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勝手に超高層を建てるな(怒)、という主張

福川祐一・矢作弘・岡部明子著「持続可能な都市」岩波書店、を読みました。
著者は、みなさん大学の先生です(矢作さんはもとはジャーナリスト)。

矢作さんがお書きになった序章、第一章、第二章は、本稿のタイトルのような内容です(爆)。
大賛成。
ただし、この論法では「あくまで主観の問題」とされちゃって、
「都市再生」を進めている側と議論してもすれ違うだけで勝てないのでは?

岡部さん担当の第三章はバルセロナの都市計画(バルセロナ・モデル)の紹介。
著者の中でバルセナ・モデルに対する批評性が確立していないんじゃないの?という感じも。

福川さんの第四章、第五章、第六章。
第四章、第五章はアメリカの事例紹介、幾つかの政策の対立点を含め精緻に分析。
対案を出し、同じフィールドで数値評価を受け、より良い評価点をだし、
その結果として全面的な開発モデルに待ったをかけてきた実績が紹介されている。
(つまり勝つための方法論が検討されている)
やや専門的だが、主観に左右されない論文として読み応えあり。

第六章はその方法論の日本への応用とも言える。
素晴らしいです。この章だけでも必読!
制度を批判したって物事は進展しないのであって、制度の中に潜り込みつつ
それがウラガエッテしまうような使い方を仕掛ける位の知恵が無いと、
「都市再生」という国策には到底歯が立たないと思う。
学者には「識者」「文化人」としての立派なご意見を述べることではなくて、
こういう戦略的なリアリズムを期待したいんです。
これを序論に、実際の制度論やつっこんだ各論を集めて、是非一冊の本纏めて欲しいっす。
(容積率は200%以下、せいぜい300%、という数字の根拠とか、もちょっと欲しい感じです)

4000234099持続可能な都市―欧米の試みから何を学ぶか
福川 裕一 矢作 弘 岡部 明子

岩波書店 2005-04
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今井兼次展に行ってきました!

多摩美術大学美術館で開催中の「建築家 今井兼次の世界」に行ってきました。
量的にも予想以上に充実していて、渋いけどなかなか良い展示だったです。

今井兼次さんは、1926-27年に地下鉄銀座線の施設デザインの研究ということで
ヨーロッパに視察旅行に行ってるんですが、
自分のカメラで向こうの建築家のポートレートなんかをパシャパシャ撮っている、
これがコルビュジェは地図を背景にして見あげで、カール・ミレスは横顔で、
グロピウスは美人の奥さんと、そしてタウトに至っては後姿で決めてる!、
という感じで、撮っている時の楽しげな雰囲気まで伝わるような構図。
なんか羨ましいですね~。

あと、今井先生って独自の精神性を建築の造形に込めていると思うのですが、
それが思っている以上に凄いところまで行ってしまっている感じが・・・。
戦前の自邸(とんがった三角屋根の途中に四角い書斎が貼りついている)はまだしも、
晩年の大多喜城案(1971)のスケッチとか、まじヤバイ感じも・・・。(すみません)
というわけで、他にあまり用事も無いところですが、皆様是非多摩センターへ。

<サービス情報>
近場の近代建築物件といえば、やはり聖跡記念館ですね。
仮面ライダーのロケなどにも登場する有名物件です。
都立桜ヶ丘公園という大きな丘陵公園の中にあります。
駅前にはペイントハウスとかサンリオピューロランドもありますぐわ。
あ、これ造ったの田中光顕さん(=小田原文学館になった建物を建てた人)なんだ。へ~へ~へ~。


*写真は早稲田大学にある旧図書館(現会津八一記念館)。
 内部は撮影禁止。たまたま開いていた扉から、有名な柱を撮ることができました。
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元気な Juana Molina

待望の新作!かと思ったら旧譜(1996?)の再発みたいです。
なので、今は無きバージンレコード新宿店のPOPにあった
「スザンヌ・ヴェガがロバート・ワイアットしてる」(←正確ではないけどこんな感じ)
みたいな、いわゆる「アルゼンチン音響派」の音ではありません。
とっても元気が良いです。
でも、メロディとか歌い方はJuana節。これはこれで楽しい。

彼女のほのぼのなHPはこちら。ダウンロードで試聴も出来ます。
→ http://www.juanamolina.com/
しかし凄い美人なのに写真が全然無いって言うのも潔い。
元コメディエンヌというのも(アルゼンチンではTVの人気者だったらしい)GOOD!
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もし問いつめることばがウィスキーであったなら

ちょいとした事情で本屋さんへ。
ミッションは二つ。
村上春樹さんの「風の歌を聞け」のカバーイラストを確認せよ。
伊丹十三さんの「再び女たちよ!」のカバーイラストを確認せよ。

え~と、Tシャツは無地です>小道さま
「再び女たちよ!」が無かったので、ミッションは果たせず>さきたかさま
変わりに「問いつめられたパパとママの本」を購入しました。
こちらも表紙イラストは伊丹さんご自身で、とても魅力的です~!

4101167338問いつめられたパパとママの本
伊丹 十三

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せっかくなので村上春樹さんの本も購入しました。
4101001510もし僕らのことばがウィスキーであったなら
村上 春樹

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電車のなかでさらさら読み終わってしまったのは、ちょっと勿体なかったかも、です。
アイルランド、スコットランドの街や風景の美しいこと。
面白いのは、建物が紫と黄色で塗り分けてあったりするのに、全然おかしく見えないこと。
これは結構謎です。

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ジャズエイジのジャズ(その3)

ラジオデイズな気持ち 1930年代~40年代のヒット曲

このシリーズ始めてから、アクセス数激減のプラナリアです。
やっぱジャズは鬼門だな。

さて、先日タワーレコードのジャズコーナーをのぞいていたら、
なんか安いボックスセット、イッパイあるんですね。
「The Hits From The 30's&40's」なんていうボックスセットも発見しました。
3枚組で1,460円というお値段だから、
10枚で1,460円のビリー・ホリディやジャンゴ・ラインハルトには敵いませんが、
1枚620円のベッシー・スミスよりは安い。
で、まさにアールデコなラジオがジャッケットに写っていたので、
ついフラフラと購入してしまいました。

中身はですね、グレン・ミラー、フランク・シナトラ、マレーネ・デートリッヒetc.etc.
一応「ORIGINAL ARTISTS」と謳っているところがポイントでしょうか。
格安ボックスなんで、当然詳細なライナー、なんていうものは無いので、
録音年とか、全く情報がありません。けど、なんとなく雰囲気がいいからいいの(笑)。

で、アメリカのもろもろって、20年代と30年代の間で時代区分をするのが通例なんだな、と、
このボックスセットのタイトルをみて今更ながら思ったりもしました。
もちろん、1929年が「大恐慌」の年なんで、ある意味当然とも言えるのでしょうけど、
ラジオとレコードという新しいメディアの相乗効果、
「ラジオでかかる」→「人々が気に入る」→「レコードを買う」という流れで音楽がヒットしていく、
というパターンが定着したのも、また1930年代からのことらしく、
その意味でも「30's&40's」という括りはありなんだねえ。ふむふむ。
・・・なんて、まあそんな事をぼんやり考えながら音楽を聴いておるわけでした。
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