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’07年冬休みの読書感想文・『プロ野球でモノになる奴の法則』

2008年02月10日 20時00分54秒 | 日本のプロ野球




 昨年12月頃、たまなさんのブログに紹介してあって、興味が湧いたのでamazon.comで購入した『プロ野球でモノになる奴の法則』(小関順二氏 著)。 ちょこちょこと電車の中などで読み進めていたのですが、この度やっと読み終わり、約束していた読書感想文を書くことに相成りました。


   出版社: 廣済堂出版 (2007/12)
   ISBN-10: 4331512827  ISBN-13: 978-4331512821



 念のため申し上げておきますと、このブログを始めた時にも書きましたが、私は小学校の頃、夏休みの読書感想文で、毎回のように先生から「あらすじ書かなくていいから自分で思ったことを書きなさい」と言われていた人物でございます。
 がんばってあらすじにならないように書いてみますので、当ブログの読者様も、頑張ってお読みください!

 では早速。


著者について
 
 すでにお読みになった方も結構いるかもしれません。
 ドラフト会議になると解説の一人としてCS放送などに出てくる、スポーツライター(評論家?)の小関順二氏の書いた本です。 小関氏というと、年間300試合以上、アマチュアの試合を中心に野球の試合を現地に足を運び観に行っている方です。 週刊誌だったり「月刊アマチュア野球」などにも、ドラフトにかかる可能性を持つ有望なアマチュア選手の記事を書かれているようです。

 私はこの本を読むまで小関氏を知りませんでした。 というより、スポーツライターだとか評論家っていう人物(職業)に興味がない。 あえて(元プロ野球選手を除き)野球関係中心の評論家で知っていると言えば、ダンカンくらい。 (ダンカンが野球評論家かどうか、ということは触れないで下さいね。) 『週刊ベースボール』といった野球専門誌も読まないことないし、『屈辱と歓喜と真実と』といったWBC関連の本も読んではいる。 でもやはり誰が書いただとか、は全く興味がない。

 小関氏にしても他のスポーツライターにしても、そりゃあ私なんかより野球の試合も観ているだろうし、実際に多くの選手・監督・コーチなどとも話をしているでしょう。 でも、悪いけどどんなに論理的であり数値を持ち出したりしても、所詮私的な見解に過ぎない。 技術ベースの話であっても同様。 実際にその理論を持って、一定期間(少なくとも1年以上)コーチとして選手に接して対応したことでもあれば、多少の説得力はあるけれど。

 なぜこんな批判的な話から入ったかというと、この小関氏、野球ファンからはかなり賛否両論みたいなんですよね。 ドラフト会議の解説の場で散々貶した選手が、翌年いきなり1軍出場初安打初打点も記録、ってこともありました。 (さて、これは誰のことでしょう!?) まあ、実際にはスポーツライター・評論家って類の方々を崇拝する野球ファンもいるけど、それ以上にその意見に反対する人も多い。 

 しかし、私は先ほども書いた通り、スポーツライターだの野球評論家っていうものに基本的には興味がないので、小関氏のこれまでの論理が正しいだとか評価が正当なのか、という点については興味なし。 単純に、何も考えずに、この本を読んでみたわけです。


本書のポイントについて

 『プロ野球でモノになる奴の法則』は、2007年ドラフト会議での指名選手及び現役選手、そして2008年ドラフトにおける有望選手について、小関氏独自の視点で批評がなされています。 また、独自の理論を説明するために、特定の選手の名前を例示して説明している、という手法もとっている。 「独自の理論」と書きましたが、それは決して「新論」という意味ではなく、この「ポイント」に絞って選手を見ている、ということ。

 そのポイントとは、「フォームの形」そして「時間」(著書の中で、小関氏がこれらの言葉を使っているわけではありません)。 先に話しておくと、野球観戦をする上で「フォームの形」については参考になるし、新たな野球観戦の楽しみとなるかもしれないけれど、「時間」に関しては全く参考にもならない意味のないデータの羅列でした。 


フォームの形について
 
 「フォームの形」については、原則的には良い形、というものがあるけれども、プロで活躍する選手の中には「悪い形」でも大成している選手はおり、「良い形」でも大成できていない人もいる。 だから、原則的、らしい。 野球ファンが小関氏を批難する時(要は、小関氏が酷評していたのに活躍する場合)、まさにこのケース。 当然、選手達も小関氏が観戦した試合の時以降、一切フォーム変更をしていないということはないので、必ず予測には「ブレ」が生じる。 

 私としては、この本に書いてある「形」をある程度覚えておき、テレビ観戦含め野球観戦した時「この選手はこのパターンの選手なのか」とかを確かめてみる、ってうのも面白いだろうな、と思って読んでいた。 また、「活躍する」「来年も活躍できるか疑問だ」と書かれていた選手が、本当にそうなるか、と邪推しながら観てみるのも面白いかもしれない。

 写真は一切ないので、すぐさまその形のイメージが湧かないけれど、自分の贔屓の球団(ここの読者の方々の多くはマリーンズでしょうけど)の選手を中心に読み進めていくと、大方のイメージは沸いてきます。 
 小関氏も冒頭で書かれているように、技術論の本として書いているわけではないし写真もないので、自分で打者や投手の映像を思い浮かべながら読むことをお奨めします。


