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我が友ミゲル…平成懊悩中年施設団

2009-09-22 | 信仰
昨日は焼酎オヤジとだいぶ仲良くなってからブログを書いたので、かなり内容がスッ飛んでいたようだ、


改めて「千々石(ちじわ)ミゲル」についてちょこっと触れたい。

まず「天正遣欧少年使節団」であるが、1582年(天正10年)に、大友宗麟ら三人のキリシタン大名の名代としてローマに派遣された四人の少年たちを中心とした使節のことである。
千々石ミゲル以外には、伊東マンショ、中浦ジュリアン、原マルティノがいた。四人は皆、十二、三歳の少年であった。

彼らは1582年の2月に長崎を出発し、途中マカオやインドのゴアに寄り、ポルトガルの首都リスボンについたのが1584年の8月である。
日本を出発しヨーロッパに着くまで二年半もかかったのである!

四人の少年は、マドリードでスペイン帝国最盛期の絶対君主フェリペⅡ世から盛大な歓待を受けた。そしてローマに入ると、ローマ教皇グレゴリウス13世に謁見した。するとまもなくグレゴリウス13世が亡くなったため、後継のシクストゥス5世の戴冠式にも出席した。
そして行く先々で大歓迎を受けたと言う。

政治権力の形態が現在と違いすぎるので比較しようもないが、さしずめ今であればオバマ大統領を初めとしてサミットの各国首脳から歓待され、ラヂオプレス経由でひょいと金正日国家主席からも招待を受けた…とでも言おうか。

彼らの立場がどうしても想像が出来ないのは、現在は当時のローマ教皇のような絶対的な権威がいないことである。
教皇に謁見したとき、彼らはまだ十五、六歳であった。強大な帝国の絶対君主もかしずく「雲上人」と対面して、どんな気持ちになったのだろうか?


1586年4月、彼らはリスボンを出発し、途中ゴアに寄った後、1590年7月に長崎に帰港した。約8年半ぶりの帰国であった。

ところが、彼らが日本を離れていた間に秀吉がバテレン追放令を発布するなど、四人が全身で学び、これから日本でその教えを広めよう…と考えていたキリスト教は、排外されるものとなってしまったのである。

これだけですでに劇的である。
でも彼らはすでに少年ではなく、ローマ教皇からの勅命を受けた、布教に燃える青年たちだった。


四人は天草にある修練院(司祭を目指すものの養成機関)に入り、1593年にはそろってイエズス会に入会した。
その後さらに神学の高い教育を受けるため、1601年、マカオにあるコレジオ(高等教育機関)に入学した。
…のだが、そのときすでに、千々石ミゲルのみイエズス会を退会していたのである。千々石清左衛門と名乗っていたという。

ミゲルを除く三人は信仰の道を邁進し、1608年に揃って司祭に叙階された。つまり、いよいよ神父になったのである。

禁教を広めようとする者が辿る道はひとつしかない。
中浦ジュリアンは穴釣りの刑で逆さ釣りにされ殉教した。原マルティノは日本を追われてマカオで客死した。伊東マンショは追われながら小倉、中津、長崎と転々として、長崎のコレジオで教えながら病死した。
みな、ローマで教皇に謁見した少年の日に抱いたであろう「神に仕える道」を、立派に全うしたのである。

ただひとり、千々石ミゲルを除いて…。


ミゲルはキリスト教を棄教した後、仏門に改宗しやはりキリスト教を棄教した大村藩の藩主大村喜前(ミゲルのいとこに当たる)に頼ったが命を狙われ、やはりいとこの有馬晴信の領地に行けば、晴信は棄教せずにいたため白眼視され、瀕死の重傷を負わされたのだと言う。

つまりミゲルは棄教して単に名誉を失っただけでなく、文字通り「居場所を」失くしたのである。

ミゲルには持病があった。それが彼をして信仰に生きる道を諦めさせた大きな要因になったのは間違いない。
また彼は、少年期から「大人の計算」を感じ取ってしまう強い感受性をもっていた。四人をローマに送った大人たちにも、彼らを仰々しく迎えた大人たちにも、信仰心とは別にしたたかな計算がある。

ミゲルの研究者の文献からは、そんな姿が伝わってくる。
つまり、千々石ミゲルは極めて「悩める現代人」に近い感性を持ち、それにふさわしく苦悩の多い一生を送った…という印象がある。

それが今日の「我が友ミゲル」という、カトリック信徒としてはかなり不遜なタイトルを付けたゆえんである。


では、その後の「平成懊悩中年施設団」とは何か?
実はこれから、店子仲間と会って飲むのである。みな、中年で、独身で、身を粉にして働いている男性である。

そこで「天正遣欧少年使節団」にかけて「平成懊悩中年施設団」となったワケです。
…ま、意味ない駄洒落ですね。施設勤めは私だけだし。

どうも、お粗末さまでした。





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