録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

地上デジタル放送による災害放送

2011-03-12 22:23:35 | Weblog
今回の地震、東北地方太平洋沖地震と気象庁は名付けたようです。おそらく兵庫県南部地震のようにあまり使われない名称になるとは思いますが、当面はこの名を使いましょう。
この地震のような状況となりますと、ブログに何を書いていいのかわかりません。ヘタことを書けば不謹慎ですし、状況を顧みるとおちゃらけることもできません。かと言って、深刻な状況を書くのもまた個人ブロガーのやることではないと思います。
ただ、こうやってブログを簡単にかけるほど生活インフラに問題がない状況というのは幸福なことだと思っています。昨日から当ブログのアクセス数が3割近く減っています。ただ減っただけならば問題ないのですが、それだけ多くの人がインターネットでこんなブログみている場合ではない状況に追い込まれていたり、そもそもインターネットにつなぐことすら出来ない人も大勢いるためではないかと思うと、やはりわたしはわたしなりの記事をブログに書くべきではないかと考えるのです。従って、今回は災害時の心境でなければ思いつきづらい視点で書かせていただきます。

昨日から地上波もBS放送も災害報道一色です。その報道を注意深く、見守り続けている人も多いことでしょう。実際の被害のさま津波注意報の分布図などが、民放ですらCM無しで常時放送されているのはありがたいことです。マスコミよりネットの方がアテになると言われ続けて久しいですが、今回ほどの災害規模になりますとネットの強みである人海戦術がアダとなり、かえって被害を拡大しかねません。一方の報道機関は社の費用でヘリも飛ばせますし、装備もありますから少ない人数で災害現場に近づくことが出来ます。なんと言われようともやはりテレビにはそれなりの価値が存在するのだな、ということを実感させられます。願わくば非常時には中途半端な放送ではなく、今回のような専念する報道放送を心がけてほしいものです。
また、BSで全部置き換えてしまえば地上波は不要という意見もありますし、わたしも機会あるごとにそれに近い意見を述べていますが、こと災害報道に関してはやはり地上波が力を発揮します。衛星放送は大型のアンテナが必要ですし、持ち歩けません。その上わずかなズレでも映らなくなってしまうものです。一方、地上波は持ち歩く小さなアンテナでも映すことが可能です。また、インターネットのように情報を求める人が集中すると見られなくなってしまうということもありません。どんなにたくさんの人が同時に視聴してもそれが原因でテレビが映らないということはあり得ないのです。避難せざるをえない状況で情報を得るには地上波のテレビほどありがたい存在もないのではないでしょうか。

ただし、これらの「ありがたい存在である地上波テレビ」が現在の放送で実現されているかどうかというと、大いに疑問・・・というより、完全に失格です。良いのは取材するところまで、肝心の放送がよかったのは過去の話、アナログ放送の話です。地上デジタル放送はUHF波ですから、遠距離に電波を届かせるような性能を持っていません。よって多数の中継アンテナなどが必要になりますが、震災状況下では当然そのアンテナが折れることもあり、その場合は受信に不安が出ます。また、アナログ放送は電波が弱くなっても映すことは可能ですが、デジタル放送は受信出来て完全に映るか、全く映らないかのどちらかであり、電波の良好な受信の期待が出来ない状況では情報の収集先としてはアテには出来ないでしょう。

じゃぁ、今回はまだアナログ放送があるし、良かったのかと言えば、少なくともアナログオンリーの時代と比べれば効果半分と言わざるを得ません。今回わざと4:3のテレビでアナログ放送で災害報道を受信してみたのですよ。案の定といいますか予想通りといいますか、画面の文字が読めません。いわゆるオーバースキャンのため、アナログ放送では左右いっぱいまで画面を使うのは禁じ手ですが、デジタル放送はこれを平気でやっています。そのため、左右の端に文字が置かれると半分読めなくなってしまいました。今のテレビ放送はアナログで視聴されることを考慮に入れていないため、このような現象が発覚してしまったのです。
また、画面に表示される文字もきわめて小さいもので、これも読むには不向きです。やはりデジタル放送の弊害です。デジタル放送はあまりに「高解像度・高精度」であることをウリにしすぎました。そのために大型テレビばかり販売しています。もちろんB-CASによって参入メーカーをしぼり、低価格で小型のテレビを得意とするメーカーを市場から追い出してしまった影響も大きく、出回っているのは大型テレビばかりです。そのため、大型テレビであることを大前提とした一画面に情報量をたくさん表示する画面構成をやはりテレビ局がするようになってしまい、小型のテレビで画面の文字が読めるシロモノではなくなっているのです。まして、アナログテレビの大半はブラウン管であまり大きくないものをレターボックス化しているわけですからさらに小さくなります。たまに入るテロップの文字と比べれば一目瞭然。小型テレビで受信するデジタル放送にこんな弊害もあることを初めて知りました。

