Not doing,but being ~在宅緩和ケアの普及を目指して~

より良い在宅訪問診療、在宅緩和ケアを目指す医師のブログ

『末期がんは手をつくしてはいけない』

2011-04-25 15:54:29 | 日記
本日のタイトルは、既に絶版となった、金重 哲三先生の著書の
タイトルです。m3.comという医師限定のサイトでこの本のPDFファイル
を無料で配布されており、一般の方々にも是非読んで頂きたいと
申し出たところ、快く配布を了承して下さいました。
以下にアクセスして頂き、数十秒待つと『無料ダウンロード』
のボタンが出ますのでクリックしてダウンロードをして下さい。
PDFだと読み辛いという方、amazon等で中古を買う事も出来ます。
(ダウンロード出来なかったら教えて下さい)

http://www.megaupload.com/?d=YDCVFC63

いきなりびっくりするようなタイトルですが、身体が衰弱するにつれ
抗がん剤治療や輸液などの治療の効果が減り、延命をすればするほど
がんが進行し患者様は苦しまれる事になるという医療者の経験が
分かりやすく書かれた本になります。

このような良い本を無償で提供して頂いているのに意見するのは
申し訳ありませんが、金重先生の意見は、少し偏っていると感じる
箇所もあります。

抗がん剤で得られる効果の多くが一時的で限定的であっても、
その期間に患者様が自分のやりたい事が出来たり語家族と過ごす
かけがえのない時間になる事はありますし、
個人的に病気を『受容』し、『なるべく苦しまないで逝く』
という選択をする事が、いかなる場合も最も正しいとは思いません。
毅然と病気に立ち向かい、必要以上の治療を受けない事を
決断出来れば良いとは思いますが、強い方ばかりではないし、
それが出来ないとしても医療者はそのような患者様・御家族の
葛藤を理解して頂き、
「こうあるべき」という御自分の死生観にこだわらず、
共に悩む存在であって欲しいと思います。

しかし、この本に書かれている内容を知って治療を選択する
のと、何も知らずに選択するのでは大きな違いがあります。


切羽詰ってから、この本の内容を読んでも、恐らく消化不良で
終わってしまうでしょう。出来ればなるべく早く、この本を
読んで頂き、終末期の大切なケアを医療者任せにせず、より良い時間を
作り出すパートナーとして共に話し合って頂きたいと思います。