録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

日経の電子新聞が見せる将来

2010-02-25 20:49:42 | Weblog
本日午前十一時、春の訪れ(=季節の変わり目になるとなぜかわたしの右腕を襲う痛みで腕が上がらなくなる現象)を確認いたしまして、本日より季節は春、と決めさせていただきます。まだ右腕は少し重いですが、動かせないほどではありません。例年通りなら、明日には完治しているでしょう。


さて、昨日から話題(?)になっているちょっと面白い話と言えば、日経の電子版でしょう。

日経新聞が電子版創刊…来月23日、有料で全記事提供

日経新聞が電子版を発表 - 新聞部数への配慮で単体月額4000円

マスコミの二大勢力と言えば新聞とテレビ。そのテレビが著作権の保護の名のもとにコンテンツ権利の保護特権を得、番組管理の独占と二次利用の価値を高めようとしているのに対して、新聞側はジリ貧状態。自社でやっている情報サイトには簡単な記事だけを掲載して紙面との差別化は測っているのですが、すぐにブログなどで引用され、解説文を付けられて同等かそれ以上の記事を作られてしまっています。しかも、出展をはっきりとさせた引用は著作権法上で合法のため、手も足も出ません。そのうち著作権法にテコいれをさせ、「新聞は引用の自由の例外とし、ダウンロードの違法化と同等と見なす」とかにして違法措置にさせるんでしょうが、現在はどうしようもありません。対抗手段としてはWEBから完全撤退することがありますが、今更インターネットから隔離された社会に逃げ込むことなど、マスコミのプライドにかけて出来ることではないでしょう。
日経の電子有料化は、第二の手段として。あるいはあらたな収入源を求める手段として取り上げられたものと評価は出来ます。確かに情報は本来タダではありません。そういう意味では、正しい行為ではあります。が、しょせん日経だけでやっても、他に情報サイトはいくらでもあります。確かに日経は新聞の中では特異な記事を掲載する新聞ではありますが、最近はレベルが低下しているようにしか見えません。この程度なら、うまくブログの中から適したものを選出できる能力のある人がその気になれば、十分互せる情報サイトを作ることは出来ます(残念ながら存在はしませんが)。
なにより、ネットで情報を集める人間は無料文化に慣れすぎています。ネットのユーザーをうまく有料に誘導するには無料で(悪く言えば)"釣る"必要があります。それを一切やらずに最初から有料、それもそこらの新聞の購読料並みかそれ以上の、ネットの情報サイトとしては飛びぬけた高価格。おそらく最初のうちは購読者は非常に少ないでしょう。本紙からデータは流用しただけですからそう簡単に撤退ということは無いでしょうが、相当長い目で見る必要はあるでしょう。なにせ、他の新聞、販売ルートの確保はもちろん、その他もろもろ黒い噂の部分まで販売店の存在が重要な新聞は、日経ほど本格的に有料配信には踏み切れないため、当分は浮いた存在になるでしょうから。

可能性があるとしたら、おそらく多くの人が結びつけて考えたであろう、iPadが切り開くか? とされている電子書籍です。パソコンへの配信だとどこまで流行るか謎ですし、新聞と同じレイアウトだ携帯電話だと画面が小さすぎます。iPadやKindleの方がふさわしいサイズです。
電子書籍ビューワーとしてiPadの姿を見たとき、わたしも例外では無いのですが、おそらく7割がたの人はマンガしか思い浮かばず、かつ他の形態を連想できなかったはずです。このまま放っておいても、日本ではおそらく絶版マンガくらいしか配信されないでしょう。それ以外の可能性を人の頭の中に選択肢として植えつけただけでも、日経の挑戦は意味があると言えるのではないでしょうか。ただし、今回はダウンロードコンテンツである電子書籍の形はとらないでしょう。パスワードでアクセスは出来るが、保存は出来ないという形式に。もちろん"著作権の保護"の名の下に。
追記:海外在住者が日本の新聞を読みたい、という希望をかなえるにはとても安い値段だそうです。