「テレビは生活インフラ、生活保護世帯でも災害報道などのためにデジタル放送を受信出来る環境を整備することが必要」と無料チューナーを配っていますが、断言します、肝心の災害情報の受信には全く役に立ちません。地上デジタル放送が高解像度である限り、小型テレビでの視聴を前提とした放送にはなり得ないからです。受信の問題だけならワンセグでなんとかなりますが、解像度が低すぎて余計画面が小さくなって情報が減ります。今からでも地上デジタル放送を見直すか、ワンセグを強化して小さな画面でもはっきり文字が読み取れる解像度やビットレートを割り振り、災害時には専用の放送を行うなどが必要でしょう。特に後者はすぐにでも行ってほしいものです。

追記:この時点で確認した放送は日本放送協会のものです。民放によってはアナログ放送専用のL字情報を付加しているところもあり、本来の放送画面はさらに小さくなって見づらいものの、L字部分の文字はサイズが大きく、読みやすいものになっています。また、"アナログ”の文字のないチャンネルもあるようです。
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25 コメント

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ノンスクランブル (rbout)
2011-03-12 22:55:38
こんにちは。

昨日より、PT2で地震情報を視聴していますが、NHKの地上波、BS放送はノンスクランブルで放送されているので、B-CASカード無しで見られますね。

また、こういう時こそ、テレビ放送の必要性について問われる時なので、そのあり方について堂々と発信されるべきだと思います、

本来、既存マスコミに対してテレビ放送用に有利な周波数が与えれているのは、今回のような災害情報を多くの国民に発信するためであって、無意味なハイビジョン番組や下品なバラエティ、ワイドショーを放送するためではないはずです。

そのため、テレビ放送はSD画質で十分であり、もっと狭い周波数割り当てで済むはずです。
私もNHK地震情報をBS2のSD画質で視聴していますが、情報を収集するという目的であれば十分すぎる画質です。

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思うところ (N.Shim@)
2011-03-13 00:39:39
今日、会社の事務所に出て一部の顧客の復旧にあたりました。事務所自体が12日の午後まで停電しており、出社は私以外は3人、うち一人は電車が止まって別な事務所に在籍のものが昨日から帰れずにそのまま泊まった、という状況でした。

停電しているなかでも、携帯のワンセグでTVで状況確認していたそうで、これはアナログ時代から比べると進歩したと考えてもいい気がしました。
アナログ時代にもポケットTVはありましたが、携帯のようにいつでも持ち歩いているものではないし、ワンセグより視聴にバッテリーが必要だったと思います。

私も11日の車での移動中にTVを見ていましたが場所によってはワンセグでした。このとき初めて気がついたのですが、地震情報のL字テロップってワンセグでは入らないんですよね。これ、解像度からの配慮じゃないかと思います。L字テロップ以外は私はとりあえずワンセグでも良い様に思えました。

そういや、地震になってからCS見てないなぁ。
13日の00:00より緊急放送だったテレ東はL字テロップで通常放送になったようです。CMって久しぶりに見ると、なんかほっとしますね。気のせいかもしれませんが、ACのCMが増えているようです。内容について何か配慮してるのかな?
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テレ東 (N.Shim@)
2011-03-13 01:17:15
しばらく見てみていますが、8割方ACのCMになってます。内容というより契約の関係かも。
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Unknown (mk)
2011-03-13 02:07:11
>衛星放送は大型のアンテナが必要ですし、持ち歩けません。その上わずかなズレでも映らなくなってしまうものです。一方、地上波は持ち歩く小さなアンテナでも映すことが可能です。

失敗して撤退ちゃいましたがモバHOってCS放送でも携帯端末で見れる便利な放送でしたね。
技術的な事は判らないんですがBSでああいう風に適当なアンテナで見れる仕組みって出来ないもんですかね?
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Unknown (emanon)
2011-03-13 07:07:30
 普段と同じように話せる場所があるのは良いものですよ、普段のように新製品の情報とか見ていると落ち着きますし 
思わずポロともれ出る情報をもみ消されたり訂正ることが無いように録画してみるのもアリなのではないかと思いますよ


今回ほどBS受信が難しいと感じるとは考え付きませんでしたよ、アンテナは電力を供給してやらなければ受信できずノートからは断念
地デジはチューナーを所有してなかったので見る事ができなかったですし結局はラジオや携帯 車載された受信機器でしか情報が入らないし

ある程度大きな店舗では明かりが点かず中に入ることができないので食料や燃料も何処で買えるか情報がとにかく欲しかったです 
高速も止まっているようだしバイパスも明るいうちは通勤時間とほぼ同じくらい混み信号も消えているので事故も出ていたようです

信号つかないので車の流れが途切れることが無いのです
当然といえば当然なのですが (左折してから右折しないと渡れないのですよ) 

ラジオを聞きながらですし標識や赤信号が視界に入って初めて止まる事になれていることで慣れてくるまで (交差点でかならず一時停止) しない車が多く危険な感じでした 日が昇るてありがたいものだったのですね
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Unknown (megalith)
2011-03-13 08:28:31
おはようございます。

