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弱者救済の世界ではない、ということ。

2010年03月23日 19時15分00秒 | 日本のプロ野球

私は野球自体はよく見るものの、野球関連の雑誌や本はそんなに買うほうではありません。 スポーツ新聞を買うときもめったにないですしね。 
そんな私が久しぶりに週刊ベースボールを買いました。 久しぶりといっても、実は「選手名鑑」の時も買いましたので、それほど久しぶりでもないかな? 今回の記事の中で、ちょっと目を引いた記事、というか言葉がいくつかあったので、それをちょっと紹介してみたいと思います。



【ジャイアンツ・原監督の方向性】

巻頭特集にジャイアンツ・原監督のインタビュー記事が載っていました。 私は、現在のジャイアンツのやり方(選手”補強”方法)には大いに疑問があり気に入りませんが、別にアンチ巨人ではないので、特に気にせず読みます。 原監督は嫌いじゃないですし。
そのインタビューの中で「若手選手」に関する記述があり、以下のような言葉のやりとりがありました。

----- やらない人間をやる気にさせる方法論はあるのでしょうか。
<原監督> 基本的には選手達が自覚すること、自立することが必要だと思いますね。 プロ野球は弱者救済の世界ではないのですから。 ・・・・・・・(中略)・・・・・ ただ、自覚もなく自立もできていない選手は、「プロ野球の世界に入ったことが間違いだったね」ということですよ。

いやあ、ごもっともだと思いましたね。 また、この言葉を読んで、そりゃあ今のジャイアンツは強いままなわけだ、とも思いましたよ。 そりゃあ、多くの主力選手を他球団から補強したりもしていますから選手層の厚さが桁違いなのは確かなのですが、それでもそんなに勝てなかった時代がたくさんありましたからね。 リーグ3連覇はお見事です。
また、ほかにもこのようなことを述べておりました。

----- 近年の巨人は若手が成長してきて、それが勝利にも結びついています。
<原監督> 「若手選手を育って勝っていますね」とよく言われますけど、僕にそんなつもりは毛頭ありません。 考えていることは強いチームを作ることだけ。 育成選手や若手選手を育てることが目的ではなく、彼らに力があったから起用したということなんですよ。 僕が「若手選手を育てるため」なんてことを言ったら、チームの和は簡単に崩れてしまいます。

私は以前、プロに育成は必要なのか?、と書いたことがありますが、その考えは今でもまったく変わっていません。  これは別にプロ野球に限ったことではなく、一般社会(会社組織など)でも同じことだと思っています。 (球団フロントはどうだか知りませんが)選手および監督・コーチは、少なくとも「チームが強くなること、つまり、シーズン終了時には優勝するため」に、それぞれの仕事をこなす必要がある。 それぞれが自分の置かれた立場や役割を理解し、その立場や役割をいかにきっちりとこなすか。 力が足りないのであれば、いかにその役割をこなすように自ら努力をするのか、もしくは他の人を巻き込みながら目的を達成できる方法を考え、実施していく必要がある。
その中でも現場を仕切る監督(マネージャ)は、いかに各人の状況を客観的に把握し、チームとして最高の結果(目的達成)を図ることができるようにしていくのか見極めながら起用していく。 どうしても足りないことがあるのであれば、その足りない部分を補う方法を考える。 別の力(能力)を持った選手をスタメン等で起用したり、2軍から昇格させておく、とかね。 

目的を明確にし、その目的達成のために全ての人間が考え実行する。
当然、うまくいかないこともあり、ミスもたくさん起きる。 失敗したりミスしても、その事実を認め直すようにしていく。 単純に、そもそもの力が足りないことだって大いにある。 その力が足りなければ、補うことができるような環境を用意しておく。 それは監督やコーチが「育成する」のではなく、選手達が自ら「成長する(しなければならない)」自覚・意思があれば、その手助けをする。

最初の引用文でも書いてあったように、プロ野球は弱者救済の世界ではない。 
一般的な会社だと、ある程度ほぼ全ての人員にやらなければならない役割があるので、最低限、これだけは知っておいてもらわねばならない事などを教えなければならないことはあるでしょう。 また、早く若い社員が一人前になり給料分くらいは働いてもらわねばと「育成」しなければならない状況もあるでしょう。 ただ、プロ野球の世界は、支配下登録70名の選手がいても、極端な話、グラウンドに出ている9名(ないし10名)だけでも成り立つ世界でもある。 つまり、年間通してその人たちが完璧なパフォーマンスができるのであれば、残りの61名ないし60名はいなくてもよい、ことになる。 さすがに9(10)名だけ、というのは極論ですけど、選手全員を使う必要性は全くないわけです。
そのことは原監督の「(若手選手)彼らに力があったから起用した」という言葉に集約されていると言っていいでしょうし、そのあとに「若手選手を育てるためと僕が言ったらチームの和が乱れる」というのもよく理解できます。 

144戦全勝を目指しているわけではなく、あくまで144試合終わった時に「1位」になっていることが重要。 最後にリーグで一番上の位置にいるために、その過程で何が必要なのか、どんな力≒どんな能力を持った選手がどのくらいの数・種類必要なのか。 そういったことを考えながら選手を起用する。 それは、あくまで「優勝」するため、強いチームを作るためであり、決して「選手を育成するため」ではない。


恐らく、原監督は世間から「名将」と呼ばれるようにはならないでしょう。 (熱狂的なジャイアンツファンや原監督ファンなら別でしょうけど)
それは、球団側のあまりにも露骨な補強策があるがために「誰が監督やっても優勝できない方がおかしい」という状況ができてしまっているから。 そういう私も、その通りだと思いますしね。 ただ、原監督の場合は、(今はまだ早すぎるけども)「名将」と呼ばれても良い監督に成り得る器なんだろう、と思い直しましたよ。 今後、王貞治氏のように、ジャイアンツ以外の監督を受けるようなことがあり、そこで数回優勝またはAクラス常連のチームを作ることができれば、ではありますが、その可能性は十分あり得るだろうな、と。 
WBCの監督就任の時にも書きましたが、原さんなら、良い意味で、巨大戦力を巧く利用する術を持っていると思います。 プライドがものすごく高い超一流選手、実績豊富なベテラン選手をうまくたしなめながら起用し、若手選手も「力さえあればいくらでも起用する」と明言しモチベーションを高く持たせる。 だからといって甘やかすだけでなく、時には厳しい言葉もある(内海への「偽サムライ」はいい例)。 天性のものなのか、後天的に身に付いたものなのかわかりませんけどね。 アメとムチの使い方がうまいんだろうな、と。 もちろん、例外となる選手だって少なくないでしょうけどね。

最後はすっかり「原監督信者」みたいな文章となってしまいました。
最初の方にも書きましたが、元々原監督は嫌いな人ではない。 それは現役選手時代から変わらず。 ま、好きな選手でもないですけど。

「育成」という言葉は、ある意味選手にとっても監督にとっても甘えの言葉。 選手からみれば「球団が育成をしてくれないから、試合に出るチャンスをくれないから、俺はいつまで経っても1軍に上がれない」。 監督からみれば「今年は育成の年と割り切っているから、優勝は目指すけれども、それだけが目的ではない。」 そんな言葉で逃げ口上を作ることができる。 「育成」という言葉を使わずに戦っている姿勢は、かなり共感できました。