オプショナルツアーのバスを降りて,5大宮のひとつ徳寿宮(トクスグン)への散策です。
ここはもともと離宮として建てられた場所ですが,朝鮮王朝末期の
第26代国王・高宗が混乱期の中にあって政治を行い,
退位後には晩年を過ごした場所です。
正殿である中和殿の手前の中和門には立派な「ヘテ」が鎮座。
「ヘテ」は空想の動物で公明な政治の象徴と言われるとともに,
強いにらみで南の方角からは火気が入ってこないようにする,
火除けの役割も果たしていたそうです。
中和門に立つとこんな景色が見えます。
徳寿宮はソウル市庁のすぐお向かい。
ホテル群やオフィス街のど真ん中にある都会のオアシス的古宮で,
美術館などもあり,ソウル市民にとっては一番なじみの深い宮殿なのだそうです。
昌徳宮の仁政殿に比べると小ぶりな正殿ですが,
こちらにもヘテが二重に構え,凛とした佇まいです。
中和殿へ向かう参道は大き目な敷石でデコボコしていて,
気を付けないと足を取られて転びそうになります。
これは「足元を見て歩く」=「王様に頭を下げて歩く」ことが
できるように,あえてこういう参道にしているのだそうです。
中和殿の玉座。
ここの天井には立派な龍の飾りがあって,
随分と華やかに見えました。
中和殿の裏手に回ります。
外殿の中和殿に対し,こちらは内殿。
王様の住まいとオフィスにあたる部分です。
こちらの建物は昔御堂といって,王様のオフィスと図書館
だったそうで,古宮では唯一の2階建ての建物だそうです。
奥の方に階段が見えますね。
組子細工の障子も夕闇に映えて,実にキレイでした。
昔御堂の隣には,貴賓の接待場所として宴が行われた徳弘殿。
右手奥に,私たちのホテル・プレジデントが見えました!!
徳弘殿の裏手へ。
お隣の建物・咸寧殿の基礎部分に,オンドルを見つけました。
奥の建物の石の基礎部分に見える四角い穴です。
ここで火を焚いて温まった空気を建物の床下全体に送り込んで,
床暖房にしていたそうです。
そしてその煙はどこへいくのかと言うと・・・・
地下をとおって建物の後方にある煙突から煙を出していたそうです。
レンガ造りの立派な煙突でした。
現代の全館暖房・床暖システムみたいな仕組みが,
こんな昔からあったなんてスゴイっ!
そうこうしているうちに,とっぷりと日も暮れてきました。
何やら敷地の中で笛の音色が聞こえます。
宮殿の庭(後苑)にある東屋では伝統楽器による演奏会が行われていましたよ。
ライトアップされた中和殿はホントにキレイでした。
大都会のど真ん中にこんな美しい場所があるなんて,
本当に驚きです。
徳寿宮の散策を終える頃にはすっかり夜。
朝のお散歩の時とは一味も二味も違う表情の大漢門。
夕闇に浮かぶ王宮の優美な姿に癒されたひと時でした。
(最終回へ,つづく)