EPGの番組表を見ると、BS系はBSジャパンはすでに戻り、
BS日テレが12:00から通常番組に戻るようで、
その他も夕方~明日の放送から通常に戻るようです。
地上波もGBSがすでにL字テロップで通常放送に戻り、
東海TVが15:00頃(よりにもよって競馬放送から)からで、
他の局も夕方&夜にから戻るようです。

NHKは明日朝から通常放送に戻るようです。

さて、今回の災害で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
また、被災された方々にはお見舞い申し上げます。
自分も以前災害にあったことがあるので
とても人事とは思えません。
また、自分の友人が千葉県にいますが、
メールによるとスーパーには食料品が消えているそうで、
最悪の場合の支援を約束しました。
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Unknown (krmmk3)
2011-03-13 11:50:38
>rboutさん
確かに非常時だとHDにこだわる意味はないですね。こういう時こそマルチ放送でSD解像度で放送を行い、報道を第一で、それ以外の文字を中心とした放送を第二第三で・・・などという放送の仕方もありますね。

>N.Shim@さん
人や地域にもよるんでしょうけど、ワンセグのようなモバイル向け放送は全国向けより地域別の文字を中心とした情報の方が重要なように思えるのですよ。L字がないより、むしろL字部分をみやすくした放送という考え方もあったように思います。
ACの場合、おっしゃるように契約あるいは放送義務でしょうね。

>mkさん
ありましたねぇ、モバHO。あまりに目立たないのが失敗の理由だったように思えますが、あれって室内視聴が難しいのでは。同様のサービスはアナログ放送で空いたVHF波で行われるのでしょうね。

>emanonさん
そういう風にも考えました。こういうときだからこそ、普段と同じような更新をした方がいいのかな~とも。今回はそこら辺のバランスを取ってやったつもりではあります。
録画はやってますが、さすがに全部のチャンネルを保存するのは無理なので、一部だけですけどね。
信号無いと怖いですね。事故には合われなかったようで良かったです。

>megalithさん
BSは地上波より先んじて通常放送に戻すみたいですね。あえて通常に戻りたい人に向けてのサービスという考え方でしょうか。
千葉は少し震源地から遠いし都心に近いので通常の生活のイメージがあったのですが、そのようになっているのですか。早く落ち着いてくれるといいですね。
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Unknown (フリー・イグレシアス)
2011-03-13 12:21:49
私のところは地震直後に停電したのでポケットラジオで情報を収集しました
途中でモバイルノートにワンセグチューナーが繋がっていることを思いだし翌日復旧するまではそれを見ていました
得られる情報に殆ど差は無いのですが映像があるとやはり違いますね
ただワンセグ故に文字の判別は若干厳しいものがあります。まあ非常時用としてはこれで十分ではないかと
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Unknown (容堂)
2011-03-13 15:13:24
まずこの度の震災の被害にあわれた方へお見舞い申し上げます。

次に、先刻来の例のチューナーの件以降コメントを控えておりましたが、事態が事態ゆえ
今回に限りコメントさせていただきます。

当方も大阪の会社にて震度3の地震にあいました。
急ぎワンセグやネットの緊急地震情報にて確認しましたが、やはりワンセグの文字は
見難かったと言わざるを得ません。

緊急時に文字情報だけを送信して表示させるような仕組みを追加できないものかと痛切に
感じました。

緊急時の放送における地上波と衛星の違いについて本文中にて述べられていますが、
緊急時の一斉放送という点で言えば、昨年に少しお話しましたように、成層圏プラットホーム
を活用するのが一番合理的であろうかと思います。

地上から上空20~30km程度上空からのエアプレーンによる放送であれば、衛星のような
パラボラアンテナによるシビアな方向調整は必要ありませんし、上空が見渡せるところや
上空からの反射波(用いる周波数帯にもよる)からの屋内受信もそれなりに可能ですので
今一度導入を真剣に考えなければいけないかもしれません。

また、災害時こそSD放送によるマルチチャンネル放送を最大限に有効活用しなければ
いけないと思います。

NHKの場合、メインの情報を総合で、被災者情報を教育でと分けていましたが、総合と
教育の両方が受信できている場合はともかく、そうでない場合にはどちらか一方の情報
しか得られなくなるからです。

大阪の場合、総合だけ24chと他の放送より少し離れている問題や、アナログ時代の生駒
方面向けUHFアンテナが、テレビ大阪専用の19chとその近傍か、もしくは19ch以下のみの
受信しか出来ない状態で放置している家庭がまだかなりの数存在していることもあり、
NHKの総合を見ることが出来ていない家庭がかなりあるのではないかと想像されます。

総合と教育で同一マルチチャンネル放送であればとりあえず緊急情報だけでも何とかなります。
運用方法の見直しを切に願います。
返信する
Unknown (Unknown)
2011-03-13 20:56:26
今回のことで地デジ移行が順延なんてこともありえるのですかね?
あと節電呼びかけるなら、延々と災害現場を流し続ける民放局の放送をやめたらどうだと思ってしまうが
各局同じことやってるならNHKだけで充分でしょ
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