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レコード・クロニクル


先日スティーブ・ウィンウッドの話を書いたので図書館で探してみたところ、
アイランドへの置き土産となったベスト盤があったので借りてみました。
クロニクルクロニクル
スティーヴ・ウィンウッド

USMジャパン 2008-05-28
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ウィンウッドのベスト盤としてはイマイチとの評判もあるだけに、
図書館から借りられるのはありがたいことです。

で、図書館にあったCDは1987年に出たときの、ということは初期のもの。
解説書を見ていて思わず感慨にふけってしまったのがここ。
(右下の値段に注目!)



アイランド時代のソロアルバムの広告が付いているんですけど、
初期の三枚が CD:3,200円、LP:2,000円、売れに売れた最新作の
バック・イン・ザ・ハイライフは CD:3,500円、LPとカセット(!):2,800円、
と言う値付けでありました。
CD、高いね~!
ってうか、何で値段違うんだろうか、LPと。

ついでに、いつまで国内盤のLPレコードってあったんだっけなぁ、と調べてみる*と、

・CDの初登場:1984年
・売上げ金額での逆転:1986年
・売上げ数量での逆転:1987年
・LP単独での集計終了:1993年
 単価設定が逆転時期のズレとして統計に表れたとすればそれはそれで興味深い。

21世紀を待たずにほぼ消滅していることが確認できました。
ほんとあっと言うまだったんですね、入れ替わり。
なんでそんな強気な戦略で勝てたんだろ。右肩上がりの強みか?

因みに音楽ソフトの売上げは、戦後(統計は1952年から)から一貫して延びていたのが
1999年に反転、現在の売上高は1990年ごろと同じ位になっているみたい。
まあ、業界的には売上げ落ちているのは困るんだろうけど、質を考えれば
この位でも十分やっていける商売方法に戻ったら?という気もしないでもない。

(社)日本レコード協会 統計資料
暦年生産実績音楽ソフト種類別生産【数量】の推移
暦年生産実績音楽ソフト種類別生産【金額】の推移

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客船美の開拓者

吃水線下のロマン―造船設計者和辻春樹の生涯
という和辻春樹博士の評伝が、地元図書館にあるということで読んでみました。
残念ながら素人さんの書いた本の悲しさか、事実とフィクションがシームレスな上、
ご自身の語りたい薀蓄に嵌ってしまっていて、資料としては厳しい。
とは言え、戦前の民間の船舶の建造について参考になったことも確か。

ところでそもそも和辻さんて誰よ、ということですが、略歴的に纏めると、

和辻 春樹(わつじはるき・1881~1957)
工学博士
1881年東京生まれ。
東京大学工学部造船学科卒業(1915)後、大阪商船入社、
技師、工務課長、工務局長、専務取締役を歴任。
貨客船「あるぜんちな丸」(1939竣工)他多数の船舶の設計に携わる。
大阪商船退社後、京都市長に就任(1946年、公職追放により辞職)。
著作に「随筆・船」(1940)「随筆・続船」(1942) 他。
哲学者の和辻哲郎の従弟にあたる。

といったところでしょうか?

本書を読んで一寸驚いたのは、プラナリアは船は造船会社が
設計施工するものだとばかり思っていたのですが、
当時の民間商船会社は自前で船の設計をしていたこと。
(今はどうなんでしょう?)
しかもそれはいわゆる基本設計的な、アウトラインを固めるといったものではなく、
個々のパーツの決定に至るまでの詳細設計までしていたということらしい。
和辻博士は-この「博士」という称号に眼くらましされちゃったんだけれども-
その設計者で、造船所での現場監督(我々の業界で言えば「監理」)もやる訳です。
(博士号はあとからとったのね)
いや~、すごい親近感(笑)

この和辻博士は多数の客船を設計しているのだけれども、
(同書のリストを数えると改装も含めて71隻!!)
諸外国の優秀船のクオリティをただ目標とするだけでなく、独自の船舶美を追求し、
インテリアには日本様式の実現を目指して建築家の中村順平や村野藤吾を起用した、
というのは以前ご紹介したとおり。

で、この評伝では大阪商船で和辻が手がけた「あるぜんちな丸」を、
日本郵船の「新田丸」と比較して(因みに同じ1939年に三菱造船長崎造船所で竣工)
「個人の持つ能力やセンス、感覚がこれほどまでに影響するものかと驚かされる」
と大絶賛していて、この辺、郵船はどう受け止めていたか気になるところです。

同書に「さる優秀船の公室喫煙設計をさる東京の大学教授に依頼したとき」のエピソードが出てくるのですが、
それは、この教授は和辻がせっかく苦心して稼いだ天井高をわざわざ低くするようなデザインの設計をして
和辻から変更を求められても応じず、厳しく不採用を言い渡される、という内容。
真偽の程が全く分かりませんが、岸田だったら面白いかも。でもちょっと話自体があり得ない感じ・・・。


ご参考;
HP:topics 「こんな人がいた!」第二回 和辻春樹と「あるぜんちな丸」
HP:船のウェブ・サイト 「(旧)大阪商船」(当時のポスターが紹介されています)
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もっとイギリスを!

