もっとましな嘘をついてくれ ータイ歌謡の日々ー

タイ歌謡について書いたり、うそをついたり、関係ないことを言ったりします。

アメリカに、行きたいかぁ~!?

2023年02月12日 13時39分06秒 | タイ歌謡
 むかし吉田松陰という男がいて、簡潔に纏めると、幕府に仇なすテロリストたちの指導者で、もっと簡単にひとことで言うなら、ロクデナシだ。
 ペリーの二度目の来航のときには、漁民の舟を盗んで黒船に接触。アメリカに行きたいから連れてって欲しいんだもん、と駄々を捏ねたが拒否されて、おまけに盗んだ舟も流されてしまったため、泣く泣く奉行所に自首。投獄されたのは周知の事実。これだけで判断すると、「かわいそうに。ばかだったのだな。せめて五分でいいから、考えてから行動していたら、もっとマシなことになっていたのに」と思う。誰だって思う。
 ところが最近の説では、ちゃんと準備怠りなかったのでは、というのだ。
 盗んだ舟で漕ぎ出すという、尾崎なんとかの歌詞とは違うのだ。あ、思い出した。尾崎豊だ。尾崎豊なんか聴く奴は、よさこいを踊るような奴だから(決めつけ爆弾)どうでもいい。吉田松陰だ。彼は、なんとかいう弟子と共に黒船を目指したが、徒手空拳で乗り込んだのではない。さすがにそこまでばかではなかった。「こんにちは。何かください」では通らないのだ。手には、一通のメモが握られていた。
 そこに書かれていたのは「Hit who sad arcade eat color,  More marse set you could I say.」という文字だった。
 え? どういう意味だ?
 ちょっとよくわからないな。Googleの自動翻訳にかけると、こうだ。「悲しいアーケードが色を食べるヒット、もっとマルセセットと言えます」
 なるほど。
 ぜんぜんわからん。
 えーっとね。これは音読すると、わかるようになっているのだった。
「ヒット・フー・サッド・アーケード・イート・カラー、モー・マースセット・ユー・クッド・アイ・セイ」
 そう。その通り。これを早口で言うと、「ヒトフサダケデイーカラ、モマセテクダサイ」になる。
 紅毛碧眼の大男に、「ひと房だけでいいから、揉ませてください」と言われたら、そりゃ揉ませる。江戸時代の町娘なら尚更だ。あまりのことに「は、はい!」って頷くに決まってる。隠れキリシタンだったら、もう一方の房も差し出しちゃう。慈愛の心だ。
 言っておくが、セクハラなんて概念のない時代だ。モーマセッテ・クダサーイ。べつの言い方だと、サマーセット・モーム。これでも通じる。月と6ペンスだ。
 よーし、これでペリーはモテモテだ! ひと房揉みたくない男なんて、いないもんな! アリガトー・マイ・フレンド。ユーをアメリカに連れて行ってアゲメース。Take you to U.S.A.そうなるのは間違いない。Give & Takeだ。義父と竹ではない。そういえば竹下さんが首相になったとき、知人のアメリカンが「うははは。Take shitって! グレイトなプライムミニスターだな!」って大喜びしてたが、それはどうでもいい。ペリーだ。ペリーさん、ジャパニーズ・オッパイですよ! もう松蔭、ウッキウキだったんじゃないか。

