黒猫亭日乗

題名は横溝氏の「黒猫亭事件」と永井荷風氏の「断腸亭日乗」から拝借しました。尚掲示板が本宅にあります。コメント等はそちらへ

我が生涯に一片の悔いなし

2013年06月14日 | Weblog
声優・内海 賢二氏が亡くなった。またもや唯一無二の声を持つ人を、我々は失ってしまったわけである。
タイトルは氏の当たり役だった「北斗の拳」のラオウが往生するときに言った言葉であるが、アニメ史上に残る名台詞としてあまりにも有名である。
私は氏の艶のある声が好きだった。日本のテレビ漫画の黎明期から活躍していた方だったけれど、「ドクタースランプ」の則巻千兵衛博士や、「ドラゴンボール」のシェンロンや、最近では一世を風靡したアニメ「鋼の錬金術師」のアームストロング少佐等々、どの役も忘れがたい。氏のように艶のある、唯一無二の声を持つ人といって、私の頭に思い浮かぶのは波平さんや「じゃりン子チエ」の小鉄役で有名な長井一郎氏くらいのものだ。二枚目の美男・美女をアテる声優さんは山のようにいるけれど、他に変えがたい声を持つ人というのは、実は今も昔もぞっとするくらい少ないのである。
今やアニメは海外にも根強いファンを持つ、日本の一大文化であるけれど、その実国内ではとうの昔にテレビゲームに子供の娯楽の座を奪われ、ゴールデンタイムにここ数年来新作を打ち出すことのない凋落著しい存在になってしまっている。今の子供たちが大人になって心懐かしく思い出す物は何なのか。それを想うと私は背筋が薄ら寒い。劇場アニメで3Dやらデジタルリマスターやら人気俳優サンなどを起用したりして未だに昔懐かしいビッグタイトルのアニメにしがみついているのは、実は今のアニメ界はそうするしか方法が無いからではないだろうか。
しかしながら、近年でも「鋼の錬金術師」は大ヒットした。「黒のエクソシスト」も映画化に漕ぎ着けるなどなかなかの健闘を見せた。そしてハガレンの作者が現在執筆して話題をさらっている「銀の匙」も今夏放映されるそうである。なんとか再びテレビアニメがテレビのゴールデンタイムをにぎわす存在になって欲しいものである。



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