あの日のできごと

河津のレポの続きとか書いている状況じゃ無いので、河津の続きは後日落ち着いてからにします。

でも、少し落ち着いて来たので3/11の体験談を纏めてみました。

この日はたまたま府中に外出でした。
午前中は会社間を結ぶバスで移動しました。

昼は府中で働いているウルフさんと合流してほぼ月一で開催している社内オフです。

この時点で、この後どんな事が起きるか判っていなかったのでお気楽にセブンさんにイタズラメールしたりしてました。

昼食後、職場に移動して午後の勤務の為に３階の事務所に行ってメールのチェックとか他の作業をこなします。
３時から会議だったので、PCをログオフして席を立とうとした時に縦揺れが始まりました。
かなり長い間に感じた縦揺れの後、とても大きい横揺れが始まりました。
横揺れの時間がどの位あったか分かりませんが、この時の建物内の状況は、防火扉が閉まり、揺れている最中に会議室等のドアが暴れていたりしました。
揺れが収まって、周りの被害が無さそうだったので、とりあえず会議室に向かいます。
会議室がある場所は違う建物だったので、一旦外にでました

すると、同期で府中に転勤しているＡ君に遭遇しました。
「凄い大きい地震で無事に帰れるか心配だね」なんて会話をして別れ、通路を歩くと、工事に入っていたトラックの運転席からラジオの音が聞こえました。
先ほどの地震の速報で震源は宮城県沖でM7.4（だったかな？）とか言っているのを聞いて会議室に向かいました。

その後、会議をしていると再び大きい地震があり、会議室から退避して外で待機しました。
しばらくして再び会議室に戻り、会議を続行します。

会議中に甲府から電話があり、会社は装置が移動してしまったりPCが倒れたりした被害はある様ですが、大きな被害は無かったとのこと。
地震の影響で停電になっていて仕事が続行できないので、退社命令が降りたとの事でした。
出張者は各自判断で帰宅するよう指示がありました。

会議を終えたのが４時ちょっと過ぎ位でした。
既に帰宅指令が出ているので、府中の守衛さんにバスの連絡状況を確認すると、会社間を結ぶバスは運休するとの事でした。
バスで帰れないという事はまずは電車乗るしかありません。
近くの駅まで行くと・・・

地震の影響で安全確認ができるまで運転停止です。

暫く待ったのですが、吹き曝しで余りにも寒いので、大きな駅（甲府方面向きで一番近いのが立川）まで歩きながらホテルに逃げ込む事を考えて歩き始めました。

途中、線路の上の陸橋から、線路の途中で止まった電車が見えました。

歩いている途中、府中ICの近くにホテルがあった事を思い出し、八王子バイパスから府中IC方面に向かって歩きます。
府中ICの近くのホテルにたどりつくと・・・
昔ホテルだったところはラブホテルに変貌していました！！
ラブホテルに一人で一泊もネタになるとも思いましたが、何となく嫌な感じだったので、八王子に向かって歩きます。
府中ICの入り口は渋滞しており、その先頭は・・・

高速道路は通行止めになっていました。
これで高速バスで帰る事もできないのが確定！

仕方がないので道路沿いにホテルが無いか探しながら再び八王子に向けて歩きます。

夕日が綺麗で何事も無かったかの様子でした。

多摩川も何事も無かったかの様に穏やかに流れていました。

道路は渋滞で車の流れが滞りました。
この時、山梨ナンバーの車を見つけてヒッチハイクする事も頭をよぎります。

ここらで持っていたウォークマンでFMラジオが聞ける事を思い出し、聞きながら歩きます。

どうやら都内の電車は全て止まっていて、いまは安全点検中で復旧の見込みは不明だと判りました。

しばらくすると、多摩モノレールが動いています。
近くの駅に行って見ましたが、どうも路線の繋がりが上手く無さそうなので乗るのを止めて再び八王子に向かいます。

どんどん歩いていく途中、線路を越える陸橋で、線路内の点検をしている懐中電灯の光（真ん中の小さい光２つ）が目に入りました。

救急車がサイレンを鳴らしながら近づいてきましたが、渋滞の車列でなかなか進めません。
結局、府中ICで見かけた車は八王子付近まで歩くのと同じスピードで動いていました。