 まあ、けっきょくメモを差し出しても「なにこれ? 意味わかんねぇ」って話で、松蔭たちは黒船から放逐されちゃったんだけどね。
 さいきんの説、っていうか、さっき思いついた説だから、ホットな考察なのだ。証拠は何もないが確信なら、ある。メモは海にでも流されたかな。でも、状況証拠っていうの? そういうメモを持って乗り込んだのだったら、全ての説明がついて腑に落ちる。非の打ち所というものが、どこにもない。おれ独自の説だぞ、なんて独占するつもりはない。新説ってことで、大いに吹聴してくれてかまわない。
 当時、経済的に日本を侵略するんだったら動きの遅い幕府よりも、薩長土肥のテロリスト共に銃器を宛がい、反乱させるのが効率的だった。ばかだから操りやすいし。武器商人として有能だったのが坂本龍馬で、あの男は、おれの遠縁だと聞いたが、まったく偉人ではない。ロクなもんじゃない。晩年に暗殺されたのも、ユダヤの武器商人の手先なんかやってたらヤバいんじゃないか、と気付いたところで消されてるよね。因果応報だと思う。司馬遼太郎は、ああでも思い込まなきゃやってられなかったんだろうな、ってのはよくわかるが、それに乗っかって夢を見るのはどうなのよ。気持ちはわかるけど。でも、あのとき倒幕が実現できてなかったら、どうなってたんだろう。それはそれでダメな筋書きしか思い浮かばない。
 ペリーが日本に来たときは、アメリカでも南北戦争が始まろうとする頃で、ペリーが帰ったあと数年、米国内はゴタゴタしていた。やがて南北戦争が終結して大量の銃器が余ったのだが、これがまた日本の戊辰戦争と重なり、連合王国のスナイドル銃に続けとばかりに、アメリカも日本の幕府軍と反幕府軍両方にスペンサー銃を売りつける。大河ドラマで綾瀬はるかが演じた山本八重が会津の鶴ヶ城からポンポン生きたひとを撃ってたのがスペンサー銃だ。撃たれるまえに撃て。そういう生活の知恵は、おれと自衛隊にはない。そういえば劇中、八重は「ならぬことは、ならぬものです」と、会津の藩校日新館の「什の掟」を引用して、「これぞ日本の教育」と多くの視聴者が感心したというのだが、これは故・土井たか子の「ダメなものはダメ」と言ってることは同じだ。土井たか子が言うと、「これだから社会党は」とか「だから女は」って言われちゃったんだが、これはやっぱり土井たか子もパンパン銃を撃ちながら言えば、国民も納得したんだろうね。
 まあ、とにかく日本に中古の銃や大砲を売りつけて、武器ってのはカネになるなー、とアメリカが学んだ最初なんじゃないか。第二次世界大戦中の連合国軍への武器貸与は、イギリス相手に200億ドルの賃貸料を免除したりして、武器に関して言えばそれほど儲かってはいないだろうが他で得しているから良いんだろう。代理戦争は自国からの挙兵を抑えて武器を捌けるという、おばあちゃん譲りの知恵が素晴らしい。ていうか非道い。自国の兵が殉職すると高く付くからね。他国民の命なら関係ない。
 
 ところで漠然とアメリカと言ってもいろいろで、国家としてのアメリカはどうかというと、日本が嫌いなんだろうな、ってのは感じる。少なくとも好きではない。植民地であって、美味しくなったら刈り取る場所。これは戦争で負けたからしょうがないことだ。
 アメリカ人のひとりひとりはどうかというと、大方のアメリカンな人々は日本なんかに興味はない。意識の埒外だ。まえにも書いたが、「ああ、日本ならなん度も行ったことがあるぞ。トーキョー、オーサカ、そしてサンガイ(上海のことだった)だ」と言われたことがあって、これでも日本に詳しいほうだ。
 日本に興味のないアメリカ人とは裏腹に、アメリカが好きな日本人は多いと思う。おれみたいに、どっちかというと嫌いだけど、アメリカに対しての知識は、アメリカ人一般の日本に対するそれを遙かに凌駕するって人は少なくないはずだ。
 おれの場合、アメリカの好きなところは、友人がなん人かいて、みなナイスガイだってことと、あとはジャズ。このふたつに尽きる。若い頃は漠然と憧れていたようなところもあったが、じっさいに行ってみると、ぐん、ぐん、とメータの針が値を下げていくのだった。まず、差別されて好感度が急降下する。冷静に考えて、会ったこともない東洋人を好きになる奴は、そういない。だから当然といえば当然だ。それから、ばかが多い。これも考えればあたりまえで、どこの国の人だって半分は平均以下なのだ。白人にばかがいるとかいないとか、おれが考えたことがなかっただけで、勝手に失望されてもアメリカも良い迷惑だ。その他やたらと物騒だとか、食い物の素性が総じて悪いとか、がさつだとか、挙げればキリがない。
 ただ、付き合う人を選べばアメリカも良い所で、頭脳明晰、性格も良好、食い物も旨いし洗練されてる、って旅行もできる。パックツアーで行ってみるとロクな国じゃないってのは、どこの国でもそうだろう。天国みたいなタイだって、パックツアーだとタイの毒が牙を剥いてくるもんね。おれが華人が好きだとか、インド人見てると、なんかホッとするとか言うと、「えー」って言われるんだが、こういうのも、わりと階級的に良い方の人々と知り合いだから言ってることだって認識はある。ダメな人たちは国に関係なくダメだ。
 世間に不満を持つ人というのがいて、なんで世の中ばかばっかりなのだ、と鼻息が荒くなってたりするんだが、「それはねえ、あんたがばかとしか付き合ってないからですよ」と忠告するほど人は親切じゃない。ふうん、って聞いて、それで終わり。だって不満ばっかり言ってる人と友達になって良い事なんてなーんもないからね。ばかが嫌いなら、ばかじゃない人と付き合えばいいだけのことで、ただそういう人たちはばかと付き合いたがらないから、ばかじゃないフリから始めよう。無口だとバレ難い。友達もでき難いけど。

