第19話. Finding Dory : ディズニー映画と重いテーマ

2016-10-19 00:44:07 | 気になった映画
湖畔人です。

仕事の関係で、よく飛行機を利用するのですが、その際、よく機内で映画を見ます。洋画、邦画、何でも見ますが、たまにディズニー映画も見たりします。基本、子供向けに作られたものなのでしょうが、中々深い社会性の高いテーマを扱っている点と、レベルの高すぎるその画像のクオリティには毎回驚かされています。日本アニメの手描きも良いとは思いますが、ディズニーのCGの質は正直言って凄すぎます。特に最近見たFinding Doryの海の水面の動き、波の動き、水面の光と影の表現、それと水中に指す光の表現は現実かと見まごう程のリアルさでした。本当に美しかったです。いつまでも日本にはジブリがある何て言っている場合ではない気がします。埋めがたい差が出来てしまったような気がしました。また、取扱うテーマも本当にこれが子供向けなのか?と言う程、重く、難しいテーマを扱っています。ドリーの前に見たズートピアも、肉食動物への潜在的恐怖と偏見が如何に平和的と思われていた草食動物を暴走させるかというテーマでした。それを友を信じる力、自分の可能性を信じる力、不正を許さない正義感で、普通なら勝ち目がないと諦める程大きな権力に立ち向かう、という物語でした。黒人などマイノリテイーへの人種差別、逆に黒人が白人に対し抱く偏見、イスラムへの偏見等、偏見から来る恐怖に揺れるアメリカ社会への一つの答えを示す重いテーマの映画でした。サイドテーマとしては、理想を掲げて都会に夢を抱いて出て来た若者が、現実の退屈さと、純粋な思いをぶつけられないもどかしさから失望し挫折し夢を諦めるが、そこから意義を見出し、リカバリーすると言う姿も描かれており、本当に教訓満載でした。ドリーの方もパッと見のイメージとは違ってテーマは重い記憶障害を持つ障害者のお話でした。自分の親とはぐれたことすら思い出せない深刻な記憶障害の持主であるドリーが、様々な出来事から記憶を少しずつ取り戻し、あり得ないような、無謀過ぎるほどの勇気の行為の連続で奇跡を起こすというスゴイお話しでした。奇跡を起こす根底には、ドリーの人柄の良さ、友達思いの優しさ、ポジティブさ、諦めない心、それがあって初めて成しえた奇跡と言う風に描かれていたように感じました。大変勉強になります。きっと、この映画を見た子供たちの多くは、障害を持つ方々へ思いやりを示せる優しい子に成るのではないかと思います。素晴らしい事です。何時もディズニー映画には、“人類よ、人を信じよ、人に失望するな、愛と勇気だ”と言われているような気がします。(どこかの映画で聞いたセリフです。実は同じメッセージはポケモン映画とドラえもん映画からも感じます。)きっとウォルト・ディズニーさんの精神が連綿と受け継がれているのでしょう。アメリカの偉大な一面ですね。機会があれば、是非こうしたディズニー映画も観られると良いと思います。大人でも十分楽しめますし、考えさせられますし、感動もします。何より画像が綺麗です。

そう言えば、あの美しい映像は、Pixarの制作でしたね。あのSteve Jobsの遺産の一つです。Jobsは、彼の近くにいた社員など多くの方々の証言によれば、面倒くさく、暴君のようで、できれば顔も観たくないような、そんな嫌われた存在だったようですね。でも、人類にとっては、彼の存在は福音であった事は間違いなさそうです。

英雄は距離を置いて眺めるに限ります。

湖畔人