FMラジオでは、JRは今日の運行を取り止めてしまったと流れています。
従って何処かに１泊しなければならないのですが、何処にも泊まる場所が無い！
最悪は野宿です。

途中、交番を見つけたので近くにホテルが無いか聞きましたが、オマワリさんはロクに調べもせずに八王子の駅まで行けば近くにあるとだけ言ってました、こまって聞いているのに調べもしないのはちょっと残念な感じです。

そんなこんなで２時間半くらい歩いて八王子の駅に到着し、近くにあるホテルに行ってみますが、既にどこも満室です。
場合によっては２４時間営業のファミレスやファーストフードのお店に入ろうかとも考えます。
色んな事が起きている状況で途方にくれましたが、八王子駅まで行って情報収集する事にして再び歩きます。

八王子の駅に着くと、やはり帰宅難民になった人々で溢れ、駅員に状況を確認していますが、どうにもならない感じです。
駅で一晩明かして一番早い電車で何とか移動するか？ とか、２４時間営業のお店に入るか？ とか、マンガ喫茶に（多分満杯になっているんだろう）宿泊？ とかいろいろ考えながら駅に設置されているテレビ画面を見ると、被災地ではとんでも無い状況になっていました。
「あれに比べれば何とも無いな」と気を取り直していると、駅員さんから八王子市が避難所を解放してくれるとの事で、準備ができるまでその場に待機するようににとメガホンで呼びかけています。
屋根の下で雨風を防げるのであれば駅に居るよりずっと良い！
という事で待機し、案内に従って徒歩で近くの南多摩高校に移動しました。
案内されたのは柔道＆剣道場です。
既に数回案内されていた様子で、柔らかいマットがひかれている柔道場の方は２／３位埋まっています。

柔らかい場所でなくとも問題無いので、更に進み板敷きの剣道場に入り、適当な場所に座りひとまず休みます。
先ほどまでは動いていたので寒くは無かったのですが、じっとしていると段々腰の辺りから冷えがやってきます。
でも－５℃でバイクに乗っているよりも暖かいし・・・我慢、ガマン！

程なくして、八王子市役所で備蓄していた毛布が配布されました。
が！ 若いお兄さんや元気そうなおじさんが我先に毛布に飛び付く浅ましい光景が！！
小さい子供はいなかったけど、せめて女性や年寄りを優先してあげれば良いのに！！！
ほぼ全員に行き渡ったのを確認して自分の毛布を借りに行きました。
毛布に包まりホッとして横になりました。
ラジオで速報を聞きながら目をつむっていると、今度はゴザの配布です！
毛布で十分暖まったのに更にゴザまで貸してもらえるとは！
もう全然ＯＫな環境です。

でも、やっぱり配布の際は先ほどのような光景で気分がヘコミます。
っと、となりの私より若そうなお兄さんは、ちゃっかりゴザを３枚も独り占めして引いています！
更には、毛布を入れていたダンボールを、引くのかと思いきや横に置いて風避けに使っています！！
こんな奴が居るから本当に困った人が苦労するんだ！ 死んじゃって欲しい！！
今夜一晩のお隣だから良いけど、本当に被災してずっと居る事になったら１秒でそいつに切れているだろうな！！！

気が付くと、剣道場の床も人で覆われて新たに入る余地は無くなっていました。
その後、ゴザを引き毛布にくるまり横になってじっとしていましたが、序々に冷えがやってきました。
でも先ほどよりもよっぽど暖かいので幸せです♪

暫くうつらウツラしていると、再び毛布を配布して頂き、一人２枚まで使える事になりました。
配布に辺り、３度目の嫌な光景を見て、ほぼ最後に自分の毛布を借りてさっき寒かった場所を補強し、今度は完璧な状態で寝る事ができます♪
ふとさっきの横のお兄さんを見ると・・・
何と毛布を３枚使っている！
馬鹿かこいつは！
こんなやつ本当に死ねば良いのに！！
血行に悪いので、その後は毛布が積んであるんだと自分の中で決めました。

夜中にトイレに２回ほど行き、度々くる余震と緊急地震のメールで目が覚め、さらにさっきの馬鹿のイビキで余り寝る事も出来ず、起きる度にラジオを付けて状況を確認します。すると明け方のラジオでＪＲが７時頃に動き出す予定だと放送していました。