 アメリカだった。今回のタイトルは「アメリカ横断ウルトラクイズ」の合い言葉だと思ったら、正しくは「みんな~! ニューヨークに行きたいかぁ~!?」だったようだ。たしかにニューヨークは良い所だけど、それは金銭と余暇に恵まれていた場合のことだけで、あんな街で忙しくビンボー暮らしだったら悲惨だ。小遣い握りしめて遊びに行くんだったら、そりゃ面白い。
 で、アメリカ横断ウルトラクイズなんだが、バブル期の象徴みたいな番組だったね。
 じつは、いち度参加したことがある。
 ゲイの友人に誘われて、集合場所へ行ってみたら全員知り合いで、十人ほどいたメンバーの半分くらいがゲイだった。友人に「ちょうどいい割合じゃない?」と同意を求めたら、「ちょうど、いい?」と逆質問を喰らった。言われてみればたしかに、ちょうどいいゲイの割合って謎だな。
 おれが誘われたのは、「なんか無駄に物識りだから」ということに尽きた。予選会場は、当時できたばかりの東京ドームで、最初は二者択一問題が続いた。○か×かで左右のエリアに移動するという方式だった。だが、3問目あたりで「そんなこと知るわけあるかよ」って直感だけが頼りの出題に、全員おれの回答に乗っかって失格した。
 ざんねん。
 でも、心から残念がる者は誰もいなくて、「じゃあ◎◎にメシ食いに行こう!」とゲイのリーダーが言い出し、そこでの飲食が楽しかった。ゲイのひとは良い店を知ってるひとが多いよね。
 なるほど。ウルトラクイズは、みんなが集まるダシに使われただけだったのだ。
「ニューヨークには行きたいけど、あの番組で行くのはイヤだよね」って微笑むゲイのひとを見て、(ああ、このひとはマトモなゲイなのだな)と思った。

【OFFICIAL MV】 ฟีลแฟน - บูม สหรัฐ | one31
 ฟีลแฟนっていう曲なんだけどね。これ、英語のFeel fanをタイ文字書きにしただけだ。Feel funではない。英語の、って言ったけどFeel fanなんて英語であんまり言わない。扇風機を感じろ。でなきゃファン(愛好家)を感じろ。ふつう言わない。でもタイだからね。扇風機を感じるのは日常茶飯事って歌、の訳がない。ちなみにFeel fanってのはタイ語発音だと、フィーンフェーンってなる。
 さて、まえにも少し書いたことがあったが、タイ語で恋人のことをแฟน(フェーン)ていうのね。英語のFanからの外来語だ。「このひとのファンなのよ」って意味合いで遣われ出したようだ。もうね、フィーンフェーンって言ってるように、すでに英語ではない。カタカナ英語ならぬタイ文字英語だね。「恋人みたいなかんじ」くらいのニュアンスか。
 リリースが4週間まえ。これで68万回再生だから、まずは順調か。
 で、歌ってる男の子が、บูม สหรัฐ(ブーム・サハラット)っていう名前なんだけど、ふざけてんのかと思ったら、そうじゃないみたいだ。ブームは英語のブームそのまんま。サハラットってのは直訳で「合衆国」。ふつうサハラットといえばアメリカ合衆国のことを指す。つまり「全米で大ブーム」みたいな名前なんだ。そんなのアリかと思ったら、本名がสหรัฐ เทียมปาน(サハラット・ティヤムファン)だって。サハラットが本名かよ。タイにもキラキラネームがあるんだね。わかっているのは2004年3月9日生まれ。バンコク在住。身長 177cm。ホーワン学校マタヨムスクサの6年生というから日本で言う高校3年生。
 この曲がデビュー曲で、やたら「タイ初のスターアイドルポジション」と宣伝してて、何かと思ったらスターアイドルポジションってのはアイドルのコンテスト大会の名前だった。つまり、そういうコンテストの第一回優勝者ってことらしい。歌詞だ。

あなたを愛していると言ったことは いち度もない
これまでの長い間 どれくらいの期間か知っている?