なお、これとは全く別のパターンで注目しているが(書くと本人が喜ぶので本当は書きたくないのですが)わたしの姉Tです。姉Tには悪いクセが二つありました。一つは、時間がなくて読まずに古くなった新聞を「まだ読んでないからもったいない」と読むのはまだいいとして、それをよりにもよって電車に持ち込んで読むというものです。しかも、古新聞を読むからますますその日の新聞を読まなくなり、結果としてどんどん新聞が積ん読状態になり、それをやっぱり毎日古いものから電車に持ち込んで読むことになるという・・・。これはわたしが「頼むからやめてくれ」と古新聞を容赦なく処分することでやめさせ、かつ購読もやめさせました。どうしても新聞が読みたいのなら駅の売店かコンビニで買って読む生活を当分続けろと。結果として、姉Tは情報源はネットだけで十分ということに気がつき、新聞は読まなくなりました。ところが、姉Tは変なところで見栄を張る習慣があり、「勤め人として新聞くらい購読してないようでは体面が悪い」などど言い出し、この日経の電子新聞に目を付けました。
ただし、そこまでして何が読みたいのかというと、なんと「求人情報」だそうです。ただし、転職先を探しているのではなく、あくまで求人広告が読みたいだけという。これが姉Tの悪いクセその2、求人情報誌が大好きなことです。かつて多数存在したアルバイト誌や求人情報誌を、姉Tは毎週購読していた変人だったのです。が、世の中すでにネット時代。就職情報誌は時代遅れとなり、いまやほとんど存在していません。それを残念に思った姉Tは新聞の求人広告をその代用にしようとたくらみました。電子新聞なら古いものが物理的に山のように詰まれることが無いのでわたしに怒られることが無いし、古いのを読んでいてもバレないので便利だと思ったようです・・・。何考えているのやら。
大体電子新聞に求人広告なんて載るのかいな? それは実際出てみるまでなんともいえませんが、多分載らないと思ふ。
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16 コメント

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投稿 (ニキビがあると楽しくないし・・・)
2010-02-25 22:51:18
日経グループに日経ラジオ社が放送するラジオ日経という短波放送があります。
競馬と株のギャンブル専門放送局ですが徐々にインターネット放送へシフトしようとしているようで、このところ無料だったコンテンツの有料化が著しくラジオ日経のHPの投稿欄のそのことに批判的な書きこみをしたのですが、番組の中できちんと読んでくれました。局としては読みにくい内容であったはずで、日本の放送局も捨てたもんじゃないなと思いまいた。
今宵は此処までにいたしとう御座います
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Unknown ()
2010-02-26 00:00:22
Webコンテンツと異なり、有料の「電子新聞」がどこまで保存が利くのかが謎ですね

理想を言えば「ライブラリアクセス&DL権」を購入する形で、常に様々な媒体で自由二DLさせてほしいものですが、難しいのかな?

これまでの電子書籍・有料動画などは、基本的に期間レンタルですから、何気に役に立たないんですよね
どうせDRMによる「制限付き」「レンタル」の扱いなら、1本いくらよりは月極めいくらの方が利用者には使いやすいってもんです
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Unknown (krmmk3)
2010-02-26 00:20:37
>ニキビがあると楽しくないし・・・さん
なんかコメ返しするのとは性質の違う書き込みな気もしますが。
同じ批判でも、一応局へ対する期待のようなものが感じられる内容だったので読んでいただけたのではないですかね。

>熊さん
あ、その旨を書くのを忘れてましたので、修正しておきました。
今回の件に関しては"簡単に引用できない"ことも含まれていると予想されますので、おそらく見られるだけ、ダウンロードは出来ないものと予想されます。
AppleやAmazonは、DRM付けてもダウンロード形式にしてきそうですけどね。ネットに繋がなくても読めたほうが手軽ですし、パケット料もかかりませんし、その方が売れると判断するでしょうから。日本の発想は"売れるのはまず当たり前。その上でより効率よく儲けるには"ですから。
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電子媒体で新聞読みたい (N.Shim@)
2010-02-26 02:32:54
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/mobile/20100225_351125.html

この記事にもあるように、私は「新聞が毎日ゴミに化ける」ことが嫌でずっと昔(10年以上前)に新聞購読を止めてしまった人です。

でも、新聞、読みたいことは読みたいんですよ。できれば、近隣の新聞折り込み広告も含めて。安売り情報とか、ゲットできないじゃないですか、折込広告ないと。
でも、近隣の折り込み広告込みで新聞を電子化してくれる会社無いんですよねー。TV欄はネットがあれば十分なんで、そこは今更要らないんですけど。

iPadやキンドルですが、私はオライリーみたいな分厚い技術書がさっと読めるようになるのがいいと思います。なにより、仕事先に持って出かけないといけないような場合、カサと重量が減らせますからね。
ついでに、電子媒体版は安めの価格設定だとなお嬉しいですけど。あと、PDFみたいに目次からページジャンプしたり、単語検索が利くのがいいですね。

