徳とは、自然や宇宙の生成力である。
徳には、天徳、地徳、人徳の三つがある。
その内のもっとも偉大なものは、天徳である。
天、つまり宇宙の生成力そのものである。
生成力とは、ものを生み育て、ものを変化させ、ものを運行する力である。
化育力ともいう。
太陽がキラキラ輝き、月も地球も火星も金星も、その周りを決められた速度で、決められたコースを巡っている。
これら誰の力によるものか。
天徳の力による。
この天徳が地球の自然に働いて「地徳」になる。
つまり大自然の生成力となる。
山に緑が茂り、川が流れ、川には魚が泳ぎ、空気が流れて風となり、美しい花が咲き、おいしい実がなる。
これは宇宙の生成力が、地球の自然の中で働いていてくれてある「地徳」である。
また天徳が、人間に働いて「人徳」となる。
孔子は「天が徳を予に生ぜり」という。
美しい花が見られる。
かぐわしい香が嗅げる。
ケーキを食べればうまい。
音楽を聴いて楽しむ。
歩く、立つ……これは皆んなに天の生成力が人間の中で働いているのだ。
同じ自然の生成力で生きているのだから、お互いに相手を認め、繋がりを密にしたいが、現実の問題として、自分を強引に支配しようとしたり、意地悪な事をしかけたり、騙したりする人も結構いる。
一緒にいても少しも楽しくない。
こんな合わない人と、無理に仲の良い人間関係を保つ為の努力をし続けていたら、自分はヘトヘトに疲れる。
そんな時には、その人をサッパリ捨ててみる。
それは仕方のない事だ。
ただ、その時に相手を恨むのはやめる。
皆んな同じ、自然の生成力で生きているのだから、許そう。