Not doing,but being ~在宅緩和ケアの普及を目指して~

より良い在宅訪問診療、在宅緩和ケアを目指す医師のブログ

呼吸困難の原因は

2010-05-02 06:38:53 | 呼吸困難の治療
緩和医療に於いて患者様が呼吸困難(感)を訴えられた時、
まずそれが改善可能な状況かどうかを判断する必要があります。

1.感染(気管支炎、肺炎)
2.心不全(肺水腫)
3.胸水
4.気管支喘息
5.気胸
6.貧血
7.心理的問題、スピリチュアルな問題
8.代謝性アシドーシス

上記は介入により(特に著しく)改善が期待出来る病態です。
また、

9.腫瘍による気道閉塞
10.肺塞栓症

も、治療可能であれば改善の見込みがあります。しかし、積極的
治療が不可能という理由で緩和を受けている方が大部分なので
適応は限られ、全身状態から治療のリスクも高くなると思います。

10.腹水
11.心外膜炎

は、治療により効果が出る場合もありますが、効果は限定的である
場合が多いです。そして、以下の場合介入による効果はあまり期待
出来ない事が多いです。

12.衰弱・筋力低下
13.COPD
14.癌性リンパ管症
15.その他の拘束性障害
16.腫瘍からの気道分泌物

確かに、治療可能な病態だと言っても、長期的にみると
繰り返したり次第に治療に反応がなくなってくる傾向にあります。
予後によっては積極的治療が裏目に出る場合もあるかもしれません。
しかし、だからと言って患者様の承諾を得ずにこれらの検査、
治療を怠り、呼吸困難→モルヒネというような画一的な対応
だけは避けて頂きたいと思います。緩和ケア=何もしないでは
ないのです。