PDF版があればPC閲覧でもダメじゃないんですが、2画面環境じゃない場合は同じ画面にPDFと作業ウィンドウを開いて交互に見るのはあんまり効率よくないんですよ。マシンを2台並べるのが一番効率いいんですが、そんなPC丸ごと持ち歩くのもなんだし。
イーモバのEMONSTERもありますが、ちょっと画面小さいですしね。
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Unknown (E)
2010-02-26 02:40:21
日経は、日経テレコンという名前でかなり以前から記事の有料配信をしております。
個人利用で考えると金額は高いですが、おそらく国内では随一のデータ量ではないでしょうか。
現在のNIKKEI NETとこの日経テレコン21の中間にあたるサービスを、収益の柱として発展させていきたいと見えます。
ご存じでしょうけれどもこちらの記事の方がわかりやすいかと思いますので。
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/02/25/004/index.html
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Unknown (neko)
2010-02-26 03:29:57
新聞に関しては有料でもいいので、過去の新聞をデータベースにしたうえで関連データベースをつけられれば多分有料でもそれなりの人間は加入するとは思いますが。

Webではなく専用のソフトからにしないとだめでしょうし。(下手するとただで見る人間がいるので)
マイクロフィルムなどからデータを呼び出したりなどを行いWeb版との連動もやってほしいところですね。
 月の登録料が500円未満で携帯からもみれる形式でなおかつ電話機のFAX機能から印刷できるとかあればいける気はしますが。
 あるいは。電子版は新聞紙を買った人に対して無償で供給するとかですねぇ。
 そうすれば存在価値はでてくるかもですが。
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問題外 (ジャガーいも)
2010-02-26 12:38:59
情報は確かに無料じゃないけど、何というか取らぬタヌキ
の胸算用みたいで失笑せざるを得ないですね。こんなもの
ならKindleやiPadでFinacial Timeとかを購読した方が遥かに
マシ。とても日経ごときに4000円の価値があるとは思えない。
日経は自分が一流紙だとでも思っているんだろうか?
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Unknown (台湾駐在)
2010-02-26 15:20:50
日経新聞国際版に比べると格段に安いので、小職のような海外放置組にはメリットが一応あるんですよね。

http://www.nikkei.asia/j-kokusai-03.php

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Unknown (krmmk3)
2010-02-26 16:30:59
>N.Shim@さん
新聞が貯まるのはイヤ、でも安売りの広告のために取る。そういう人、案外多いらしいですね。電子版は前者には答えられても後者には・・・。電子新聞とは別にチラシだけの配信とかどこかしませんかね。
分厚い専門書を持ち歩くことを考えればiPadなんて小さいものですね。それが本来の使い方かも知れません。

>Eさん
記事は、若干出遅れたこtもありまして、まぁ簡単でいいかなと。あまりウチのテーマと合致したものじゃありませんし。ただ、新聞系はすぐ消えるのでそっちも貼ることにします。
日経テレコンは、有料情報配信の典型ですね。ここを見ると何か日経もまだ高レベルの記事を書いているのかなという気がしてきます、不思議なことに。

>nekoさん
読売とかが過去の新聞を単にスキャンしたものが読めるようにしてありますけど、あれでは意味がないですね。新聞側としてはデザインも含めて新聞なんでしょうけど、テキスト情報化してくれないと使いにくいですし。
どちらにしても、今の値段ではちょっと利用者が増えるとは考えづらいですね。

>ジャガーいもさん
日経に限らず、どこも「自分とこは一流」って自負はあると思いますよ。わたしも意気込みは買うんです。空回りしそうですけど。

>台湾駐在さん
なるほど。そういう使い方もあるんですね。紹介させていただきます。
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Unknown (mit)
2010-02-26 20:16:24
↓リクルートがTV欄と折込広告のみの無料宅配をやってますね。
http://townmarket.jp/MP/touroku/
広告が週一になってしまいますが、これで十分って人も結構いるんじゃないかな。
首都圏のみなのが残念です。

新聞会社にとってはある意味ネットより脅威でしょう。
リクルートも注意深く拡大していかないと、新聞社に潰される気がする。
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