今回はビタミンAとビタミンEのおはなし
ただしビタミンAのサプリメントは少なく、ほぼβ-カロテンの形で供給されています
理由は後でお話します
まずは「天然β-カロテン(カロチン)サプリメント」「天然ビタミンEサプリメント」はウソ・ホント?
これはほぼ 「ホント」
でもあくまでもほぼね
では詳しく話していきます
まずはビタミンAのおはなしから
ビタミンAは(ほぼ)レチノールという化合物で網膜細胞の保護作用が有名です
このため欠乏すると夜盲症などを引き起こします
ビタミンAそのものは過剰症があり、特に妊娠初期の過剰摂取は胎児への悪影響が指摘されています
(女性の一日所要量は1800IUで摂取上限が5000IUとなっています)
体内では摂取したβ-カロテンが腸や肝臓、腎臓で必要な分だけ分解されビタミンAとなって使用されます
このためβ-カロテンでは過剰症の発生の危険が少なくなっています
(所要量の上限はあくまでビタミンAで、β-カロテンでは適用されません)
天然由来のβ-カロテンと合成のβ-カロテン違いはあるのでしょうか?
化学構造的にはトランス型とシス型の2つが有ります
まず化学合成のβ-カロテンはトランス型と呼ばれるものです
またある種の真菌を用いた発酵法で作られるβ-カロテンもトランス型が主体です
天然由来ではその原料の種類により、いくつかあります
にんじん由来のものはトランス型が多めで、藻類(ドナリエラ)由来のものはシス型とトランス型ほぼ同率となっています
他にパームヤシ由来のものもあるのですがトランス型・シス型の比率はわかりませんでした
パームヤシ油を見ればわかりますがあの赤い色の元がβ-カロテンです
トランス型、シス型の違いにより有効性についてははっきりとは確認されていません
いくつかの論文では生理活性的に両者に差がないというものもあり、またシス型の方が良いとする論文も有ります
ヒステリックにトランス型を否定する立場の多くの人がフィンランドショックと呼ばれる治験を根拠としますが、曲解も多いです
まあこのフィンランドショックについては別の機会におはなしします
人間の食経験の歴史から考えるとにんじん由来のβ-カロテンが最も馴染んでいるのではないでしょうか?
ほとんどのサプリメントはドナリエラ(藻類)から抽出されていますがドナリエラ自体は食べ物としての食歴は有りません
ちょっと例外ですが、この頃よく見かけるピンク色の岩塩の色の由来はドナリエラの一種です
「食歴の無いものを「天然」とうたうのはちょっとどうかなあ」と言うことでほぼ天然という表現にしています
天然にこだわるのであればにんじん由来のものが良いとも言えますが実はこれにも問題があったりします
にんじん自体のβ-カロテン含量は100gあたりで約7.7mg
かなり含量が少ないためサプリメントにする際には抽出・濃縮が必要になります
この抽出・濃縮の過程には忌み嫌われる有機溶媒を使用する場合が多いです
もちろん濃度を考えなければ食用油を用いた油浸法による抽出も可能ですが肝心のβ-カロテン濃度が低くサプリメントには不向きです
(油浸法で作られたキャロットオイルはアロマテラピーや化粧品に使用されています)
また含有量が低いため価格も高価になりがちです
ドナリエラはにんじん等と比べβ-カロテン含有量が高く、高品位の乾燥粉末ドナリエラ100gあたりで5g程度含有しています
このためサプリメントにはドナリエラ粉末やドナリエラ抽出β-カロテンが用いられる場合が多いようです
続いてはビタミンE
ビタミンEはトコフェロールという油脂の一種です
トコフェノールにはα、β、γ、δという4種類があり、このうちα-トコフェロールが最も活性が強いとされています
このため昔は摂取目安量にα-トコフェロール換算なんて数字を使用していましたが、現在はα-トコフェロール量で示されるようになりました
もちろんこのα-トコフェロールにも天然由来のものと人工合成によるものが有ります
天然と人工合成では活性も異なり、天然のものの方が1.2~1.3倍ほど活性が高いとされています
これは人工合成品には光学異性体という構造が鏡写しになったものが含まれ、これの活性がやや低いためです
天然由来のものの原料は食用の油脂が多いです
べに花油、ひまわり油、小麦胚芽油、大豆油、綿実油、米糠油、コーン油、菜種油などなど、多くの食用油脂から抽出されたビタミンEが有ります
またこれらの油の絞り滓からも抽出されています
この抽出過程でも有機溶媒や超臨界抽出が使用されることが多いです
抽出過程での酸化を抑えるという意味では仕方が無い気もします
最近はサプリメントに人工合成品を使用するケースが減ってきているようです
理由としては製薬会社等の製造メーカーも天然品からの抽出品に切り替えてきているためでしょう
原材料表示ではビタミンEとあっても天然品の可能性が高くなっています
不勉強な人が原材料表示のビタミンEという表示をみて合成品だとクレームを付けるケースも有るようです
またトコフェロール自体は油脂ですから液体ですが、デキストリンを利用して粉末化した原料も有ります
(もちろん天然由来原料を抽出したビタミンEで)
このように「天然ビタミンA(β-カロテン)」「天然ビタミンE」はほぼ「ホント」
ただし、各々抽出という過程を考えると一般的な消費者の想像する「天然」とは少し違うかも知れませんが
次回はミネラルのウソ・ホントを予定しています
ただしビタミンAのサプリメントは少なく、ほぼβ-カロテンの形で供給されています
理由は後でお話します
まずは「天然β-カロテン(カロチン)サプリメント」「天然ビタミンEサプリメント」はウソ・ホント?
