黒砂台鍼灸あん摩治療院

鍼灸院の日常日記

「皇潤」を読み解く 健康食品のウソ・ホント

2011-02-16 12:22:01 | 健康食品 ウソ・ホント
最近テレビで大々的に宣伝している「皇潤」、治療院に来られる方の中にも買ってみたという人がいらしゃいます。
いくつか質問をいただいた関係でイロイロ調べてみたのですが・・・・ため息をつきたくなりますね。

まずこの「皇潤」健康食品として自分はオススメできません。
理由は3つ有ります。

1.健康食品として誠実な商品ではない
2.膨大な広告宣伝にともない、商品価格が高い
3.そもそもヒアルロン酸は健康食品としてエビデンスレベルが低い


1.健康食品として誠実な商品ではない
「飲むヒアルロン酸」として大々的に広告、宣伝を行なっているこの商品、商品にも販売ページにも一切ヒアルロン酸の含有量の記載は有りません。
この点を見るだけで誠実な商品ではないことが見て取れます。
商品の説明に記載されている内容をあげていきますと

○1粒(300mg)あたりの栄養成分
エネルギー1.13kcal、たんぱく質0.11g、脂質0.01g
炭水化物0.14g、ナトリウム2.0~6.0mg

○原材料
ヒアルロン酸含有鶏冠抽出物、デキストリン、セルロース、乳酸カルシウム、プロポリスエキス、ショ糖脂肪酸エステル、ビタミンB1、ビタミンB6、キトオリゴ糖(エビ、カニ由来)、ビタミンE、セラック、ピロリン酸第2鉄、ビタミンB12


ただし、ヒアルロン酸の含量表示は義務ではありません。
でも誠実な会社であれば表示をすると思いませんか?実際に優良な多くの健康食品メーカーは義務表示のない素材の含有量も表示しています。

また、原料中にビタミンB1、B6、ビタミンE、ピロリン酸第2鉄、ビタミンB12が入っていますがこれらの含有量表示もありません。
しかも、食品添加物であるこれらを原料として使用しているのに

「皇潤(こうじゅん)は自然由来の素材を原料にした安心出来るヒアルロン酸食品です」

という記載が有ります。しかもネット上では検索に引っかからないように画像での記載です。
自然由来と言っていますが、原材料表記を見るだけで合成の原料を使用しているのは明らかです
まず間違いなく、ビタミンB1 ビタミンB6 ビタミンB12 ショ糖脂肪酸エステル ピロリン酸第2鉄は合成品でしょう。
以前ブログの記事にも書いていますが、天然自然を唄ったサプリメントはまず疑ってかかるべきです。

2.膨大な広告宣伝にともない、商品価格が高い
まああれだけ膨大なCMを流しているのですから効果になるのは当たり前でしょう。
商品購入の際にはあの膨大なCM費用がかなり含まれていることを承知すべきです。

3.そもそもヒアルロン酸は健康食品としてエビデンスレベルが低い
CiNiiという学術文献検索サイトがありますが、このなかでヒアルロン酸を検索すると1000本程度の論文が集まってきます。
ただし、ほとんどの論文が食品として摂取した場合ではなく、腹腔投与や関節内注射などに関しての論文です。
残念ながらサプリメントとして摂取した場合の効果については「エビデンスレベルが低い」つまり科学的に根拠があるとは言いがたい状態です。

ではなんでこんなに持て囃されるのか?というと、お医者さんが注射で使用しているからというのがあるでしょう。
お医者さんが膝などの関節腔内に行うヒアルロン酸注射は関節炎等に非常に有効なことが数々の論文からも見て取れます。
ここから「ヒアルロン酸が膝に良さそう」というイメージになっているのでしょう。
購入摂取するのであれば、エビデンスレベルは低いということを覚悟しておくべきです。
注射として使用する場合と食品としての摂取を比べた場合、効果が全く異なる場合が多いです。注射で効くお薬でも錠剤で飲んだら全く効かないというのはよくあることです。