でも 彼女もそう思っているはず
ぼくたち二人とも 空から見て あなたがそこにいることを知っていた

でも 心の準備が必要だ 教えてくれないかな
気持ちのせい それはとても深いよね
一人にしておけなかった あなたに打ち明けたい
あなたがまだ恥ずかしいなら ぼくが先に言おうか

あなたは私の愛 ぼくはあなたに それを伝えたい
毎回一緒に まるで友達じゃないみたい ぼくの目を見て
ぼくだけのもの 誰にも知られず あなたを受け入れられるだろうか
お洒落をしたり 腕を組んだり 嫉妬したり

Baby ときどきこっそり考える Baby oh

Now for me You are my darling.
毎朝モーニングコール
あなたが電話してくる
戸惑っても 用事がある訳じゃないから大丈夫

あなたが映画を見たいと言うから お金を節約しよう
でも 映画をほとんど見ないんだ
あなたの目ばかり見る病気
圧倒されて 夢遊病みたいなぼくを気にしないで

ベイビー ぼくはちょっとひそかに考える
ベイビー あなたはぼくのガールフレンドなの?

ちょっと嫉妬しちゃうんだ

 アメリカに、行きたいか、と訊かれたら、べつに行きたくはない。億劫な気持ちの方が大きい。でも、うちの奥さんはアメリカは良い所だという。きれいだし、楽しいし、英語が通じる、ってのが理由だ。でも、一人じゃ行きたくないそうで、それならおれもそうだ。うちの奥さんと行くんだったらアメリカでもいいか、とは思う。
 うちの美人な奥さんはハワイが好きなようだ。メインランドは物騒だし、時期によっては寒いのがイヤ。わざわざ余所から砂を運び入れたワイキキビーチに感心していた。自然なのも良いけど、作り物とはいえ、ここまで立派なのは素晴らしい、と思っているようだ。
 なるほど、だからディズニーランドも好きなのだな。ウソで固めている世界じゃんか、と嫌っているなら、ドラマもアニメも観ずに川の流れでも眺めていろってことだ。
 考えてみれば、タイ人全員ではないとしても、大方のタイ人はウソについて寛容で、そのウソが不誠実だったり害悪のあるものでない限りはウソを吐く人を糾弾したりしない。まえにも書いたが「あ。ウソ吐いてる。でも折角ウソ吐いてるんだから聞いといてやろうか」くらいのスタンスの人が多い。ましてやハワイの砂や、ディズニーランドのあれこれや、おれの冗談なんかも、害がなく面白ければ受け入れてくれる。ただシンガポールのウソは上からの強制の匂いがするからイヤがる。
 たとえば「เท่ดี(テーディー)」というタイ語があって、意味はそのまんま「カッコよくて良い」なんだが、「ติ๊งต๊องดี(ティントンディー)」は「ばかっぽくて良い」という完全に褒め言葉だ。「ติ๊งต๊อง(ティントン)」単体だと「ばかみたい」で、卑罵語にしかならないが、「ดี(ディー)」が付くことで「ばか」にも「愛すべきばか」みたいな意味になって褒める要素しかなくなる。日本語の「ヘタウマ」とか「マスク美人」みたいなマイナス要素は、どこにもない。
 タイにも自虐的な冗談はあるが、身内を貶めるような発言は、滅多に聞かない。人の悪口を冗談だと思ってるタイ人もいないではないが、非常に少ないし、相手にされない。楽しむということが上手いのがタイ人で、もうこれだけで良いではないか。民度ということを言いたがるのもどうかと思うが、民度ってことならタイ人は高いと思うのだ。
 ただ、その尺度やアプローチの違いはあるかもしれない。むすっと不機嫌そうに黙っている集団と、きゃはは、と楽しそうな集団があったとして、タイ人は「きゃはは」の方を民度が高いと認定する。関係あるのだ。きゃははは、が知性というものなのだ。タイ人には。
 そして、その認定は、ただしい。野球においてダルビッシュってのが有った方がいいと聞いたことがあるのだが、同じように人生においても、きゃははは、は有った方が良い。
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