新羅の学僧・元暁(げんぎょ
う)が、中国留学の夢を抱い
て旅に出た。
ある夜、山中の洞窟に泊まり、
夜中に喉が渇いて目を覚まし
た。ふと見ると、入口に月を
映した美しい清水があります。
これ幸いと、一気に飲み干し
て寝ました。甘露の水でした。
ところが翌朝になって探すと、
それはシャレコウベに溜まっ
た汚水だったのです。
元暁は、「あらゆるものは、己
の心の影にすぎぬ」と悟って、
故郷へ帰ったそうです。
所詮、私たちの見ているもの
は、そんなものにすぎません。
だとしたら、私たちは、美しく
高貴な影を見たいものです。
仏や極楽が真にあるかは否か
は問題ではなく、自分の心の
中にどんな影を見るかが問題
なのだと思います。
この世が低劣にしか見えない
のは、世の中が低劣なのでは
なく、己の心が低劣なだけ。
豊かで新鮮な世界に目を輝か
せて生きていける人は、その
人の心こそ、新鮮で豊かなの
だと思います。
人の持つ想念の力こそ、人を
救い、人に光と命を与えるの
ではないでしょうか?