「ネットには聞いたという話がいっぱいあるじゃないか」と言う人もいるかも知れません。でもね、本当にヒアルロン酸が効いたのでしょうか?よくよく考えてみることです。
皇潤にはビタミン類も多くの種類が配合されています。こっちで効果を実感したという可能性もあるんです。

以上3点の理由から自分はあまり皇潤をおすすめしません。
少なくとも身内であったり、大切な自分の患者さんに対してはね。


天然ビタミン・サプリメントのウソ・ホント 7

2010-09-03 16:38:37 | 健康食品 ウソ・ホント
微量ミネラルを配合している天然サプリメントはウソ・ホント?

一言で片付ければ ウソ


順を追って書いていきます

まず微量ミネラルとはなんなんでしょうか?

そもそもミネラルとは無機質とも言われ生体に欠かせない栄養素の1つです
糖質・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルをあわせて5大栄養素とも言われています

昭和44年の栄養所要量の策定以来、栄養学(栄養所要量)の世界において長らくミネラルとはカルシウム、鉄のみをさしてきました
世界の栄養学の潮流ではすでに20年以上前の段階でカルシウム、鉄以外の多くのミネラルを栄養素として扱うようになっていました
しかし日本で世界標準に準拠した形でのミネラルの栄養所要量が策定されたのは平成11年、今から11年ほど前の話です
また2005年版日本人の食事摂取基準ではミネラルをミネラルと微量元素と電解質に分けた記載が始まりました
(2010年版では電解質をミネラルに含める形で2つの分類に簡略化されました)

この2010年版日本人の食事摂取基準で定義されている微量元素が
鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン
微量ミネラルもこれらとほぼ同じと考えてください


ではなぜウソと言い切るのかについて代表的な微量ミネラルを例にあげて書いていきます

○鉄
鉄は初期の栄養所要量の制定時にも取り上げられている歴史の古い微量ミネラルです

添加物として認可されているものも多く有ります
塩化第二鉄、クエン酸鉄類、グルコン酸第一鉄、鉄クロロフィリンナトリウム、ピロリン酸第二鉄、硫酸第一鉄などがあります
このうちサプリメントによく使用されるのが、塩化第二鉄やピロリン酸第二鉄です
これらの鉄素材には吸収率が低い事やタンニン等で吸収が阻害されやすいなどの問題も有りますが、育児用ミルクやベビーフードなどにも用いられ安全性の問題は少ないとも考えられています

別の素材としてはヘム鉄があります
これは動物の血液を原料に酵素処理等で精製された鉄素材で、吸収率が高く過剰摂取の弊害が少ない等のメリットも有ります
ただし血液由来のためコンタミネーション等の問題から品質管理の行き届いた原料を使用することが望ましいです
豚由来、牛由来の物がかつては有りましたが、現在は豚由来のものが多くなっています
ただし鉄の含有量としては1~2%と低く、サプリメントにするには配合量上の制約から難しいこともあります
また価格も高価で食味も悪い(血の味)という問題も有りますが良い素材です
精製の工程から天然とは言い難い部分も有ります

その他に鉄含有酵母などという素材も有りますがいくつかの問題が有ります
ミネラル含有酵母についてはまとめて最後に書いていきます

○亜鉛
かつては男性の性機能の向上などをうたってセックスミネラルと称されることもあったミネラルです
欠乏で味覚異常が引き起こされたり、肌のトラブル等も起こるといわれています

通常の食品中で多く含まれるのは牡蠣、レバー、うなぎ等がいわれています
食品添加物ではグルコン酸亜鉛が有ります
かつてはグルコン酸亜鉛は育児用ミルクにしか使用が許されていませんでした
しかし近年、栄養摂取基準に亜鉛が記載されるようになったこと等もあり保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)への使用が可能にかわりました

