Not doing,but being ~在宅緩和ケアの普及を目指して~

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ノルスパンテープ

2012-03-02 09:48:21 | 非がん性疼痛
ノルスパンテープはムンディファーマと久光製薬による共同開発された
ブプレノルフィンの貼付剤で、2011年8月4日に発売されました。
ブプレノルフィンは、既にレペタン座薬、レペタン注が発売されており、
こちらは共に中等度以上のがん性疼痛に使用されますが、ノルスパンテープは
『非オピオイドで治療困難な変形性関節症及び腰痛症に伴う慢性疼痛』に
適応を持っています。つまり、一般的にがん性疼痛には用いません。

ブプレノルフィンは、強オピオイドに分類されながら麻薬処方箋が不要
というヘンな薬剤です。ブプレノルフィンが弱オピオイドであるという
記載をよく見掛けますが、少なくともWHO的にはこれは間違いです。
(強・弱オピオイドは部分作動薬かどうか、天井効果があるか
どうかで分類している訳ではありません)
うるさい事を言うと、もともと弱オピオイドの位置付けでしたが、
1996年からWHOはブプレノルフィンを強オピオイドに分類しています。
もちろん、優れたオピオイドの登場でレペタンをがん性疼痛に用いることは
既に稀となっており、どこに分類されるかという議論自体、
既に不要と思われますが。

話が逸れました。非がん性疼痛に用いられるノルスパンテープも、
麻薬処方箋は不要です。しかし、貼付剤ということでどうしても
お手軽感がありますが、麻薬には違いないので、誰でも処方出来る
訳ではありません。と、言っても難しい届出がある訳ではなく、
PCで以下のサイトに接続し、講義を受講すれば処方出来るように
なります。講義は30~40分で終了します…が、最近Twitterで受講が
大変だった、という先生がいらっしゃったので、もしかしたら内容が
変わったのかもしれません。

https://norspantape.jp/

ノルスパンテープの注意点としては、もちろん痛い場所に貼る
のではなく、しっかりと貼付出来る場所を選ぶこと、開始時に
血中濃度が安定するのに3日程度かかるとされており、
逆に剥がしても嘔気や呼吸抑制などの副作用がすぐには消えないこと。
ナロキソンの効果が一定せず効果的な拮抗作用が期待出来ないことなど。
しかし7日間貼付というのは便利なようで不便ですね。
デュロテップMTの3日毎でも使いにくさを感じていましたので。

トラムセットという便利な薬があるので、何らかの理由でこれが使えない
/不十分という方が対象になると思います。一方でデュロテップMTパッチも
同じく非がん性の慢性疼痛で使用可能になっていますので、
この薬の使いどころは結構限られてくるかもしれませんね。