是枝監督作品の「ベイビー・ブローカー」を観ました。第75回カンヌ国際映画
祭に出品し最優秀男優賞とエキュメニカル審査賞の二冠を受賞しました。
赤ちゃんポストに預けた赤ちゃんを連れ去り闇で売買するブローカーの話しです。
是枝監督は2013年に「そして父になる」の作品頃から養子縁組制度や里親制度
の問題に強興味を持ちだす。2007年5月に熊本慈恵病院に赤ちゃんポストが設
置され大きな話題となった。様々な事情で育てられない赤ちゃんを匿名で預けられ
る窓口です。世界にこのポストはあり、韓国では多く預けられています。
映画の背景はこの問題をテーマに子を捨てた母親、ブローカー、それを追う刑事
が複雑に絡み進みます。小さい命(ウソン)を中心に人間ドラマが展開されます。
ブローカーの二人は冷酷な男ではない、ドラマが進行するに連れそれぞれの苦悩す
る過去が次第に見えて来ます。
映画は映像表現です、ファースト・シーンの雨が降る町。観覧車のシーン、雨で
手が濡れるシーン等は魅力的でした。
何故韓国映画なのか、韓国の映画人との交流もあるそうです。いつも同じスタッ
フで作るのも良いが違った環境でまだまだ監督として成長出来るとの事です。
今の日本の映画は世界で評価されていません。中国や韓国映画に劣るとされてい
ます。この作品の様に日本の映画は人間を深く見つめ心の襞を描く事に優れている
のですが昨今は少なくて残念でなりません。
今年の観るべき作品の一つです、是非劇場に足を運びじっくりとスクリーンを見つめ
て下さい。