録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

準速報!? 録画補償金裁判で東芝が勝訴

2010-12-27 22:57:01 | Weblog
先にコメント欄で書かれちゃいましたが(^^;)情報いただいたのでとりあえず準速報扱いであげます。

録画補償金で東芝勝訴=デジタル専用機めぐり-東京地裁

あまり具体的な様子はわかりませんが、SARVHの訴えが棄却されたのは確かなようです。

これまでの経緯は比較的日経が詳しく書いてます。

SARVH対東芝の補償金訴訟、27日に判決へ これまでの経緯を振り返る

最近の日経は右クリックができないのでコピペが少し面倒なんで使いたくないんですが、他に同類も無いので参考にするならこちら。

もう少しネタを探してみますので、わたしからの感想は後ほど。

追記:
事前の主張としてITmediaの記事が若干詳しいようなので、取り上げます。

デジタル専用レコーダーは補償金の対象か SARVH・東芝訴訟、判決言い渡しへ

いくつか注目すべき点はありますが、なんと言っても両者の主張部分でしょう。東芝側が少々まずいことを実は言っています。

"・著作権法104の5における「協力しなければならない」という文言は訓示規定を意味する法制用語であり、裁判で金銭の支払いを強制できる具体的な請求権を基礎付けるものではない
・104の5が訓示規定であることにより補償金制度が実質的に機能しないとしても、補償金制度の「宿命」からやむを得ないことである
・補償金の徴収方式はプリペイドカード方式など様々な方法があり、協力義務の内容も、デジタル専用機に補償金相当額を上乗せ徴収してこれを原告に支払うことに限定されるものではない"

これのどこがまずいかと言えば、「協力しなければならないイコールメーカーが支払わなければいけないというものではない。利用者個人個人から直接支払ってもらう手段もあるのではないか」とこのような、もともと支払いを拒否した本質から外れたことを言っているのです。東芝側からすれば東芝の発言イコール家電業界の発言となることを避け、かつ裁判に勝つことを優先した結果の主張なのでしょうけど、わたしとしては少々アテが外れた感じです。「一般ユーザーを不自由にし、市場を半壊させるほどの売れ行き低下をもたらした録画規制下にあってなお、録画補償金はデジタル放送において必要なのか」という問題の本質を裁判で争って欲しかったものですが。もちろんSARVHはそれを避けたいから家電業界全体やそれを代表するような組織ではなく、東芝という一企業だけを訴訟の対象として選んだわけなので、何も進展がないというのも当然と言えば当然なのですけどね。

つまり、今回の裁判結果はSARVHの東芝に対する主張だけが却下された形であり、デジタル放送の規制や、その下の補償金自体が裁判で否定されたものではありませんでした。補償金が欲しければ、SARVHはふんぞり返って家電業界をアゴで使いながら上納金を納めさせるのではなく、自分たちで汗を流して集めろということなんでしょう。残念ながら、補償金そのものに対しての主張はそれでした。そして、今回の判決は、少なくともネット上で記事になっている中身から察するにその面で東芝を支持したように感じます。裁判所ってこの手の判決文とかを全然ネットに載せてくれないんで、分からないんですよ。秘密主義ってことではないのでしょうけど、傍聴が不可能な人間にとっては不便です。

もし今後もこういった面だけが争点として争われるのなら、少なくともわたしらにとって実りのある裁判になりそうにないですね。補償金がメーカーの代理支払いになるか、SARVHが個人から直接取るようになるかという選択になっても、結局支払うのはわたしら消費者であり、結果は同じです。このまま消費者不在のどうでもいい争いに終始することがなく、せめて現状に一石を投じるものになってもらいたいものですが、もう期待するだけ無駄かも知れません。

追記の追記:

私的録画補償金訴訟、SARVHの請求を棄却 アナログ非搭載機は「対象」と判断

またまた日経ですが、もうちょっと具体的な報告があります。これによると

「"アナログ非搭載機が補償金の対象となる「特定機器」に該当するか否かという点について、SARVHの主張通り対象であるとの判断を示した"うえで、協力義務の面でSARVHの訴えを却下した」ようなのです。

このままでは控訴があったとしても、協力義務の範囲や方法論に終始する、つまらない裁判となる予感がします。むしろデジタル機器は補償金の対象であると認定した、という部分に関して東芝側から控訴して欲しいくらいです。

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20 コメント

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Unknown (フリオ。イグレシアス)
2010-12-27 18:22:47
日経.comのトップから最新記事を辿れます(今なら)
個人的には東芝が勝訴したことよりも、デジタル機器は補償金の対象と認定されたことの方が気になります。
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Unknown (秋山)
2010-12-27 20:59:43
補償金について運営法人の財務内容を硝子張りにした上で実際のコンテンツ製作者(アニメーター等)に対する所得補償とした方が廃止するより明らかにメリットが大きいように思われますが。「あるある」事件で明らかになったように1億円の番組をわずか320万円で実際の番組制作会社に下請けさせていた事実もあります。そして生メディアに対する補償金を継続させる代わりに放送に対するDRMを廃止して自由にさせるべきです。
返信する
Unknown (Unknown)
2010-12-27 21:48:28
勝訴はしたけど、微妙な判決ですね。
「今回は払わなくても良いけど、次からは払いなさいよ」って意味にも取れるような気がしましたので。
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Unknown (makita)
2010-12-27 22:39:23
この問題での東芝の主張は「デジタル放送ではコピー制御が行われていてデジタル放送専用機器においては番組がDRM保護されているから私的録画補償が必要となることは無い」というようなものでしたね。