４時過ぎには本当に目が覚めてしまったので、毛布に包まって座って時間が過ぎるのを待ち、７時ちょっと前に、市役所の方が７時にＪＲが動きだすので避難所を閉鎖（復旧）したいと連絡がありました。

素早く毛布等を片付けて避難所から出ます。

避難所を出る際、朝食代わりに非常食の乾パンを１つ頂きました。

お世話になった格技場入り口です。

南多摩高校を後にして目の前のコンビニに入ると・・・
お弁当、おにぎり、パンは既にもぬけの空でしたのでペットボトルのコーヒーと空腹を満たす為にチョコレートを購入して駅に向かいます。

駅に行く途中、人の通りはまばらです。

駅の改札に行くと、相変わらずの人混みです！
どうやら７時から動き出すと言われていた電車は動いていず、何時に動き出すのかすら判らない様子です。

でも、ここまで来たら待つしかないので切符を購入してホームで待つ事にしました。

ホームに入り日なたで放心していましたが、何時までたってもラジオから流れてくる情報では、他の私電は動いていてＪＲも都心部は動いているが中央線は気配もない状況です。

ん？

私電は動いている？

って事は？ 京王線は動いているって言ってた？

高尾まで行けるじゃん♪

高尾に行けば中央線の各駅折り返しがあるかも？

改札に戻り、払い戻しができる事を確認して払い戻ししてもらい、京王八王子駅に移動します。

京王線は間引き運転＆各駅のみですが比較的スムーズに混雑無しで移動できました。

高尾駅について暫く待つと、昨日会社間のバスに一緒に乗っていたＨ先輩が居ました。
昨日から今までのお互いの状況を話しながら電車が来るのを待ちました。
程なくして、待望の甲府行きの列車カイジ号が『八王子から』やって来ました♪
そうです、素直に八王子で待っていれば同じ列車に乗れていたんです！
まあ、とにかくカイジに乗車する事ができ、動き出した列車は大月駅まで各駅停車でそれ以降は通常通りの特急運転で突き進みます♪
大月までの区間は駅の間の距離が長いので思ったよりも早く走り、あっという間に自宅に最寄の石和温泉駅に到着しました。
途中、メールで嫁に迎えに来てもらったので石和温泉駅で待つ時間は殆ど無く無事に帰宅できました。

そうそう、石和温泉駅で改札を出たところ、前日の地震の直後に会ったＡ君がやはり迎えを待っていました。
彼も同じ電車かと思ったら、その前に各駅列車が高尾から出ていてそっちに乗って来たとの事で、各駅電車は本当にゆっくり走りほんの１０分位前に到着したとの事でした。

この日は帰宅した後、家周りの点検をしてちょっと所要を済ませ、夜はスポ小の卒団祝いの食事会で会社に置きっ放しなバイクの救出には行けませんでした。
翌日、嫁が外出するついでに会社に送ってもらいました。

バイクは無事でちゃんと立っていてくれました♪

今回の出張で思いがけず悲惨かつ未曾有な巨大地震に遭い、期せずしてごく短期間ではあるものの避難所生活を体験してしまいましたが、この経験で被災者の極ほんの一部ですらないであろうこの経験から想像しても、その想像すら絶するであろうと思われる苦労を考えるに、『当たり前な生活ができる事がどんなに幸せであるか』という事を実感しました。

また、翌日の新聞を見て帰宅難民になった方が甲府側にも居て、その方々は甲府市あるいは山梨県からの援助を受けられなかった事実が記事になっていました。
私が受けた八王子市の援助が非常に有り難かった反面、山梨県の公共団体からの対応が無かった事が非常に残念で、援助が受けられなかった方々に対して山梨県人として申し訳ない気持ちで一杯です。

また、被災した方々の苦労と今後を思うと、どんな言葉も言葉にする事が表面上の言葉に過ぎないと感じてしまい、被災者の気持ちはどの様な言葉でも表現できそうにもありません。
しかし、それでも元気を出して前向きに生きる事が大切だと思います。
私には言葉にはできないし、私たちが応援できる事は小さい事しかできないかもしれませんが、自分の体験を元に何か援助・応援できる事があれば、地道にまずは身近な小さいことからやって行きたいと思います。