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ビスクドール・雛人形店・オーディオ販売 佐久市 ヤナギダ店長ブログ

ビスクドール64体他お節句雛人形をフランスへ輸出128年、軽井沢方面がお店の場所。

回想 「砂丘のたもとにて」

2022年08月15日 09時21分49秒 | owarai
 
 
 
 
 
かれこれ、二十年あまり前のこと
です。

なのに、いっこうに古びることの
ない、この記憶。古びるどころか、
まるで磨きたてのガラス窓みたい
に清新で、澄み切っています。

 会社で出している出版物ができ
あがって、印刷所から運び込まれ
てくると、わたしたちは地下の駐
車場まで下りていき、バケツリレ
ーの要領で車の荷台から商品を降
ろして、倉庫に運び込む、という
ような作業をやっていたのですね。

その日はものすごく蒸し暑い日で、
運悪く販売部の男性社員が全員
出払っていたこともあり、作業は
困難もきわめていました。

わたしたち女性社員四人―――
うちひとりは、年配の経理のおば
ちゃんでした―――は汗だくにな
って、ふうふう言いながら、茶色
の紙に包まれた、岩のように重い
出版物を抱えて、右往左往して
いたのです。

そこへ、どこかで引っ越し業務を
終えてきたらしい、順ちゃんの
会社のトラックがもどってきま
した。わらわらと、車から降りて
きたのは、順ちゃんのほかに、
大柄な男の人がふたり。

 彼らは、へっぴり腰になっている
哀れになっている女たちに同情し、
見るに見かねたのでしょう、
「しゃないな。もういっちょう、
運んじゃるか」
「そやな、放っておいたら、夜まで
かかりそうやし」

「よっしゃ、行くで」
などと声をかけ合いながら、わたし
たちを手伝ってくれたのです。

さすがは引っ越し屋さんだけあって、
三人は筋骨隆々としてたくましく、
全身に若さと活気がみなぎっている
ようでした。あっというまに、

山のような荷物はすっきり片付き、
わたしたちは厚くお礼を言って、
誰かが買ってきた缶コーヒーを
飲みながら、みんなで輪になって
世話話をしました。

他愛ない話しです。どうってこと
もない雑談。無邪気な笑い声。
何を話して、何が可笑しくてそん
なに笑ったのか。
その時から、わたしは順ちゃんだ
けを、見ていたような気がします。

「気がします」と書いたのは、順
ちゃんだけを見ていたその行為が、
わたしの意志によるものでは決して
なくて・・・・そうじゃなくて、
何か抗いたい力に支配されるように、
文字通り、吸い寄せられるように、

引き込まれるように、見つめて
いたから。
優しくて、残酷な力です。
でもそれが、恋の力というもの
でしょう。
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平等に話すチャンスをくれるものゆえに優しき留守番電話

2022年08月15日 09時19分07秒 | owarai

 

 

 

恋をすると誰もが詩人になり、
とめどもなく言葉が溢れて
くる。

恋愛の初期段階はこれが書
き手の純粋な思いをデフォ
ルメして、時にはいらぬ不
安を相手に抱かせるきっか
けになる。

あえて言葉にしない深い思
い。読む側に余韻を残すよ
うに書けと専門家は説く。

下手な手紙ほど長く、感情
も盛りだくさんで想像の余
地などない。
恋は段取りではない。
再び会うための引きの言葉
は、連載小説と同じく次回
へと興味をわかせるもので
なければならないのだ。

しかもそれは作為的であって
はいけない。作り話ほど意外
にも簡単に見破られてしまう。
恋愛初期は互いに心がピュア
になっているから、お互い直
観力が増しているのも忘れて
はいけない点だ。


「男の美しさ」

2022年08月15日 09時16分33秒 | owarai
 
 
 
『源氏物語』は平安中期に生まれた。
この時代は国母(こくも)と呼ばれた
ミカドの母をはじめ、女性らの発言力
が強かったため、女に好かれる美しい
女性的な男性が好まれた。

