ビスクドール・雛人形店・オーディオ販売 佐久市 ヤナギダ店長ブログ

ビスクドール64体他お節句雛人形をフランスへ輸出128年、軽井沢方面がお店の場所。

「雪嵐の夜」ショート・ショート小説

2017年10月31日 19時51分14秒 | owarai
目を閉じると、どこまでも続く、
真っ白な雪原が見える。

見上げるとそこには、雲ひとつ
ない、真っ青な空が広がって
いる。

ブルーと白の二色に、くっきり
と染め抜かれた、幻のように
美し世界。

今は夏の初めで、ここは日本で、
わたしはひとり暮らしの部屋に
いて、あの場所からも、あの時
間からも、遠く、遠く、遠く
離れて―――

思い出している。

彼と結ばれた、雪嵐の夜。
窓の外で、音もなく、まるで
霧雨のように降りしきっていた、
パウダースノー。

彼の腕枕に頭を預けたまま、
ベットの中から、飽きること
もなく眺めていた。

YouTube
Just The Way You Are - Simone Kopmajer

https://www.youtube.com/watch?v=VQnS1djK-TU


復活のサイン

2017年10月31日 16時00分46秒 | owarai
恋を失ったとき、もう
二度と恋なんかできないと
思うものだ。

荒廃してしまった心に、あの
恋のはじめのときめきが芽生
えるとはとても思えない。

だけど人はそれほど弱くない。

治癒力を信じて静かにひとり
の淋しさを味わってみること
だ。

人はやがて失った状態にも
慣れていく。

悲しいなぁ、淋しいなぁ、と
感じながらもちゃんと生きて
いける。

ちゃんとお腹も空き、いつの
まにか眠り込んでいる。


人は自分で思っているほど
弱くないのだ。

YouTube
IF DA VINCI WAS A GIRL – Jacob Gurevitsch

https://www.youtube.com/watch?v=2_C1jhZHTgU

「ショート・ショート小説」

2017年10月31日 05時57分09秒 | owarai
「朝一番のバスでおいで。できる
だけ早いので。そうすれば、こっ
ちで過ごせる時間がそれだけ長く
なるから。それと、できるだけ
あったかい格好でね。こっちは
寒いから」

「はい」
小学生みたいに答えながら、胸の
中に渦巻く感情を持てあましてい
た。

会えるだけで、嬉しい。ひと目
会えるだけで、嬉しい。ひと目
会えるだけでも、充分に。

でも、誘って欲しい。彼の方か
ら、彼の言葉で。泊まっていけ
よ、と。強引に誘って欲しい。
そうすれば、わたしは―――

でも、わかっている。そんなこと、
大それた望みだとわかっている。
なぜなら彼は「日帰りで」と、
はっきり言ったのだから。

生まれて初めての恋だった。

恋してしまったら、人の心は
どうなる。躰はどうなる。

そう受け止め、どう求め、どう
与え合えばいい?わからなかっ
た。何もわからないのに、

わたしは彼と「結はれたい」と、
願っていた。そのことを、希求
していた。何もかもが、わたし
にとって、初めての体験だった。

夕陽

2017年10月30日 16時00分33秒 | owarai
夕陽が美しく感じられるため
には、心がいつもドキドキして
いなければならない。

心をドキドキさせておくため
には、愛をしなければならない。

YouTube
Sara Gazarek My shining hour HD

https://www.youtube.com/watch?v=jnDv9MvLQbQ

「しののめ」

2017年10月30日 05時53分33秒 | owarai
東の空が白みはじめる時間を
「しののめ」といいます。

古代の住居には、篠竹を編ん
だ明り取りがあり、そこから
射し込む光を「篠の目」と呼
んでいました。

一方、明るみはじめた東の空
にたなびく雲を「東雲」とい
いました。この二つがいつし
か合わさって。夜明けの薄明
かりの時間帯を指す言葉にな
ったいいます。

旅先から絵葉書を出す機会が
あったら、「しののめどきに
現地に着きました」などと
書いてはいかがでしょう。

「夜明けの頃、現地に着き
ました」とするより、雅な
印象を伝えることができます。



ショート・ショート小説

2017年10月30日 05時41分38秒 | owarai
「あの、このアドレスにメールを
差し上げったら、お返事、下さい
ますか?」
その問いかけの真意は「また、会
えますか?」だったと思う。

