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至福の三時間

2010-11-15 | 本と落語
やっぱりナマの落語は最高でした。

こんな濃厚で至上の三時間をわずか三千円で楽しんでいいんだろうか?

そう思うほど、愛おしい宵でございました。





立川談笑は、志の輔、談春、志らくと並んで「立川流四天王」と呼ばれていますが、観たことがありませんでした。

今日始めて高座に接して、その奔放な想像力と創造力にぶっとびました。

ケチな大金持ちの商人が、「自分が死んだときにどんな葬式を出すか」を三人の息子に問う…という「片棒」をやったのですが。

この噺のツボは、息子たちが思いっきり「架空の葬式」を語れるところにあります。

もともと想像力をいくらでも発揮できるのだけれど、談笑のそれは、「設定」だけを残してあとは、まったく「なう」な描写の連続。

でも、その破天荒な馬鹿馬鹿しさは、まぎれもなく「落語」です。

ぜったい放送は出来ないけれどね。





パントマイムや色っぽい音曲のあと、真打ち立川談春が登場しました。

談春は、たっぷり五十分「妾馬」(めかうま)を演ってくれました。

この噺は、大名に見初められた「お鶴」という長屋の娘が世継ぎを出産したことから、出来の悪い兄貴「八五郎」がお屋敷に呼ばれる…という噺です。

母親を含めて、兄妹の情、親子の情をみっちり描いた人情噺ですね。

もとより談春は人情噺の腕では定評がありますが、今宵もみっちりと語ってくれました。





談春は人物造形を現代の観客に納得させるとき、事細かにその「心理のアヤ」を描写します。

それも、登場人物の「セリフ」で納得できるように語らせるのです。

ともすれば、それは「くどい解説」になる危険もあります。

実際、過去にはそういう噺もありました。

でも、今日の「妾馬」は、セリフがとても自然に入ってきて、グッとなりました。

談春の八五郎は、決して頭の弱い「与太郎」ではなく、不器用で一本気な中年独身職人なのでした。

その人物像に感情移入してしまったのかも知れませんが…。





最後に演者が皆舞台に並び、談春があいさつし、三本締めとなりました。

来年も成城寄席は続いていくとか。

きっと、観に行こう。

そして、当代の腕っこきの芸人たちをこんな間近で見れる「至福」に、感謝したことであります。












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