海軍大将コルシンカの航海日誌

ロシアの作曲家リムスキー=コルサコフについてあれこれ

《不死身のカシチェイ》公演~3

2008年09月02日 | 《不死身のカシチェイ》
カシチェエヴナの話に戻りますが、彼女のキャラ特性を一言でいえば、さしずめ「ツンデレ」となるのではないでしょうか。
まあ「ツンデレ」の定義もいろいろあるようで、ここでは「普段ツンとしているのに、好きな人に対してはデレデレしてしまう」という意味で考えています。
彼女をアニメでありそうなキャラで例えるなら、美人だけどヒステリック、そのくせ自己愛に満ちた学級委員長といったところ。

自分の城に迷い込んできたイヴァン・コローレヴィチを薬の入った杯でまんまと眠らせ、後はいつものように剣で始末をするだけ───と、ここで彼の美貌に心を奪われ、カシチェエヴナの心に葛藤が生じてしまいます。

───こやつはわが父の命を狙う不届者。目の覚めぬうちに始末しなければ。しかし...美しい...美しすぎる...わが美貌にも勝るとも劣らぬ...われに似つかわしい男は、世界広しといえども、この眠っている勇者をおいて他にはいるまい───などと独り悶絶(これは私の勝手な脳内イメージで、実際の台詞でこんなふうに言っているわけではありません。念のため)。
オペラにおいては、この場面がカシチェエヴナに与えられた一つ目の見せ場となっています。

そうこうしているところに乱入してきたのが「嵐の勇士」。
せっかく自己陶酔して勝手に盛り上がっていたところを台無しにされたばかりか、イヴァン・コローレヴィチも目を覚ましてしまい、ムードはぶちこわし。
おまけに、カシチェイのメッセンジャーたる嵐の勇士は、主人のカシチェイではなく、王女の言葉をカシチェエヴナに語りだしてしまうのですね(この困ったキャラについては後日)。

「ちょっとアンタ!何わけのわかんないこと言ってるのよ!」

しかしブチ切れぎみの彼女にはおかまい無しに、嵐の勇士はイヴァン・コローレヴィチを空飛ぶじゅうたんに乗せてさっさとトンズラしてしまいます。
呆然と立ち尽くすカシチェエヴナ...。

せっかくの美貌も魔力もまったく威力を発揮することなく、間抜けな嵐の勇士のおかけで愛の芽生えはじめたイヴァン・コローレヴィチをも簡単に奪取されてしまった彼女。
この哀れっぽさ、なんとなくツンデレキャラにふさわしいとは思いませんか?
もし《不死身のカシチェイ》がアニメにでもなれば、一番の萌えキャラはカシチェエヴナで決まりです。


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