Not doing,but being ~在宅緩和ケアの普及を目指して~

より良い在宅訪問診療、在宅緩和ケアを目指す医師のブログ

リリカ

2012-02-17 10:00:23 | 疼痛の治療
2010年、我が国でもようやく発売されたリリカ(プレガバリン)。
当初は帯状疱疹後の神経痛のみの適応でしたが、同年10月より
「末梢性神経障害性疼痛」に適応を拡大しています。

癌性の神経障害性疼痛にエビデンスを持つガバペン(ガバペンチン)
が、我が国では未だに抗けいれん薬、しかも他剤との併用でしか
認められていませんので、ホスピス以外での使用が困難でした。
ですので、同薬と類似構造を有するリリカの鎮痛効果が期待されて
います。

参考までに過去ブログの、ガバペンの記事はこちらから
http://blog.livedoor.jp/kotaroworld/archives/51516610.html

繰り返しますが、癌の神経障害性疼痛にエビデンスを持つのは
ガバペンの方です。2010年の「がん疼痛の薬物療法に関する
ガイドライン」でも、ガバペンは取り上げられていますが
リリカの名前はまだ出てきません。
しかし、経験上リリカもガバペンと同様の鎮痛効果を有すると
実感しています。

リリカはガバペン同様代謝酵素の影響を殆ど受けず、薬物相互作用
を受けにくい(与えにくい)という特徴があります。また、
眠気(眩暈、ふらつき)を除くと他の鎮痛補助薬と比べ副作用も
少ないという面、そして後述のように効果が速いという点からも
鎮痛補助薬でファーストチョイスとして用いても良いのではないか
と思っています。

ただ、眠気以外の副作用が少ないと言っても、眠気はかなりガッツリ
ときます。眠気のために中止にしざるを得ない事もあるので、
特に高齢者では注意です(せん妄のようになってしまう事もあります)。
一応75mg 2カプセル、分2から開始ですが、これは多いと感じて
います。寝る前1回にするか、幸いな事に25mgの製剤もあるので、
個人的にはこの量からの漸増でも良いと考えています。

効果発現の速さは特筆すべきで、夜飲んで翌日には「痛みが減った
みたいです」とおっしゃる方も少なくありません
(ただ、血中濃度が安定するには数日かかるそうです)。
これまでの経験では効く方には少量、短時間で何らかの効果が
あったとおっしゃいます。
判定が早く出来るという事は、効果がなかった場合他剤に変更を
考えるのにも有利ですし、何より痛みを持つ患者様には福音です。

転倒などに注意すれば在宅でも使いやすい薬ではないかと思います。


以下、その他の特徴です。
・参考までにガバペンのNNT(50%疼痛減)は文献によりますが
4.5程度です。
・もちろん、帯状疱疹後の神経痛や坐骨神経痛にも効果あります。
・腎排泄であり、腎機能の低下した患者様には減量が必要
・ガバペンと異なり用量依存的に血中濃度が上がるので
効果や副作用が予測しやすい
・長期間の使用でも効果が落ちないという意見と減弱する
という意見がある。
・症例報告程度だが、痒みやうつにも効果がある、
繊維筋痛症にも治験中と聞く。