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都市「再生」は都市「使い捨て」?

「都市再生」と言うのは国策です。
では、この国策は1.何のために2.何がなされているのか、というと、ですね、
1.「経済の再生のために」
2.「ディベロッパーによる特定の開発行為を公的セクターが援助する」
と言うことなんですね。
本当の意味で再生すべきところにじっくり取り組んでいるのはごく少数、
でっかい敷地(旧国鉄とか工場とか省庁の跡地)の開発を短期間で効率的に仕上げるために
アセスメントを簡略化し、地権者や周辺住民の権利を制限し、莫大な容積率のボーナスを与えて
デベロッパーへの経済的なインセンティブを死ぬほど高めて特定の開発を推進している訳です。
(これで乗らないディベロッパーは株主から訴えられるのではないか、と言うくらい・・・)
(別に公的セクターが勝手にやっている訳ではないんで乗るに決まってる訳ですが)
ここで重要であるべきなのは、なぜ特定の行為を援助すると経済が再生するか、という論拠ですけど、
まあ、そこで賑やかにやれば経済効果も廻りに波及するのではないか、ということらしい。
この根拠が崩れると2.の公的セクターのバックアップには理由がなくなって
なーんで一部のディベロッパーだけに都市のインフラ使って儲けさせてんのよ、
という誰が聞いてもそーとーヤバそうなお話になる訳です。
しかしながら、東京の国際競争力を高めることは日本経済の死活問題(らしい)ですから、
この開発が国際競争力の強化に繋がると考える限り、この「都市再生」のスキームは
それでも(地域に経済的な波及効果が仮に無くても)正当性をもつ、っていう考え方もある訳です。
では、本当にそれが東京の国際競争力を強化することに繋がるのか?
そもそも東京の、都市の「国際競争力」とは何を源泉とすべきなのか?
・・・パワーエリートのための島宇宙をバンバン建てることじゃいかんのではないの?
それを論じたのが本書です。(っていうかそー読みました)

東京の果てに東京の果てに
平山 洋介

NTT出版 2006-10
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「都市空間は簡明な欲求を映し出すのではなく、葛藤の積み重ねによって織り上げられてきた」
「将来の予測可能性が低下し、社会・経済の不確実さが増しているからこそ、
 都市の複雑さと交際し、その深みをいっそう大切に扱うべきではないか。」
(以上同書より引用)

著者平山洋介さんの文章が掲載されているページ
→ 知のWebマガジン en <危ない>~都市は複雑、「わかりやすい」が危ない
著者の研究室のHP
→ 神戸大学平山研究室

俺は都市は経済の道具とだけ捉えるのは間違っていると思うし、
そんなことばっかしているとバチが当たると思ったりする訳ですけど、
さて、東京オリンピックの夢にかけちゃった東京都民の明日は、どこに向かうんだろう?

・・・実はすでに「住宅」を経済の手段にしてきたバチは当たっているのだけど、
それは個人で負うべき自己責任らしいですぞ。コワ。
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