いいえ「また会いたい。あなたと、
つながっていたい」。
「もちろん」
彼は言った。声に力を込めて。

「キーボードも苦手だし、文章も
書くのも下手だけど・・・
せっかく、こうしてあなたと知り
合えたんだから、これからはマメ
なメール男になれるよう、がんば
ってみるかな」

「ぜひ!」

「それじゃあ、また」

「はい。お元気で」
彼もわたしも「さよなら」とは、
言わなかった。

握手をし合って、別れた。
五番街と三十二丁目の角だった。
お互いに背を向けて歩き始めて
から、ほとんど同時にふり返っ
て、相手を見た。

嬉しかった。嬉しくて、せつな
かった。

別れる前から、ずっと思っていた
ことを、わたしはまた思った、
名残惜しい、と。

駆け戻っていって「バス停まで
お見送りさせて下さい」と、言
いたい気持でいっぱいだった。
けれど、押し止めた。

「また会えますよね。きっと」。
手をあげて、彼も応えてくれた。

その時、彼も、わたしとまったく
同じことを思ってくれていた、と
いうことを知るのは、それから一
ヶ月ほどのあとのことになる。

メールを送って二日後、火曜日の
夕方、大学から戻ると、彼から返
事が届いていた。

YouTube
How deep is your love - Simone Kopmajer [Jazz Version-Bee Gees]

https://www.youtube.com/watch?v=VjZ_OEgDNJQ

「恋」

2017年10月29日 14時00分36秒 | owarai
青春とうのは傷つくこと
なのだ、と言ったら、いやな
顔をするだろうか?

けれども、青春というのは、痛い
ものなのだ。ひとを心から好きに
なるということは、痛いことな
のだ。

心も痛いし、胸も痛いし、すべて
の内蔵、皮膚、神経がひりひりと
痛むのが、恋なのだ。

YouTube
A Thousand Years - Cristina Perri ( Breaking Dawn Part 2 Soundtrack )

