海軍大将コルシンカの航海日誌

ロシアの作曲家リムスキー=コルサコフについてあれこれ

《セルヴィリア》モスクワ公演観劇記

2016年05月09日 | 《セルヴィリア》
モスクワに行ってきました。



ご存じポクロフスキー聖堂(ワシリー寺院)

目的はもちろん《セルヴィリア》の観劇。
それだけ果たせれば自分としては満足だったのですが、ちょうどゴールデン・ウィーク中でもあり、せっかくなので、4泊ほどして市内を徒歩であちこちぶらぶらしてきました。
昼間は博物館や美術館、そしてそこら中にある教会を見て回り、夜は劇場でオペラを観るといった、なんとも贅沢な自由行動。

モスクワに来て「トレチャコフ美術館」を外すことはできませんが、以前から行きたいと思っていた「グリンカ中央音楽博物館」(ただしここは楽器専門の展示になってしまっていてがっかり...)や「モスクワ・レーリッヒ記念館」、それに「チャイコフスキーとモスクワ博物館」(ここは比較的最近オープンしたと思われますが、展示物はかなり充実。クリンまで出向かなくて良くなりそう)などを巡りました。

劇場は、オペレッタ劇場《こうもり》、ヘリコンオペラ《3つのオレンジへの恋》、そして本命モスクワ室内音楽劇場の《セルヴィリア》。
これらの訪問記についてはまた後日。



「チャイコフスキーとモスクワ博物館」内部。オサレな雰囲気でした。


さて《セルヴィリア》ですが、思うところが山ほどあって、頭の整理もできていないのでぼちぼち書いていきたいと思います。
これまで、《セルヴィリア》については、要点を述べるなら

1)上演にも録音にも恵まれなかった不遇の作品。15作あるリムスキー=コルサコフのオペラの中で(今のところ)唯一全曲録音がない。
2)古代ローマを舞台とした作品で、あまり「国民性」にとらわれることなく自由に作曲された音楽。舞踊曲などはビザンチン色や東洋色で味付け。
3)セルヴィリアのアリア「花たちよ」は作曲者が一番出来がいいとみなしていた佳品。このアリアのみ単独でよく歌われる。

といったものでしたが、今回のモスクワ室内音楽劇場の公演を観て、

4)劇として非常に面白い!

を新たに加えたいと思います。

ロシア歌劇に限らず、有名なオペラでも途中で「かったるい」と思うことはままありますが、《セルヴィリア》に関してはドラマとしても非常に面白く(もちろん優れた演出に依るところも大)、2回の休憩をはさんで3時間以上かかりましたが、まったく退屈せずに楽しむことが出来ました。
具体的な内容はちびちび書きてまいりますが、今日は備忘録的に今回公演の楽譜との違い(もちろんわかる範囲ですが)を中心にメモを記しておきます。

・公演は、第1幕(続けて)第2幕~休憩~第3幕~第4幕(続けて)第5幕という構成。19:00に開演し、終了が22:10頃。
・カットは私が気づいた範囲では、第1幕の「戦いの踊り」(とそれにつながる合唱)のみ。ここは前後にアテナを称えるほぼ同じ内容の合唱に挟まれているので、省略されても不自然さがなく、自分も少したってから気が付いたほど。
・第1幕の「ポレンタ売りの少年」(コントラルト役)は本当に少年が演じていた。ただし声の線が細いので、その後の男声合唱との差が大きすぎてややバランスが悪い。
・第3幕の冒頭の合唱のアントニア(セルヴィリアの乳母役。メゾ)のパートは合唱隊の一人が歌っていた(ので、アントニア役は歌手でないのかと思いきや、その後のパートはしっかり歌っていた)。
・「花たちよ」の最後のところ、「スカジー」でなく「スカザーチ」と楽譜どおり歌っていた(細かっ!)

本日の最後は証拠写真(笑)



当日販売されていた《セルヴィリア》のプログラム(100ルーブル)。詳細な解説が記されていると思われますが、残念ながらすべてロシア語でした。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