私としては現行の私的録画補償金制度は
その代金が本当にコンテンツ制作者に配分されているかすら怪しいのでさっさと廃止にすべきだと思っています。
その上でコンテンツ制作者に正当に還元されるような制度を作り、
そのかわりに放送波に対する異常なまでに過剰なDRMを完全撤廃するべきだと思います。

話変わりますがJASRAC含める著作権団体側はよく「消費者と家電メーカーは著作権者には代価を払う必要はないと主張している」などと主張していますが少なくともJASRACらを批判する人がそのような事を主張している人を見かけたことはありません。
その上で彼らは「そんな風潮が蔓延すれば次第に萎縮していってコンテンツを作れなくなる」などというように話を展開してきます。
こんなんだからいつまでたっても著作権保護団体とは話がかみ合わないんでしょうね。
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Unknown (krmmk3)
2010-12-27 23:09:19
>フリオ。イグレシアスさん
日経の引用はなるべく避けたかったもので。
補償金そのものは残念ながら法律で存在が保証されちゃっているんです。それで今回の裁判も少し揉めた感じです。

>秋山さん
生メディアに関しては今回の裁判でも全く争われず、今後も存続はするでしょう。
ガラス張りにはしたくないでしょうね。日本名物年功序列ってやつがありますから、結局は実質的な功労金となるのがオチでしょう、どんな形でも。

>2010-12-27 21:48:28さん
わたしも微妙というか、実の無い裁判結果と感じました。わたしの意見は当記事の追記部分で。

>makitaさん
みなさんそう思っていらっしゃいますね。SARVHとしてはむしろ過去の製作者への功労金のような形で分配したいでしょうから、補償金の拡大はあっても縮小は断固認めないでしょう。むしろ「DRMは現状製作者のため、補償金は過去の製作者のため」という考えかも知れないですよ。
なぜか著作権団体の代表者って、被害妄想的なことしか言わないですね。だから反感を買うんです。
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Unknown (ARX7)
2010-12-27 23:12:19
コピー制限のかかったデジタル機器も払えというのは納得いかず。

ここでちょっとした思考実験。
この判決が地裁で確定したとしたら(してませんが)SARVHの取れる道は
(1)メーカーに依頼して商品の箱の中に郵便振り込み用紙と保証金の趣旨を説明した冊子を同封してもらう。
(2)商品を買った人に直接振り込んでもらう。
(3)もちろん振り込み手数料、印刷費用等は全額SARVH持ち。

…やっぱ振り込まないでしょう普通。無料放送見るのにお金要ると考える人いないし。電気店が設置したら取説以外はそれっきり。大体NHKにB-CAS登録するだけで力尽きているかと。

もし法律の改正で”協力義務”になっても、上記の対応で”協力した”と言えませんか?

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Unknown (krmmk3)
2010-12-27 23:43:02
>ARX7さん
もちろんそれでも立派な協力義務です。ただ、振込み方式ではおっしゃるようにほとんど誰も支払わないでしょうから、消費税のように店頭で強制回収って形になるのでしょうね。今後の争点はその主導権をメーカーが握るか、SARVHが取るのかというどうでもいいものになりそうです。
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Unknown (Unknown)
2010-12-27 23:52:27
東芝が勝訴と知って少し喜んだけど、
中身見ると敗訴と一緒じゃないか・・・orz
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Unknown (krmmk3)
2010-12-27 23:56:32
>2010-12-27 23:52:27さん
そのようです orz
SARVHは"お墨付きを得た"として強気に出るでしょうね。
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Unknown (Unknown)
2010-12-28 01:02:28
私はまずは第一歩と見ますがねえ.
メーカーに回収義務無し,店頭でも回収不能となれば実質無効となりますし,どのような形であれ補償金は現在のところ仕組みとして必要ですからね.
その上でもしコンテンツホルダーがそう言う機器向けには再生を禁ずとかやれるもんならやってみろって話です.

こいつらは正義とか倫理とかそういうもんは一切無く以下にたかるかしか考えてないんですから,儲かりゃなんでもいいわけですから.

まあアレですよ.酒や煙草,自動車などと同じで税金を上げたり禁止に近い様な風潮を作り上げれば,効果は其の次の世代に波及して,そう言う行為にカネを使うのはバカって事になり,市場が無くなってから焦ってももう遅いわけです.

と言うか動画や音楽なんてその最たるもので,わざわざDRMのかかった使いにくい低画質なものを金を払って買うやつはバカだって風潮です.しかもDRMの場合いくら払おうが所有することは出来ず,考え方はレンタルです.違法のほうが使いやすく高画質な上に無料.そりゃ負けますよ.
同じ使いやすさ同じ品質でも無料が勝ちます.つまり金を取るなら無料のものより使いやすく高品質でなければその価値はないって事です.

無料で放送しているものにDRMを掛け,あまつさえその録画に金を取るとかどう考えればそんな考えに行き着くのか.狂ってます.
まあその答えは明白で保護なんて言う隠れ蓑を着けた搾取が目的ですからね.
保護が目的ならもっとやりようは色々ありますからね.
返信する

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