時間について

 「時間」については、小関氏は「ストップウォッチ」でいろいろな場面の計測をしている。 例えば、打者の場合、打ってから一塁までの到達時間とか。

 この「ストップウォッチでの計測」は、私は甚だ疑問、というより無意味
 申し訳ないが、人間が手動でストップウォッチを押して計測する値など、ものすごく大きな時間のズレが生じる。 どのタイミングで計測し始めるか、そして止めるか。 測定する人間がどの位置で観ているか。 見る場所等々を考慮した場合、1秒くらいのズレは平気で生じる。
 なのに、この著書内では、コンマ2桁(100分の1秒)単位までの数値で書かれ、その数値が基準とされている。 誤差が大きいのに、100分の1秒までの値を基準値としてあげる意味が全くない。

 陸上競技の場合、手動計時(3人の審判員がストップウォッチを持ち、タイムを測定すること)、100分の1秒以下は繰り上げられる。 また、3人と書いたように、必ず複数の審判員で計時することになっている。 当然、これらの審判員は、決められた定点で観測している。 それでも計時者間で誤差は(ほとんどの場合)生じる。  陸上競技において、手動計時と電気計時で計測した時の差は、0.24秒です。 つまり、人間の手でストップウォッチで計測した100m 10秒1は、陸上競技の世界では10秒34と同等と認識されます。 陸上競技の大会において、3人掛かりで公認審判がゴール時点で定点観測していても、この程の誤差が生じる。 (なぜ、0.24秒となったか、については、参考として後述します。)

 小関氏がどの位置で計測しているのか全く記載がありませんが、一塁ベースへの到達と2塁もしくは3塁ベースへの到達が同じ試合の中で正確に計測できるわけがありません。 また、もし常にどの球場でも同じ位置に座って定点観測していたとしても、スタンドからであればベースまでの距離が遠すぎ、遠近感による誤差がさらに生じ、絶対に正確な時間を計測するのは不可能。 ましてや、選手がどのようなフォームで打っているか、とか、投手がどのような投球をしているか、とか多くの点を観察している中で図る、計時することに集中していない計測時間などブレが多すぎて意味を成さない。

 小関氏は、ストップウォッチを持って野球観戦してみては、とも言っていますが、野球にも集中できないし、図っても誤差が大きすぎる時間しか取れないので、私は絶対にお奨めしません。 もし、この本をこの後読まれようという方がいれば、時間に関係する部分は単なる数字の羅列、と思って読まれた方が良いでしょう。


さいごに
 
 かなり否定的になりましたが、本全体としては結構面白い本ではありました。
 最初にも書いたように現役選手達や新人選手達、そして今年秋以降のドラフト候補として上がるであろう選手達について、アマチュア時代であったりプロ入団後の評価とその後の変化について書かれていて、案外イメージが湧きやすい。 マリーンズファンとしてみても、唐川・植松・阿部の高校ドラフト3選手についても結構書かれているので、ちょっと彼らの高校時代とかフォームの特徴とかをこの本を読んで覚えておき、改めてキャンプや試合で見てみるのも面白いと思います。

 
 
 
 
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(参考)
  なぜ手動計時と電気計時の誤差修正は、0.24秒になったのか。


 陸上競技のタイムは手動計時のタイムを電気計時におきかえるとき、100mや200mの場合は0.24秒、400mの場合は0.14秒加えることになっています。 誤差調整にしては中途半端な数値ですが、これには電気計時が採用された時の事情があるようです。
  オリンピックで正式に電気計時のタイムが採用されたのは1964年東京オリンピック。 この時すでに各国選手・コーチの間では電気計時の方が遅いタイムになってしまうことが知れ渡っており、「どう考えても0.1秒は遅く表示されているはずだ」という主張が大勢を占めていました。 このため、東京大会では時計のスタートを0.05秒遅らせました。
  その後、電動と手動の記録がランキングで混在することとなり、正確に格付けを行う必要が生じたため、計時方法の差が正確にはどの程度なのか実験で確認することになりました。 この結果、手動計時は100m競走スタート時に約0.3秒、400m競走スタート時に約0.2秒遅く計時がスタートしていることが発見されてました。 このままですと、手動→電動の変換時に100mで0.3秒の差を見ればよいことになりますが、当時の手動は計時が10分の1秒刻みであったことから再変換の必要が生じました。
  陸上競技のタイムは、計測単位に満たないものはすべて切り上げになっています。 つまり、10秒0という10分の1秒刻みのタイムは100分の1秒刻みであれば9秒91から10秒00までの10種類のタイムのうちのどれかであるということになります。 10秒0=10秒00ではないのです。
 そこで、10秒0のタイムの中心値を求めると9秒95になります。 10分の1秒刻みを100分の1秒刻みに変換する際には0.05秒のマイナスが必要、というわけです。 これに計時の際の0.3秒のプラスを考えると0.25秒のプラスとなります。
 ただし、過去の10秒0が必ず9秒95であったとは限らず、
   ① これより速かった可能性があることを表すため
   ② 過去の名選手に敬意を表するため

100分の1秒だけ削って手動電動の差は0.24秒となりました。