光源氏は「女にしてみたい美しさ」と、
たびたび描写され、当時は武家社会で
褒められるようなヒゲの濃い雄々しい
男は嫌われた。

この時代は女の長所を褒めるやさしい
男性がよしとされていたからだ。

現代の日本も美しさの基準」は、
ファッションから体型まで女性
よりになっている。

「スタイリッシュ」で「かわいい」
ものに人気は集まり、「男臭い」も
のは見向きもされない。

日本は男性社会と言われつつも、
家庭や職場では女性の存在感、
発言力は強く。男性を困惑させ
る場面も多々ある。

今の日本はそう考えると平安中期
と同じ女性寄りの社会なのだ。


 

「てのひらの思いで・・・・」

2022年08月15日 09時05分05秒 | owarai

ことばで宝石を作ることができます
愛さえあれば

木の実で宝石を作ることができます
愛さえあれば

なみだで宝石を作ることができます
愛さえあれば

雨で宝石を作ることができます
愛さえあれば

もし
愛がなければ
ダイヤモンドもただの石ころ
てのひらをじっと見ていると
かなしくなってくる


友だちに戻れないかもしれないと思えば寂しい口づけなども 「結婚の選択」

2022年08月15日 09時02分03秒 | owarai

 

 

 

恋についての決断は、自分の
気持ちも相手の気持ちも、
目で確かめられないから
難しい。

特に、結婚を意識して相手を
選択する時は、本当に難しい。

なぜなら、結婚相手を考える
のに期限はないから、後に
なれば、もっと素敵な人と
出会えるかもしれないから
と迷うからだ。

ただ、何かを選ぶ時、その
選択が正しかったか、謝り
だったか、という答えは、
選んだ時にはまだわからな
いのである。

それが決まるのは、決断
した後、その選択を大切に
したかどうかである。

つまり答えは、選択時にあ
るのではなく、選んだ自分
にかかっている。

選ぶ時に迷ったり悩んだり
するのは、それぞれに長所
があり、短所があるからだ。

選択枠のどれかが飛ぶ抜
けて素晴らしければ、誰も
迷わない。

だから、「こちらに決めてよか
った」と選択が成功する確率
は、どちらを選んでも、50
%は選択の後の自分にかかっ
ているのである。

「自分の人生と恋愛の方向が
一致しない時」や「好きだけ
ど、でも嫌いな恋人がいる
時」、別れるかどうか、

とても迷うと思うけど、別
れるにしても、交際を続ける
にしても、どんなに迷って
選択しても、

その後、いい加減な気持ち
でいたいなら、良い結果
は生まれない。
それを忘れてはならない。


ー「昼と夜の狭間 Ⅱ」ー

2022年08月15日 09時00分17秒 | owarai

 

 

愛する気持ちと憎む気持
ちが裏腹で
あることに気づいたのは
いつのことだったでしょ
うか。

自分が愛する気持ちと同
じくらい愛してほしいと
願い、かなえられなかっ
たときの絶望感。

それは憎しみにすり替
えられていくのです。

そして同時に、愛するこ
との孤独を感じずにはい
られない。愛しあうのは
ふたりの作業でも、愛す
るというのは自分だけの
心の中での作業。

ふたりでいても孤独なこ
とはあるのです。

孤独は心を強くする、淋
しさにまかせても誰でも
いいから誰かと一緒にい
たいと望むのか、孤独に
よって自分の弱さを見つめ、

心を磨き、本当の恋をつか
んでいくのか。淋しさを
味わうことも恋の一部なん
かもしれません。


恋はいつも、さよならよりせつない。    「いつか・・・」

2022年08月15日 08時53分32秒 | owarai

 

あなたは?
この街に住んでいるの?
どこで、どんな仕事をして
いるの?
訊きたいことも、伝えたいこ
とも、あり過ぎるほどあるの
に、何ひとつ、言えない。

手のひらにまだくっきりと
残っている、あのひとの大き
な手のひらの、温かな感触。
躰中に、さざ波のように広が
ってい優しい余韻。

鍵のように、しっかりとそれ
らを握りしめて、でもどの部
屋の扉をあけたらいいのか、
皆目わからない。

「失礼します。もう行かなく
ては。ありがとうございまし
た」それだけを言うと、
アルバイト先の代官山TSUT
AYAのカウンターへと向かっ
た。
連絡先を伝え合うこともなく、
別れた。

風と木の葉のように。
異国の街角ですれ違った、
旅人のように。
それがわたしたちの、最初
の出逢いと、最初の別れだった。