牡蠣のエキスやレバーのエキスであれば天然なんじゃないの?と思われるかも知れません
残念ながらサプリメントに使用する亜鉛素材としては不向きです
まず第一にエキス剤の亜鉛の含量が低すぎることが有ります
摂取基準を満たそうとすると錠剤で数十粒のサプリメントになってしまいます
きちんとした牡蠣エキスサプリメントであればあるほど亜鉛の摂取目的には向きません
中には牡蠣エキスに別の亜鉛素材を添加している商品もあります
(まあこれはこれで良心的ではありますが)

その他、食品添加物以外の素材で使用可能な物として亜鉛含有酵母が有ります
これについてもミネラル含有酵母で詳しくのべていきます

○銅
グルコン酸銅、硫酸銅などがありますが硫酸銅は育児用ミルク以外への使用はできません
グルコン酸銅はグルコン酸亜鉛と同様に保健機能食品(特定保険証食品、栄養機能食品)への使用が可能です
その他に銅含有酵母があります

○マンガン ○ヨウ素 ○セレン ○クロム ○モリブデン
については食品添加物として使用可能なものは有りません
天然サプリメント原料として使用可能なものはヨウ素素材としての海藻類ぐらいでしょうか
ただし、これもヨウ素量を安定させるには難しいのが現状です
上記5微量ミネラルにもミネラル酵母原料が存在しています

●ミネラル含有酵母とは
微量ミネラルの供給源としてよく使用されていうるのがミネラル含有酵母です
少なくとも鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン含有酵母は供給され様々なサプリメントに利用されています
これを使用して天然サプリメントと称する業者も多いのですが、果たしてこれは天然と言えるのでしょうか?

製造工程を知っている立場から言うと、これを天然と言うのには無理があります
ミネラル含有酵母は培地(酵母の餌を含んだ水溶液)に目的のミネラルを高配合して酵母を育てることで目的のミネラルを多く含む酵母を作り出します
この際に培地に添加されるのは食品添加物や食品添加物外のミネラルです
酵母内に取り入れられたミネラルであれば酵母内のタンパク質や核酸と結びついた形での存在となり、培地に添加した原料の添加物とは異なる形になります

しかしながら酵母にミネラルを高含有させることは難しく、そのミネラルごとに含有能力の高い菌株の探索やミネラル添加条件の検討など高度のノウハウが必要です
サプリメントに使用できる含量のミネラル酵母を作るのは非常に難しいのが現状です

そこで問題となるのが練りこみ製法によるミネラル酵母の作成です
培養中に取り込ませるのが難しい場合、酵母を培養後、遠心分離によって酵母をペースト状にしてこれにミネラル源を添加します
高濃度のミネラルに酵母を集中的に触れさせることでミネラルを酵母中に取り込ませるといううたい文句で行われています
実際にはこの工程の後で十分な洗浄を行わずに酵母を乾燥したり、練りこみ後に洗浄を行わず原料を作ることで添加物がそのまま残っている商品も有ります
いわば酵母にミネラル添加物を混ぜただけでミネラル酵母と称するような粗悪なものも有ります

こういった添加物がそのまま残った原料によって起こる問題はすでに日本の研究でも指摘されています
2008年に発表された研究によりますと市販のミネラル補給サプリメントからピコリン酸クロムがいくつかの商品から検出されています
このピコリン酸クロムは欧米ではサプリメントに使用されていますが日本での使用は許可されていません
またきちんとした製法のクロム含有酵母からも検出はされません

このように、ミネラル含有酵母を天然と言い張るのには無理があります
製造方法から言ってもそうではないでしょうか?(練り込みの問題をのぞいても)
問題ない原料なのかどうかは、消費者からは見分けることは事実上不可能です

