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つかこうへいの死

2010-07-12 | 本と落語
つかこうへいが亡くなった。

死因は肺がんだと言う。





つかこうへいの名を初めて知ったのは、もう三十六、七年前のことだ。

その頃私は中学生で、ひとりで映画館に行くようになっていた。

名画座の上映予定を知るために、いつも『ぴあ』を持ち歩いていた。

その頃はまだ隔月刊だったのではなかろうか。広告を除くと50ページくらいしかなかった。

『ぴあ』の一番の売り物は映画情報だったが、演劇の情報も良く載っていた。

そこに「つかこうへい」という名前がしばしばあった。

私は芝居を見に行くことはなかったが、この「平仮名六文字」の若い劇作家に関しては、何とも知れぬイキオイが感じられるのだった。





高校三年のときに、初めて彼の戯曲集を読んだ。

単に面白いだけでなく、屈折したユーモアの中に「こんなことを書いていいのか?」と思うほどの爆発的なパワーがあり、その「暴く力」に、ほとんど性的に昂奮したものである。

その後、つかこうへいは小説も書くようになり、数年で直木賞もとった。

確かに散文でも独特の魅力はあったが、やはり本領は舞台に発揮されたと思う。





つかこうへいの舞台をナマで見たのは一度きりだ。

池袋パルコでやった『熱海殺人事件』の何回目かのニューバージョンである。

まだ俳優業に進出して間もない頃の阿部寛が出ていたが、活舌が悪く、膨大なセリフの半分くらいが聞き取れなかった。

俳優はムリだな…と感じ、今のような良い役者になるとは夢にも思わなかった。





井上ひさしとの対談本を面白く読んだことも思い出す。

その井上ひさしと同じ年に、同じ病気でつかこうへいが亡くなるとは…。

昭和がまたひとつ遠ざかったような…。





つかこうへいのように、二十代前半から「世代の代弁者」として、他の世代も夢中にさせて活躍する人物は、今後はしばらく現れないだろう。

今は、そういうパワーを発揮させる前に芽を摘み取られてしまうし、そもそも世代間の「興味」や「関心」の隔絶が、微妙に広がっている気がするのだ。


つかこうへいさん、肺がんで死去…享年62(読売新聞) - goo ニュース
















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