https://www.youtube.com/watch?v=HnImthnsU7w


「昔々~」

2017年10月29日 10時00分01秒 | owarai
子どものころ、おばあちゃんから
こんな話を聞かされました。

「天国と地獄では、ご馳走は深い
深い穴の底に並べられる。長い
長いおはしでそのご馳走を食べる
んだけど、

地獄の人たちは、うまいことご馳
走をつまみ上げても、おはしが
長すぎて自分の口に入れることが
できない。だからいつまでたって
もご馳走はなくならなかった。

ところが天国の人は、ご馳走を
つまみあげたらお互いにまず
人の口に運んであげるから、
天国のご馳走はあっという間に
なくなって、

みんなおなかいっぱいになった
そうです。
子ども心にも大切なことを教え
られたような気がします。


『コスモス』秋桜   ー改定版ー

2017年10月29日 06時15分18秒 | owarai
「傷つけ合うばかりの恋に
区切りをつけた帰り道

雨上がりの遊歩道に秋桜が
揺れていた

優しく可憐に でもしたた
かに

わたしも強くなれるだろうか

大事なものを抱きしめすぎな


強さを心に もてるだろうか」

【和名は可憐な「秋桜」】
校庭で、近所の公園で、空き地や
川原で、多少荒れた土地でも丈夫
に育つため、よく植えられている
のがコスモス。

田舎道を歩いていると、コスモス
が風に揺れて、なんともいえない
日本の旅情を感じるものです。

ただし、日本での歴史は浅く、
明治時代に日本に渡ってきた
メキシコ生まれの花です。

秋になると咲き乱れるほのかな
ピンクや白い可憐な花に、明治
時代の人々は心を奪われ
“秋桜”という名前をつけました。

心中をせんと泣けるや雨の日の
白きこすもす紅きこすもす
     与謝野晶子

コスモスは雨に打たれると濡れ
そぼってうなだれるようになり
ます。

心中をしようと思いつめ泣き
じゃくる人の心に寄り添って
ともに泣き濡れているような
雨のコスモスです。

暮らしのひき算

2017年10月29日 06時05分50秒 | owarai
『増やしたら、減らす

増やさなくても、減らす

風通しがよい自分でいれば、
軽やかに歩いていけます 』

ごくシンプルなこのやり方が、
ていねいに生きる秘訣です。

新しいものを一つ手に入れた
ら、部屋の中にあるものを
一つなくす。

そうすると、いつも余白がある
暮らしとなります。

「ものを所有することや趣味を
持つことに対しても、恋人に
向き合うのと同じ態度が必要
です」

あたらしく好きになったヒトが
できたら、今つきあっている
人とは別れる」

という真摯な気持を、日常の
随所でもちたいのです。

何人もの恋人と薄いつきあい
をするより、一人の人に気持
を捧げたいという願いは、

人に対しても、ものや趣味に
対してもまるで同じです。

なぜなら、数の限られた選ば
れたものだけを持っていれば、
一つ一つを宝物のように

いつくしむことができるのです
から。



「上手に生きる」

2017年10月29日 04時00分49秒 | owarai
瀬戸内寂聴さんと聖路加国際
病院のお亡くなりなった日野
原重明先生が語っている言葉
ですが、

「素敵に老いていくのは、仕事
が好きな人たちですね。その仕
事を好きでやっていれば、いつ
までもくたびれませんわね。

私も嫌々していたら、とても
続かないですよ。最初に好き
な仕事を選べたら一番幸せだ
けど、そうでない場合が多い
から、

そのときは仕事をすきになる
ように努力すること。例え
ば上司が嫌いでも、いいとこ
ろもあるかもしれないと思っ
て視点を変えてみる。

前から見たら嫌だけど、後ろ
から見たらいいわ、とかね
(笑い)」

「自分で正しいと信じてやっ
たことに関して、かりに誤解
されることがあってもしかた
がないと割りきっているので
す。

こうした考え方をしているか
ら、私は胃が痛むようなこと
もほとんどありませんし、相
当強いストレスでもそれに負
けることなく、いままでやって
こられたのでしょう」

仕事がおもしろくなくなる。職
場での人間関係に悩む。そんな
ときこのおふたりのな話にはい
くつものヒントがあります。

年長者の話は体験に裏打ちされ
ていますから、言葉に重しがつ
いているようにズシリ伝わって
きます。

軽い言葉だとすっ飛んでいって
しまい、すぐ忘れたりしてしま
いますが、長寿者の言葉は軽く
聞き流せません。心に深く残り
ます。

「情事」

2017年10月29日 00時10分58秒 | owarai
深いかかわりがなければ、
人を思いやったり優し言葉を
掛けるのは、なんと容易なこと
だろう。

人を理解し、はるかに多くを
識り合えるだろう。

愛しさえしなければ。

YouTube
Jim Tomlinson Feat Stacey Kent The Lyric

https://www.youtube.com/watch?v=6N_HmN39i5w

ショート・ショート小説

2017年10月28日 19時29分01秒 | owarai
気が済むまで泣いたあと、ふと
思い立って、パソコンを立ち上
げた。

紹介されたホームページにアクセス
してみた。ふらっと立ち寄ってみた、
いくつかの貼られていたリンク。

その中のひとつに、わたしの目は
釘づけになった。
『こちら黒いウサギの絵本館』。
睫毛にくっついていた涙の塊まりを、
指で拭い取ってから、細かい文字を
もう一度、見た。

間違いない。そこには確かに
「黒いウサギ」という文字が並ん
でいた。

クリックしようとして、マウスに
伸ばした指がふるえた。思いが
交錯した。入り乱れた。光と影の
ように。幻と現(うつつ)のように。

あなたは、誰?
会いたくて、会いたくてたまらない、
なのに、会えない―――
わたしの、愛しい人。

「行ってきます」と言って、わたしの
前から旅立ったあと、それきり、
戻ってきてはくれない―――

クロウサギさん、あなたは今、どこに
いる?
もしかしたら、あなたは「あな
た」なの?
黒ウサギさん、あなたは、わたし
のクロウサギさん?

あり得ない。
人違いに、決まっている。
絶望すると、わかっている。
それでも、どんな小さな可能性
にも、今はすがりつきたい。

会いたい。会いたい。会いたい。
胸の中に、ずっと閉じ込めてきた
はずの恋が、激しく波打っている
のがわかった。

YouTube
Time After Time - Cassandra Wilson

https://www.youtube.com/watch?v=afNI2CI9oyU