こういった点から微量ミネラルを配合している天然サプリメントはウソという結論になるわけです

もう一点
原材料表記での問題もありますが、まあこのへんは続きの項で書いていきます

ミネラル酵母に関連した原材料表記の問題です

日本国内でミネラル酵母の使用する場合、原材料表記は単に酵母だけで済ますことはできません

クロム含有酵母を使用しているなら 「クロム酵母」「クロム含有酵母」「酵母(クロム含有)」等という表記が必要です
セレン含有酵母を使用しているなら 「セレン酵母」「セレン含有酵母」「酵母(セレン含有)」等と表記します
ではマンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンをミネラル含有酵母で配合するとどうなるかというと
「マンガン酵母、ヨウ素酵母、セレン酵母、クロム酵母、モリブデン酵母」という風にすべて表記が必要です
アメリカなどでは単に酵母という表記のみが可能な場合があり米国製の商品を輸入している会社等では単に「酵母」との表記で済ませているケースが見受けられます
こういった商品を販売している会社は製品の製造や法規に熟知していない可能性があります
また、知った上で行っているケースもあるので・・・


天然ビタミン・サプリメントのウソ・ホント 6

2010-09-01 12:00:25 | 健康食品 ウソ・ホント
ミネラル編の第2弾はマグネシウム
カルシウムと並んで所要量の多いミネラルです

天然マグネシウムと書いてある商品はウソ・ホント?
これはウソとホントが混在しています
ケースバイケースとなるので注意してください

主に含まれる食品としてはアーモンドなどのナッツ類やかぼちゃやスイカの種、海藻類に多く含まれています
でも含有量はアーモンドで100gあたり310mg、刻み昆布で100gあたり720mg、干しひじきで100gあたり620mgとあまり多くは有りません

一般的なマグネシウムサプリメントの場合一日量で150mg~250mg前後の摂取量を標榜しています
こういった量を取るためにはナッツ由来や海藻由来のマグネシウムでは不十分です

ではサプリメントに用いられるマグネシウム素材にはどんなものがあるのでしょうか?
誤解を承知で書くとその多くは食品添加物です
塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、など
塩化マグネシウムは豆腐の凝固に使われるにがりの主成分
硫酸マグネシウムも同じく豆腐の凝固剤の他、下剤としても使用されます
酸化マグネシウムは下剤としてよく用いられる他、肥料としても使用されています

食品添加物では有りますが、ほとんどの場合は海水から作られているようです
食塩の製造工程で出てくるニガリからさらに精製される場合が多いです
また上記の物はすべて強化剤としての使用が可能なため原材料表記の省略が可能な場合もあります
この中では塩化マグネシウムは吸水性が高く、硫酸マグネシウムは苦味が強いため酸化マグネシウムの使用が盛んです

では天然素材はないのでしょうか?
無いわけでは有りません
例えば精製をしていないニガリなどは塩化マグネシウムの含量もあるていどあり、使用可能ですが問題も多々有ります
吸湿性が高く粉末化がしにくかったり、製造上マグネシウム含量がばらついたりという問題が有ります
また塩素との化合物のため、塩素の過剰を心配する声もあります
さらに未精製であればあるほど、塩がかなり残存しているため塩分過剰には注意が必要です

その他にはマグネシウム高含有酵母や乳酸菌も有ります
マグネシウム酵母で約5%の含量で、乳酸菌では15%という素材も有ります
ただしミネラル含有酵母には様々な問題も有ります
その一例が練りこみによる製造で作られたものです
これについては微量ミネラルの項で詳細にお話します

その他の天然マグネシウム素材としてドロマイトが有ります
前回のカルシウムの項で紹介したドロマイト
実はカルシウムのソースとしてよりもマグネシウムのソースとしての価値の方が高いのではないかと自分は考えています
天然の岩石を粉砕・洗浄等を経て製造されるドロマイトを天然と称するのは少し問題がありますが、サプリメント素材としてはかなり優秀です

近年、カルシウムとマグネシウムは2:1での摂取することが推奨され始めています
そういった意味ではCaMg(CO3)2というドロマイトのカルシウムマグネシウム比率は2:1と理想的です
元が岩石というのに抵抗感がなければドロマイトは本当におすすめできる、カルシウムマグネシウム素材です