それで肝心の展覧会の内容なんですが、プラナリア的には「ううう~ん」。

先日も触れたように、この展覧会はV&A美術館で開催された
International Arts and Crafts」展が基本になっていて、
その展示にあったイギリス、ヨーロッパ(大陸)、アメリカ、日本というテーマから
なぜかアメリカ関係を省いて持ってきている、という形みたい。

で、なんでヨーロッパがあるんだと(笑)
つまり、もともとの展覧会では国際的な波及を主張したかったからこの構成なんだろうけど、
今回の展覧会のサブタイトルは「モリスから民芸まで」でしょ?
アメリカを省いたのでインターナショナルと言う視点は弱くなっちゃったし、
今回の趣旨に沿って見せるんだったら、民芸とアーツアンドクラフツの繋がりを
もっときちんとみせなきゃ駄目でしょ?という気がするのと、
(実際あの展示を見て両者の関係が具体的にイメージできるのであろうか?)
V&Aにはアーツアンドクラフツ関係の展示はごっちゃりあるんだろうから
(グリーンルームと言う現物もあることだし!)
本国での企画展だったらこの分量でも良いのかも知れないけど、
ここ日本においてV&Aがアーツアンドクラフツという題目でやってくるのであれば!
ヨーロッパは割愛してでもイギリスをもっともっと充実させて欲しかった、
というのがプラナリアの偽ざる感想でございました。

個人的にはウィーン分離派とか大好きなんで嬉しいことは嬉しいのではあるのですけれどもね。
そこばっかり見てたりして(笑)


でも綺麗だし幅広いと言うメリットはあるんで、見て損はしないと思います。
新聞社の主催事業だし。
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怒涛の勘違い

昨日からスタートした「アーツアンドクラフツ展」に行ってきました。
展覧会初日に出かけるというかなり珍しいことをしたのは、
当日「三国荘の再発見」という講演会があったため。

この三国荘というのは、1928年の博覧会に民芸運動の同人が出展したパビリオンを
パトロンであった山本為三郎が丸ごと買い取って大阪・三国に移築した、
民家風の外観を持つ建築です。
このインテリアの写真はプラナリアも昔々今はなきセゾン美術館の
「日本の眼と空間」展で目にしていているはずで、
どちらかというと30年代特有の「怪しい日本趣味」と睨んでいた物件です。

で、怒涛の勘違いだったのはこの講演会の主旨(笑)。
プラナリアは美学的な意味での再発見が語られるとばかり思い込んでいたのですが、
本当の再発見の話だったのです。

実はこの建物は失われていたと思われていて、
V&A美術館が今回の展覧会の基になった展覧会で
インテリアの再現を試みた際も「現存しないもの」という前提だったのだそうです。
ところがまさにその時期に建築史家の川島智生先生が現存を確認、また、
当初のパビリオン建築に係わり、初期の民芸のパトロンとして知られていた
高林兵衛の親族との邂逅から、彼のスケッチブックが発見され、そこには・・・
といったまさにドラマチックな「三国荘の再発見」の物語があったのでした。

と言うわけで話はとっても面白かったのですけれども。

あ~と、ですね、「怪しい」というのは近代数奇屋に回収される前の多様な日本理解、
と言う意味で、決して否定的な意味で使っているわけではありませんので、念のため。
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意外な顔合わせ、かも?

古本屋さんで昨年出た「ストレンジデイズ」のスティーブ・ウィンウッド特集を購入。
ウィンウッドの熱心な聴き手とはとても言えないプラナリアですが、
彼のソウフルなボーカルは文句なくかっこいいと思っております。

で、どちらかと言うと寡作なイメージのミュージシャンだったのですが、
興味深かったのがセッション参加作品。
ボーカルの他、これまたウィンウッドの18番であるハモンドオルガンを初めとした
キーボード類やギターでの参加が多いようですが、
プログレからレゲエまで、数もジャンルの幅広さも凄いんでびっくり。

そんな多彩な参加リストを見ていると、昔からちょっと不思議に思っていた
「マクドナルド&ジャイルズ」への参加なんかも自然に見えてきました。
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今回おおーと思ったのは、ロバート・パーマーのこちら。
実はこのアルバム、ミーターズとかスタッフの面々、あるいは
リトル・フィートのロウエル・ジョージが参加していると言われているのですが、
クレジットとか全くなくて、誰がどこの曲に参加しているか全然分からないのです。
(R・ジョージのギターはベスト盤に入ったリミックスバージョンでは
 大々的にフューチャーされていましたが、あれはある意味全く別の曲になっていたな)

Sneakin' Sally Through the AlleySneakin' Sally Through the Alley
Robert Palmer

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(オリジナルは1974年リリース)
ブラックミュージックへの傾倒という意味では嗜好性が近いとも思える二人ですが、
地味なことをやってもその天賦の才能が溢れ出ているスティーブ・ウィンウッドと、
切り口のセンスの良さと、変なこと(実験的な音つくり)をやっても、
決してスタイリッシュさを失わない(じつは職人気質な?)ロバート・パーマーって、
敬して近づかずかなぁ、という感じだったので。
是非とも完全版のリリースを期待したいアルバムなのですが、
現在のロバート・パーマーのカタログ状況を見ると望み薄かなぁ。

ところで上記二枚とも女性と絡んでいるジャケットですが、
ウィンウッドにはないかなぁ、なさそうだなぁと思って探してみました。
Back in the High LifeBack in the High Life
Steve Winwood

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(オリジナルは1986年リリース)
まさに「Back in the High Life Again」となったアルバムでしたが、
ジャケット共々、らしくない、との意見もありましたですね。
この年(1986年)はロバート・パーマーもリップタイドを大ヒットさせ、
二人ともアイランドを卒業していった節目の年でもありました。
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