地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
証券関係の話題について、証券マンとしての意見を述べていきます

利益返上ですか

2005-12-15 04:51:25 | マスコミ、企業
それにしてもJ-COM株、本日はストップ高でしたか。
どっちかって言うとみずほの立会外分売がどの辺の顧客に入ったのかが私は興味深々ではあるが。

さて、拙日記にてもまたちょろっと吼えさせていただいたが、結局全額利益返上だって?

あほか?

6社が揃いも揃って全額利益返上なんて、これはどう考えても別の大きな力が働いたとしか思えないね。敵に塩を送るどころか、敵に武器やら果ては兵員まで送って、今回の戦いにおいての相手の消耗分をみんなで補ってあげましょうよ、なんてことがあり得るのか?

昨日は「相手の隙に付け込むのはこの世界では当たり前じゃ!」と吼えさせていただいたが、もう一歩話を進めてみると・・
拙日記にちらりと触れたように、アービトラージ的手法を考えてみればまたこの出来事を違う視点で眺めることが出来る。
つまり、市場の歪みをどう捉えるか、って事である。
今回のJ-COMに関しては、私はバリュエーション等の数字は詳しく見ていないが、見る人が見ればあの上場時の株価が何故かストップ安に一瞬ではあるかも知れないが放置されて居た、と言うのは「正しい歪み」であったはずだ。
つまりアービトラージャーのみならず、普通に市場に対峙している人は「ストップ安は、安い!」と思ったとしても不思議ではないはずであった。
従って証券の自己運用部門、或いはネット投資家の方々の何パーセントかは、今回の誤発注が大元であることを知らずに買い向かったかもしれない。
つまり誤発注による強烈な歪みは後付けであったと言う投資家が居ても私は不思議では無いと思う。

仮に私が自己運用部門に居て、それじゃあ百歩譲ってこれはどうも何かミスが裏にあるらしい、と感づいたら、果たして私なら覚悟を決めて買い向かえたかどうか、それも実は甚だ疑問なのである。
それほど強烈な信念(これは明らかに歪んでいる!)等が無ければ、実はいくらサラリーマン自己運用部門とは言え、簡単にはいかないはずなのであるね。
それを思い切ってやった連中は、きちんとリスクを取った訳である。
確かに後から見れば、ミスに乗じて大儲けしやがって・・と思える。しかし私は当事者達の立場に立ってみた場合、どうしても上のようなことに考えが及ぶ。
後から批判するのは簡単だ。しかしながらその瞬間瞬間で切り取ってみれば、そこには強烈な、本当に心臓が爆発しそうなリスクを取った連中が勝った結果であるのだね。

それをもっともらしく、世間やら世論やらの何となく解せないなぁ、と言う雰囲気を巧みに取り込んだ与謝野さんは、まあ操作上手なのかもしれないが、やはり当事者達から見れば、結局最後は圧力ですか、って感じに映ってしまう。
6社が6社、みんなで一斉に返還を決めた、なんてのはどう考えても何らかのパワーが働いたとしか考えられないじゃない。
コメント欄にある方が書いてくださったように、(昨日のチケット売り場の例で)「何故他のチケット売り場の人達はその儲けを返す必要があるのでしょう」と。
私も全く同感で、何故?なのである。

私がさらにこの問題に関連して危惧しているのは、以下のニュース。
『東京証券取引所の天野富夫常務は14日朝、自民党の企業会計に関する小委員会(委員長・渡辺喜美衆院議員)に出席し、8日に起きたジェイコム株の誤発注のような異常な売買が行われた際には、売買契約そのものを無効とする制度の導入を検討していることを明らかにした。
 東証の天野常務は欧州の一部では、発行済み株式数を大幅に上回るなど異常な売買が成立し、かつ影響が重大な場合は、取引所の判断で売買を強制的に無効とする規定があることに言及、今後の検討課題だと述べた。大手証券会社がジェイコム株を大量に取得した問題では、証券会社の自己売買のあり方などについて規定する考えも示した。』

例え欧州のしかも一部にそのような制度があるとしても、基本は『Done is Done』なのである。
それをそんな何処の国でやってるか分からないような制度を引っ張り出してきて(だってもしきちんとした国でやっているなら、その国名を開示すべきでしょう。欧州の一部、なんて、もしかしたら普段碌な商いも無い国かもしれんし、東欧だって欧州だぞ)、あたかもそれが世界の常識のような言い方をして、この常務もほんと世間におもねることしか考えてないね。