市場で売られているサプリメントの中には植物由来オンリーとうたっている物もあります
ちょっと信じられないですね
頭のイイ詐欺師の仕事みたいに感じてしまいます
健康食品のウソ・ホントシリーズの最後に悪質商法の詳細を書こうと考えていますが、そこで植物由来をうたう悪質商品の仮想例をあげようと考えていますのでお楽しみにしてください

最後に天然マグネシウムのウソ・ホントについて

「粗精製ニガリ」と原料にあれば→ほぼ「ホント」

「ドロマイト」と原料にあれば→ほぼ(岩石由来ですが)「ホント」

「酵母」とある場合は→酵母の製造法でウソとホントが入り雑じっています

「植物100%」とある場合→酵母の表記がない場合はほぼ「ウソ」

こう考えてもらって大体はあっていると思います


次回は微量ミネラル
練り込みによる製造の問題をクローズアップ
この製法が実はビタミンなどにも波及しているんです

天然ビタミン・サプリメントのウソ・ホント 5

2010-08-31 10:42:42 | 健康食品 ウソ・ホント
健康食品ウソ・ホントシリーズ、今度はミネラル編です
ミネラルには様々なものが有りますが、大きく分けると所要量の多いミネラルと少ないミネラルに分けることができます

所要の多いミネラルに関しては実はウソは少なくほぼホント
問題なのは所要量の少ないミネラルです

まずは所要量の多いミネラルから進めてまいります

代表的なミネラルであるCa(カルシウム)
天然と称するものも多いのですが、これはほぼホント

材料となるのは動物や魚の骨、卵殻、カキ殻などの貝類の殻、その他にミルクカルシウムがあります
これらを焼成したり乾燥・粉砕等で加工したものが多いです
もう一つ別枠というかドロマイトという素材が有りますがこれについては後ほど触れます

サプリメントで多く用いられているのは卵殻カルシウムやカキ殻カルシウム
牛骨粉もかつては使われていましたが狂牛病の影響で今は殆ど使用されていないようです
卵殻やカキ殻中ではカルシウムはは炭酸カルシウムという形で存在しています
高度焼成等を行った場合は酸化カルシウムになることもありますが殆どの場合炭酸カルシウムの形のものが多いですね

卵殻カルシウムは価格も安く色も白いため非常にサプリメントに使用しやすいカルシウムです
昔は粒度が荒くざらついた食感になるため使用できる形態が限られましたが、今は微粉砕のものが主流で飲料等にも使用可能になっています
またリンの含有量が低く、透析患者さんのリン吸着剤としてもよく使用されています

カキ殻カルシウムは欧米でサプリメントによく使用されている素材です
焼成することで色も白くなり、食感も良くなりますが特有の味があるため汎用性には欠ける部分も有ります

ミルクカルシウムは若干高価ですが食味に優れ、またカルシウムがリン酸カルシウムの形で含まれています
いくつかの研究では吸収率が高いというような報告もあります
(吸収率については後で詳しく述べていきます)

カルシウムは元素ですのでそのものの合成品は存在しませんが、乳酸カルシウムやグルコン酸カルシウムのように食品添加物として販売されているものも有ります
これらの食品添加物もカルシウム自体は天然の素材を使用する場合が多いです
乳酸カルシウムであれば発酵乳酸に焼成貝殻等を添加して撹拌・精製・乾燥で作られます
グルコン酸カルシウムは水溶性に優れるため輸液向けの医薬品として広く用いられています

最後に取り上げるカルシウム素材がドロマイト
これを食品というのは少し憚りが有ります
というのもこの「ドロマイト」は岩石を粉砕したものなんです

ドロマイトは苦灰石、または白雲石とも言われる岩石を粉砕したものです
主成分の化学式はCa・Mg(CO3)2 で炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの複合したような構造です
日本では10年ほど前から食品添加用としての使用が認められています
カルシウム:マグネシウム比率が2:1と栄養摂取には理想的で、在職時は積極的に採用をすすめていました
ただ、素材が岩石ということで結構抵抗感があって10年ほど前の当時はなかなか採用されなかったですね
これは後から述べますがマグネシウム素材になかなか理想的なものは無いというのもあり、元が岩石というのを除けば非常に良い素材です
ただし、元が岩石ということもあってメーカーや産地等での品質にバラつきが多いです
採用にあたっては価格よりも品質に目を光らせなくてはいけない素材ですね

