンCサプリメントの多くは1300mg~1800mgのサプリメント中にビタミンCを1000mg含んでいるものが多いです
計算をしやすいように1500mg(1.5g)をサプリメントの重量として仮定します

錠剤の製造の際にはほとんどの場合で副原料が必要となります
粉の状態から錠剤に固めるために必要となる原料で、乳糖やデキストリン等の糖類やワックス等の油脂類を使用するケースが多いです
これがないと原料を機械でプレスしても錠剤の形にならなかったり、逆に硬くなりすぎて服用時に胃や腸で溶けなかったりという問題が起こります
一般的には20%程度の副原料が必要です
もちろん減らすことも可能ですがその場合は副原料に特殊な添加物を使用する必要が出てきます
だいぶ甘く見ても10%程度の副原料は必要となる場合が多いです

つまり1500mgのサプリメントには最低で150mgの副原料が使用されていると考えられます
そうすると使用できるビタミンC原料は1350mg
これにビタミンCを1000mg含むわけですから使用できる原料はビタミンC含量が約74%以上となります

これはかなりハードルが高い数字です
前回の記事の中でも話しましたが
ビタミンC高含有をうたう果実を水分除去等の単純濃縮をしてもせいぜい50%まででしょう
しかも製造工程中に破壊される部分をのぞいての数字です
ではさらに濃縮を行っているのでしょうか?
これは考えにくいです
化学合成品と同じような精製工程を経れば高度濃縮は可能です
でもこれでは天然と称する意味が無いですよね
ビタミンC自体は化学構造的に天然品も化学合成品も全く同じです
つまり高度な濃縮をすればするほど天然品はより化学合成品に近づくわけです
極端な話、純度100%まで濃縮すると化学合成品と全く同じものになります
こういった理由から普通、通常濃縮以上の工程をたどることはあまり有りません
これがまず1つ

続いてもう1つのおはなし
100%天然と称した原料でビタミンCがあまりにも高含有なものはどうなっているのか?
こういった高度濃縮品は製造工程中で合成のビタミンCを添加している可能性が有ります
まず第一にビタミンC自体は合成品も天然品も化学的には全く同一です
工程で加えられてもあとから分析等で検証することは不可能です
つまりこっそり加えてもバレないんです

さらにもう1つ
これは国ごとの法規等で異なる話になりますので注意が必要ですが、製造工程上で特定の目的で添加物を使用してもその添加物使用の表示が免除される場合が有ります
ちょっと例えが悪いのですが日本の例を上げてみます
日本では食品の製造をする際に栄養強化目的での場合、ビタミンやミネラルを添加したとしてもその表示を略することが可能です
(この件については東京都のサイトが分かりやすいです)
例えば日本で粉末果実食品を作るとして、酸化防止目的でのビタミンCの使用であれば「酸化防止剤 (ビタミンC)」との表示が必要です
でも栄養強化目的でビタミンCを添加していれば原料表示は必要ないわけです

こういった法律は国により大きく異なります
製造国によっては主原料のみの表示で許されたり、添加物の表示をしなくて済む場合があるんです
そうすると出来上がった原料の素材表示に添加物が無いわけです
こういった原料を輸入して使用していれば一見天然100%風に見えるわけです
これは原材料の輸入を含めて製品開発をしたことのない立場では絶対にわからない事なんです

またメーカー側が出してくる証明書や書類もすべて向こうの国の法規の範囲内
メーカーが出してくる情報はあくまでも営業用の資料であり、二次情報なんです
本当の意味での製造原料や工程、作業等をが記載されている一次情報を得るのは本当に難しい
これは実際に健康食品開発会社に勤務していた時の経験からです
双方の弁護士を介して会社としての機密保持契約を結び、実際に工場に行ってさらにそこで個人名で機密保持契約書にサインをさせられる
そうして初めて一次資料を閲覧することができました
その上で原料の納品から製造工程や品質管理を確認しなければ判断することなんて不可能です
もちろんお客さんとして行う農場見学や工場見学程度のぬるいモノでは全く意味はありません
ガチンコでやらないといけないものなんです

こういったことから考えると残念ながら、天然ビタミンCサプリメントは限りなくウソ






なんで天然をうたう原料に合成のビタミンを添加するなんて話をしたのかといいますと
実例を知っているからです

過去の話では有りますが、天然の成分が製造工程上で失われる分をこっそり添加している実例を

販売する側の「知らない」or「知らないふりをしている」事実を製造側は知っていることも多々あるというおはなし