さらに、その後が問題だ。「証券会社の自己売買のあり方についても規定」するだと??そしたら市場の自由競争なんて何処へ行っちゃうの?
市場って言うのは如何に自由であるか?が大きなポイントでしょうが。
政府は小さな政府を目指しているのではないのかね?小さな政府っつーのは我々の言葉に言い換えれば、くだらない規則でがんじがらめにするのはやめて、もっと自主性に任せましょうよ、って事でしょうが。
それが東証の役員がそんな態度でどうすんの?

ライブドア、楽天、そして村上ファンド・・・世間では、さらにBLOG等で上位ランキングの非常に世の中をお分かりになった方々は口々に罵っているけれど、でもね、彼らはやっぱり大きな意味での市場の歪みを矯正している一種のアービトラージャーなんだよね、私からみれば。
東証の役員がその程度で、また金融相もその程度であれば、まだまだ日本市場の歪みは矯正されないから、きっとこれからも世の中をお騒がせするような方達がハッスルするだろうね。
そのたびに踊っていなさい。
また、何たって外人投資家は歪みの矯正が大好きだからね。
って事はまだまだ日本株は勢いが衰えないかもしれないね、とっても逆説的だけれども(笑)。。。
 


3 コメント

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火事場泥棒は悪いか (muimy)
2005-12-15 21:31:17
やはり返上はお上の圧力ですかね。自主的に返上する理由がないですもんね。



ただ、今回大量に買い向かった証券会社は誤発注に気づいて買い向かったと思っています。分からなければ、さすがにそこまで大金勝負に出れないし、株数を見れば明らかですし、東証の端末では上下全部見れるらしいので61株1円という指値が見えてたかもしれません。以前誤発注で痛い思いをしたUBSが今回一番大量に買ってたますしね(やや買いすぎか)。



ただ、「誤発注と知りながら買う」という行為が株式市場のルール上悪いとは私は思いません。

#現場のディーラーさんから見ると、その行為は悪いものなのか?

知りたかったのですが、子鬼さんの昨日と今日の記事で書いてるように、別にダブーな行為でなく裁定行為の一種ですよね?

ただ社会一般の常識から考えると、火事場泥棒的行為に写るのもわからんでもないですが。



本当にこれからも歪みはまだまだありそうですねw

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美しくないのは・・・ (ヤマセミくん)
2005-12-19 10:54:01
マーケットには適正な価格形成という役目があるはずですね

安すぎると思われるものは買われ、高すぎると思われるものは売られます

そして、判断が正しかったものは儲かり、間違ったものは損失を被ります

そういう意味では、今回買いに回った証券会社は適正な価格形成に寄与しており、全く健全な行動と思われます

問題は総発行数を大幅に超える株式が一証券会社の一注文で成立してしまうところにあり、いわばシステムの問題です

美しくないのは大臣、あなたですよ!!といいたいですね
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Unknown (小鬼)
2005-12-20 07:10:24
MUIMYさま

ヤマセミ君さま



コメントどうも有難うございます!

そうなんです、私も心情的には世間で言われているようなことはもちろん理解できます。

しかしながらやっぱりDONE IS DONEなんですよね。木村さんもそれを書いてくださって居ますが、その原則が崩れると大変なことになるのですね。

おっしゃる通りこれは歪みの是正の商いに過ぎないはずで、確かに発行済み株数を大幅に超えるものが出来ちゃうのは問題ではありましたが、でもそれだって昔はスイスのCBやワラントの発行時に散見されたんですね。

つまり前評判が極端に悪い起債なんかのケースではみんなショートを振ってきて、主幹事が集計してみたら発行総額より多くなっちゃてるじゃん、みたいな事とかです(笑)。

私もディーラーやってた時に遭遇しましたが、そうなったからと言ってそれをキャンセルなんて出来ずに、やられたらやり返すの精神で(笑)、売ってきた業者連中に「お前期日にモノがデリバーされなかったらどうなるか分ってんだろーな?」なんてやってた訳ですね。この場合は規模は小さいですが、またユーロなりスイスでのデリバリーに関する規制が甘いために出来ちゃうので、一概に同じ土俵で議論は出来ませんがね。。
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