彼の描いた空を眺めていると、
その空に浮かぶ、白い雲にな
れそうだと思った。
彼の描いた海を眺めていると、
海原に舞う、一羽のかもめに
なれそうだと思った。
彼のそばで暮らせるならば――――
ふたりで一緒に歩いていけるなら――――
わたしは草原を渡る風のように、
野山に咲く花のように、
いつも自由で幸せでいられると
思った
彼は――――
わたしが生まれて初めて、
結婚したいと思った人だった。
彼の描いた空を眺めていると、
その空に浮かぶ、白い雲にな
れそうだと思った。
彼の描いた海を眺めていると、
海原に舞う、一羽のかもめに
なれそうだと思った。
彼のそばで暮らせるならば――――
ふたりで一緒に歩いていけるなら――――
わたしは草原を渡る風のように、
野山に咲く花のように、
いつも自由で幸せでいられると
思った
彼は――――
わたしが生まれて初めて、
結婚したいと思った人だった。
恋を失っても、人は
ちゃんと生きていくの
だと改めて思う。どんな
悲しくても朝は訪れる。
どんなに淋しくても一日
の長さは変わらない。
そんなあたりまえの
ことでさえ今の私には
不思議に思えたし、ど
こか感動的だった。
さよならというひとこと
で場面は変わる。まるで
魔法が解かれたように、
目に見えるすべてが違っ
て見えるのだ。
嫌いな色には、その
人の性格が表れる。
『カレが嫌いな色』
赤:
俺の努力は報われていな
いという挫折感、無力感を
示しています。
黄:
いまの生活に失望していた
り、夢や希望を失った過去
があります。
青:
自分はこの世で一番不幸
な人間だと考えています。
緑:
自分が認められないのは、
周りの人たちに見る目が
ないからだと考えています。
紫:
周囲に反感を持っていて、
孤独感や疎外感を感じて
います。
茶:
みんなに認めてもらいたい、
目立ちたいと考えています。
黒:
すべてに対して否定的。自
分の考え方以外を排除しよ
うとしています。
灰色:
毎日の生活が単調で、刺激
を求めています。
好みの色は国や性別、年齢
で違います。
女性は紫から赤にかけての
色が好きで、さらに年齢を重ね
るにつれ、明るくて鮮やかな
色から暗く渋い色に好みは
変化していきます。
『9~11月には男の子が
生まれやすい』
1~4月は女の子が多く
生まれ ている。
これは季節によって母体が
微妙に 反応し、卵子のバ
ランスが崩れる ことで、
男の子が生まれる精子を
ひきつけたり、女の子が
生まれる 精子をひきつ
けたりするからだと いう。
つまり、その月から40
週間前に コトを到せば、
かなりのパーセン テージで
男女の産みわけが可能
になるかも知れない!?
新幹線が名古屋駅を出て五分ほど
した頃、会社から携帯電話に連絡
が入った。
デッキまで出て、メッセージを聞
いた。
「桜木さん、編集二課の深澤です。
ついさっき京都の永田先生の秘書
の方から、お電話がありまして・
・・・・・」
これから会うことになっている
絵本作家に急ぎの用事ができてし
まい、わたしとの約束を一時間
だけ、遅らせて欲しいという。
誰かがわたしに、一時間をプレ
ゼントしてくれた。そんな気が
した。
わたしは折り返し、会社に電話
をかけて「了解しました」と伝
えた。
列車が京都駅に着くと、地下通
路を通って八条口を抜け、学生
時代にアルバイトをしていた書
店へと向かった。地下からビル
ディングに入り、エスカレター
でゆっくりと、六階まで上がっ
ていく。
一階上がるごとに、十代の記憶
が、二十代のわたしが、そして
「あの日」が近づいてくる。
この書店を訪ねるのは、実に
十三年ぶりのことだ。売場に
着くと、わたしは「ちっとも
変わっていない」と驚いたり、
「昔のままだ」と嬉しくなった
り、「すっかり変わってしまっ
た」と感慨にふけったり、目
まぐるしく行き交う情報を楽
しみながら、通路を歩き、
書棚を見て回った。
気がついたら、わたしの持ち
場だった洋書売場に来ていた。
ペーパーバックの棚の前で、
清楚が横顔をした女性の店員
さんが、在庫チェックのよう
な仕事をしていた。
アメリカ出版された村上春樹
の作品集『The Elephant V
anishes』が、棚の中央に黄
色い表紙を表にして置かれて
いる。その隣に日本語版。
わたしはその場所にはいつも、
映画化された話題作を並べて
いた。
それからわたしは、絵本売場
へと向かった。
わたしが担当し、編集した絵本
も何冊も置かれていたし、会社
で出しているシリーズ物もちゃ
んと揃っていた。そのことを
確認したあと、
絵本売場の責任者がいれば、名刺
交換だけさせてもらおうと思い、
レジの方に向かって歩き始めた、
その時だった。
―――こんにちは。
まだ春のことが忘れられな
くて戸惑っている、そんな
空だった。
人間はみんな孤独なんだ。
かならず誰かがわけ知り
顔で言う。
そんなことはわかっている。
わかりきっている。
私はそれからのことが知り
たいのだ。
みんな孤独なら・・・
その孤独を抱えながら
どうやって生きていけば
いいのか。
私の知りたいのはそういう
ことなのだ。
ドアをしめ一人の一歩を
踏みだせば
危うい色の夕焼けに会う