黒猫亭日乗

題名は横溝氏の「黒猫亭事件」と永井荷風氏の「断腸亭日乗」から拝借しました。尚掲示板が本宅にあります。コメント等はそちらへ

チームバチスタの栄光

2010年10月20日 | 本のページ
作・海堂尊
評価・☆☆☆☆

映画やドラマでヒットしたお話の原作である。私は、「ドラマ」→「映画」→「本」という、世に出た順番とは全く逆の順番で鑑賞した。とにかくドラマの印象が強くて、元々はどういうお話だったのかと、興味はまずその点からであった。
田口・白鳥共に、ドラマとはかなり印象が違うのにまず驚く。白鳥は長身のイケメンではなく小太りの中年男であり、田口はドラマほどに愚直な男ではなく、ただ出世欲のないミテクレは結構イケてて頭もそこそこ切れる若い医師であった。一番驚いたのは麻酔科医師の氷室。驚くほどに冷淡で狡猾な男だった。ドラマでは少し同情できる余地もあった氷室だったが、こちらでは再びの登場を予感させるものすらあった。
一番違うのが事件の終焉後。原作者は現役の医師との事で、素人には考えの及ばない医療の問題点も描き出している。ただ、少し残念だったのが人間関係のありきたりさ、という点か。いずれにしても、読んで損はしない作品であることに間違いない。


本宅はこちらになります。よろしければお寄りください。→黒猫亭日乗

最新の画像もっと見る