手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

嫌われる理由

2016-04-15 12:58:48 | 手話
俺は手話世界の嫌われ者。特に、手話通訳者たちの中で、頗る評判が悪い。
主流派通訳者たちから、
「通訳者は通訳に徹する態度でいなければならない。意訳とか言い換えは絶対にやってはならない」
と批判される。

手話通訳者の立ち位置として、申請者(ろう者)と相手側の聴者との間に立ち、通訳することになる。
ろう者と聴者の会話のキャッチボールをお手伝いするわけや。

主流派たちの主張は、
「相手の聴者が言っていることがわからないなら、ろう者が自分で、その相手に聞けばよい。通訳者はそれを通訳するだけ」
というもの。一理ある。
でも残念ながら、現実を見ていない。
年配のろう者の場合、難しい言葉がわからない人も多い。
いちいち、相手の聴者に、「どういう意味ですか?」なんて、聞けるもんじゃない。

意訳することも必要である。
もちろん、意訳ばかりではいけない。
どのように通訳するのがよいか、それを常に考え続けることが必要や。



手話通訳者と障害者基本法

2016-04-06 05:41:48 | 手話
2011年に障害者基本法が改正され「言語に手話を含む」ことが明記された。
手話通訳者はこのことを念頭においておかなければならない。また、これから手話通訳者になるべく勉強している方々は、筆記試験に出題される可能性が高いので、覚えておいた方がいい。

法律条文の該当箇所は、下記のとおり。

第三条  第一条に規定する社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。
一  全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。
二  全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。
三  全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。


だからアンタは駄目なのよ

2016-04-05 06:52:27 | 手話
もし、この話を主流派手話通訳者にしたら、
「だからアンタは駄目なのよ」
と言われそうな話。

申請者のGさんとは長いつきあい。通訳に行くと、終了後にファミレスなどに行ってお茶する。
Gさん、支払いをさせてくれない。
いつも、おごってくれるのだ。
これは、よくない。
しかし、代金を払おうとすると、叱られてしまう・・・

「ちょっと、たいしはん、なんで? 私が払うから、ええて」
あかん。割り勘にしよや。
「なんでや。そりゃおかしい」
おかしくない。自分のコーヒー代を自分で払うのは当たり前のことや。
「何言ってんの? たいしはん、本業のこと、考えてみ。お世話になってる得意先の人とコーヒー飲んだら、誰が支払う?」
そりゃ、こっちが払うわな。
「そやろ。世の中、そういうもんや」
ちょっと待て。わしは得意先ちゃうで。手話通訳者や。
「おなじことや。お世話になってる方が払うのが常識」
それは違う。お世話してへんがな。公的な手話通訳者派遣制度で派遣された手話通訳者なんや。
「ええから、ええから」

いつも、こんなやりとりになり、奢ってもらうことになってしまう。
これは、いけない。
こんなことやってると、ますます、主流派通訳者たちから攻撃される。
ある日、一計を案じ、Gさんがトイレに行っている間に支払いを済ませた。
じゃ、帰ろうか、となったとき、Gさんが、
「あれ、伝票がない」
ああ、もう払っといたで。
「なんでや! 水くさいやんか!」
えっ・・・水くさいて・・・

次にお茶しに行ったとき、トイレに行こうとしたGさん、なんと、伝票を持ってトイレへ。
ここまでするか・・・


日本聴力障害新聞769号より

2016-04-04 05:55:52 | 手話
2013年12月4日、障害者権利条約の批准が参議院本会議で承認されました。

手話の筆記試験を受ける人は、これは暗記しておく必要があるね。

障害者権利条約で「アクセシビリティ」という最も重要な用語があります。
これは「誰でも必要とする情報等に簡単にたどり着け、利用できること」という意味です。
全日本ろうあ連盟は、聴覚障害者が抱えているバリアの解決方法を考え、聴覚障害者の願いを社会に発信し、啓発することを目的に情報アクセシビリティ・フォーラムを開催しました。

これも、受験生は押さえておくべき知識やね。
情報アクセシビリティの略称、「IAF」も覚えておくこと。


申請者にお願いしたいこと

2016-04-03 05:47:03 | 手話
手話通訳の現場で、派遣者や制度への不満をよく聞く。
その度に、申請者にお願いしていることがある。
こういうことは、手話通訳者に言うのではなく、行政側に直接言っていただきたい。
なぜか。
手話通訳者から行政側(派遣者含む)に要望しても、それは「また聞き」に過ぎず、行政側を動かすことは非常に難しい。
また、「また聞き」で要望を伝えることになると、どうしても、手話通訳者の主観が入ってしまう。

もちろん、単なる愚痴としてなら、いくらでも話は聞く。

現場で聞いた話(要望など)は、行政側に伝える義務があると思っている。
申請者に、「行政側に直接言ってもらいたい」と伝えた上で。

実際、行政側とやり合っていると、よく言われる。
「そう思っているのは、たいしさんだけじゃないんですか?」
余計なことは言うな、というニュアンスである。
ムカつくが、彼らの言うことも一理ある。