これはほぼ 「ホント」
でもあくまでもほぼね
では詳しく話していきます
まずはビタミンAのおはなしから
ビタミンAは(ほぼ)レチノールという化合物で網膜細胞の保護作用が有名です
このため欠乏すると夜盲症などを引き起こします
ビタミンAそのものは過剰症があり、特に妊娠初期の過剰摂取は胎児への悪影響が指摘されています
(女性の一日所要量は1800IUで摂取上限が5000IUとなっています)
体内では摂取したβ-カロテンが腸や肝臓、腎臓で必要な分だけ分解されビタミンAとなって使用されます
このためβ-カロテンでは過剰症の発生の危険が少なくなっています
(所要量の上限はあくまでビタミンAで、β-カロテンでは適用されません)
天然由来のβ-カロテンと合成のβ-カロテン違いはあるのでしょうか?
化学構造的にはトランス型とシス型の2つが有ります
まず化学合成のβ-カロテンはトランス型と呼ばれるものです
またある種の真菌を用いた発酵法で作られるβ-カロテンもトランス型が主体です
天然由来ではその原料の種類により、いくつかあります
にんじん由来のものはトランス型が多めで、藻類(ドナリエラ)由来のものはシス型とトランス型ほぼ同率となっています
他にパームヤシ由来のものもあるのですがトランス型・シス型の比率はわかりませんでした
パームヤシ油を見ればわかりますがあの赤い色の元がβ-カロテンです
トランス型、シス型の違いにより有効性についてははっきりとは確認されていません
いくつかの論文では生理活性的に両者に差がないというものもあり、またシス型の方が良いとする論文も有ります
ヒステリックにトランス型を否定する立場の多くの人がフィンランドショックと呼ばれる治験を根拠としますが、曲解も多いです
まあこのフィンランドショックについては別の機会におはなしします
人間の食経験の歴史から考えるとにんじん由来のβ-カロテンが最も馴染んでいるのではないでしょうか?
ほとんどのサプリメントはドナリエラ(藻類)から抽出されていますがドナリエラ自体は食べ物としての食歴は有りません
ちょっと例外ですが、この頃よく見かけるピンク色の岩塩の色の由来はドナリエラの一種です
「食歴の無いものを「天然」とうたうのはちょっとどうかなあ」と言うことでほぼ天然という表現にしています
天然にこだわるのであればにんじん由来のものが良いとも言えますが実はこれにも問題があったりします
にんじん自体のβ-カロテン含量は100gあたりで約7.7mg
かなり含量が少ないためサプリメントにする際には抽出・濃縮が必要になります
この抽出・濃縮の過程には忌み嫌われる有機溶媒を使用する場合が多いです
もちろん濃度を考えなければ食用油を用いた油浸法による抽出も可能ですが肝心のβ-カロテン濃度が低くサプリメントには不向きです
(油浸法で作られたキャロットオイルはアロマテラピーや化粧品に使用されています)
また含有量が低いため価格も高価になりがちです
ドナリエラはにんじん等と比べβ-カロテン含有量が高く、高品位の乾燥粉末ドナリエラ100gあたりで5g程度含有しています
このためサプリメントにはドナリエラ粉末やドナリエラ抽出β-カロテンが用いられる場合が多いようです
続いてはビタミンE
ビタミンEはトコフェロールという油脂の一種です
トコフェノールにはα、β、γ、δという4種類があり、このうちα-トコフェロールが最も活性が強いとされています
このため昔は摂取目安量にα-トコフェロール換算なんて数字を使用していましたが、現在はα-トコフェロール量で示されるようになりました
もちろんこのα-トコフェロールにも天然由来のものと人工合成によるものが有ります
天然と人工合成では活性も異なり、天然のものの方が1.2~1.3倍ほど活性が高いとされています
これは人工合成品には光学異性体という構造が鏡写しになったものが含まれ、これの活性がやや低いためです
天然由来のものの原料は食用の油脂が多いです
べに花油、ひまわり油、小麦胚芽油、大豆油、綿実油、米糠油、コーン油、菜種油などなど、多くの食用油脂から抽出されたビタミンEが有ります
またこれらの油の絞り滓からも抽出されています
この抽出過程でも有機溶媒や超臨界抽出が使用されることが多いです
抽出過程での酸化を抑えるという意味では仕方が無い気もします
最近はサプリメントに人工合成品を使用するケースが減ってきているようです
理由としては製薬会社等の製造メーカーも天然品からの抽出品に切り替えてきているためでしょう
原材料表示ではビタミンEとあっても天然品の可能性が高くなっています
不勉強な人が原材料表示のビタミンEという表示をみて合成品だとクレームを付けるケースも有るようです
またトコフェロール自体は油脂ですから液体ですが、デキストリンを利用して粉末化した原料も有ります
(もちろん天然由来原料を抽出したビタミンEで)
このように「天然ビタミンA(β-カロテン)」「天然ビタミンE」はほぼ「ホント」
ただし、各々抽出という過程を考えると一般的な消費者の想像する「天然」とは少し違うかも知れませんが
次回はミネラルのウソ・ホントを予定しています