このようにサプリメントに使用するカルシウム素材は天然由来のものが多いです
また食品添加物だからといって元のカルシウムの由来は天然のものだったりもします


ただし、カルシウムのサプリメントにもウソが結構あったりします

それが「吸収率」や「水溶性」という言葉
実はカルシウムの吸収率は同じカルシウム素材でも文献や治験で大きくばらつくことが多いです
また「水溶性だから吸収率が高い」とうたう商品も多いのですが、一概には言えないというのもあります

十数年前には訪問販売や悪徳商法でこういった水溶性カルシウムの販売が相次いだんですね
「ハイ、この二つのカルシウム、このビーカーでお腹のなかに入った時を再現しましょう」
なんて言って、乳酸カルシウムと炭酸カルシウムをビーカーに入れて水で溶かすわけです
「ホラ、こっちの奥さんの使用しているカルシウム(炭酸カルシウム)はほとんど溶けません、これじゃウンチと一緒に出ていっちゃいますね」
「でも、ウチの商品は全然チガウ、ウチだけのトッキョ製法で作られた天然カルシウムは溶けちゃうんです、だから吸収されるんです」
なんて口上で食品添加物の安価な乳酸カルシウムを高く売りつける業者もたくさんいました
水に溶かした乳酸カルシウム溶液やグルコン酸カルシウム、乳酸グルコン酸カルシウムもこういった悪徳商法の犠牲になってましたね

確かに空腹時の服用では吸収率に差が出るという治験も有りますが、食事時に食べ物とほぼ同時に摂取すれば炭酸カルシウムでも吸収率は十分な値になるんです
そういう意味ではあまりに「水溶性」や「吸収率」に過度に拘る必要はありません

だから素材としてのカルシウムにウソは殆ど無いのですが、売る側のセールストークにウソが含まれることは注意してください

次回はマグネシウム編
これの方がウソは多いかも知れません

健康食品ウソ・ホント 記事掲載のワケは?

2010-08-30 16:01:04 | 健康食品 ウソ・ホント
鍼灸あん摩治療院のブログなのになんでか健康食品関連の記事も充実させています
(当ブログの健康食品の記事は→健康食品ウソ・ホントからどうぞ)

実は治療院では現在のところ全く健康食品や自然食品などの物販は行っていません
じゃあ、なんで記事にするの?、しかもえらい否定的に?
と思われるかも知れません

実はこういった健康食品の一連の記事はプロに読んでほしくて書いています
鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師などなど、整体師でもカイロプラクターでもエステティシャンでも健康食品販売業にアロマテラピストでもサプリメントアドバイザーの資格を持っている人にも
こういった健康産業や医療関連産業についている人に読んでほしいと思って書いています

コンビニから治療院やエステなどのサロン、現在はいろいろなところで健康食品は販売されるようになってきました
でも、売る側や本来触れる機会の多いはずの人間にプロが少ないというのが健康食品やサプリメントの不幸でもあります

別に「自然食品」とか「天然」とかを声高にうたわなくても健康食品やサプリメントというものは結構いいものです
少なくとも必要な人に必要なものをプロが届けることが出来ればいいものです
プロとしての自覚や知識がないから、売りやすいツールとして「天然」やら「自然」やらを使用したり、他のサプリメントを意味もなく否定したりしなくてはならないのではないでしょうか?

そういう思いから、健康食品の開発製造に関わっていた人間として記事を書いています
間違った情報で販売される健康食品を減らしたいと思って書いています

そんなわけでもう少し健康食品関連の記事が続きます
次はミネラル編の予定
ここもウソがギッシリのところなんで毒いっぱいで展開します