桜花爛漫の候、多くの新入生や新社会人が夢に向かって羽ばたかれたことと思います。
しばらく投稿をお休みさせていただいていましたが、、賞罰審査委員会の意見具申と3月議会の成り行きを見守らせてもらっていました。
まずは、三木市職員賞罰審査委員会の開催結果についてです。
11月18日に開催された三木市幹部の慰労会の2次会に民間人2人(利害関係者とされる)が参加していた事が
判明し、(1)そこに同席していた教育長と部長6名の懲会事案について、(2)2次会後飲酒運転現行犯で逮捕さ
れた理事兼企画管理部長の懲会事案について、そして(3)現行の三木市の懲会基準(飲酒運転は一律懲戒免職)が
現在の社会情勢に合致したものであるかどうかを賞罰審査委員会が審査されました。
懲罰審査委員会から意見具申(3月2日付けでが提出されました)
審査事項(1)については
理事兼企画管理部長、市民ふれあい部長、健康福祉部長、まちづくり部長、教育長については民間人が利害
関係者に該当し、理事兼企画管理部長以外の各部長、教育長の各行為は三木市職員倫理条例施行規則で原則禁止
されている「利害関係者との飲食」に該当し、「戒告」の処分とするのが相当である(理事は(2)項で)。
なお、豊かなくらし部参与、豊かなくらし部長については民間人は利害関係者に該当せず、「厳重注意」と
「訓告」が相当としている。
審査事項(2)については
理事の酒気帯び運転は、道路交通法第117条の2第23号、第65条第1項、同法施行令第44条の3に
違反する犯罪行為であり、地方公務員法第29条第1項第3号(全体の奉仕者たるにふさわしくない非行)に抵
触する。
また、理事が本件2次会で利害関係者と飲食した行為は、同法29条第1項第1号(地方公共団体の条例、
規則、規定に違反した場合)に抵触する。
そこで、処分の種類,程度について
三木市懲戒処分の基準において、酒気帯び運転の標準的な懲戒処分は「免職」と定められ、「利害関係者と
共に飲食した場合」の標準的な懲戒処分は、「戒告」と定められている。
平成18年に、現行の酒気帯び運転は一律免職と改正された趣旨に照らすと、酒気帯び運転に対しては一般
的に厳罰をもって臨むべきであるが、懲戒処分の指針では、懲戒処分の種類及び程度の決定は、①非違行為の
動機、態様及び結果、②故意又は過失の度合い、③非違行為を行った職員の職責及び職責と非違行為との関係、
④他の職員及び社会に与える影響、⑤日常の勤務態度及び非違行為の前後における態度を総合的に考慮して判
断されるとしており(本件指針第2号)、本件指針は、酒気帯び運転を行えばその他具体的な事情を一切考慮する
ことなく画一的、自動的に免職とするものではない。
そこで、理事に対する処分については、理事が酒気帯び運転により交通事故を惹き起こして第三者に被害を
与えた事実もなく、具体的に危険な走行をしたとも認められず、アルコールの量は0.15mgと最下限の水準で、
酒気帯び運転という非行類型の中では悪質さの程度は低い方と評価するのが相当である。しかしながら、飲酒
後わずか二時間足らずでアルコールが抜け消えるものではなく、酔いがさめたと勘違いしたと言っているもの
の、それをもって直ちに故意が完全に拭い去られるものでもない。
また理事は、倫理監督者を率先して指導する立場にあり、その職責を果たすことなく自ら違反したことは、
他の職員に与える影響は計り知れず、市民の信頼を大きく損ねたと言わなければならない。
そして、理事は35年間の長きにわたって三木市職員として特段の非違行為をすることなく真面目に勤務し
てきた。
以上のことから、本件指針の6項目を総合的に判断すると直ちに「免職」より軽い処分と判断することはで
きない。
しかし、地方公務員法第29条の懲戒処分は公平原則に適うものでなければならないと解されるところ、各地
の自治体で、酒気帯び運転を理由に職員を懲戒免職処分にしたことの是非が訴訟において争われ、懲戒免職処分
は違法であると認定された裁判例が相次ぎ、神戸市、加西市では酒気帯び運転を理由とする懲戒免職処分が違法
であると判断された裁判例が存在する。
上記裁判例の傾向からすると、仮に、本件において理事に対して標準的な懲戒処分である「免職処分」をした
場合には、裁判で争われたときには、違法と判断される可能性が高いと思われる。
よって、理事に対しては、標準的な懲会処分である「免職」より一段軽い「停職」とすべきで、期間については、標準的な懲戒処分が免職であり、酒気帯び運転のほかに利害関係者との飲食行為の非違行為、理事という職
責に鑑みて、停職のうち最も重い「停職6か月」とすべきである。
なお、本件酒気帯び運転に加えて利害関係者との飲食行為という非行も認められるが、その標準的な処分は懲
戒処分中もっとも軽い「戒告」に留まるとされ、処分を荷重するに足りる事由とまでは評価し得ない。
審査事項(3)については
酒気帯び運転を一律「免職」とする本件指針が平成18年改正されたのは、当時公務員の飲酒運転による悲
惨な交通事故が相次ぎ、公務員の飲酒運転の厳罰化の流れが加速したことを受けてのものだが、当時三木市と同
様に酒気帯び運転の懲戒基準を厳罰化した自治体の内、加西市や神戸市は、現在、交通事故を伴わない酒気帯び
運転の基準を「免職、停職」と定め、交通事故を伴わない酒気帯び運転の基準を一律免職とするのは三木市の他
2市のみである。
また、現在の三木市の指針では、「著しい速度違反(30km)(高速道路40km)等交通法規違反をした場合」
の標準的な懲戒処分は、「停職、減給、戒告」に止まるされており、これに対し、軽微な酒気帯び運転の場合に
も標準的な処分を「免職」とする基準は、非違行為と懲戒処分との均衡を欠くきらいがある。
以上、酒気帯び運転については、事故の有無や非違行為の程度に関わらず一律免職とする現行の本件基準は、
現在の社会情勢に合致せず、公平原則等の趣旨に照らして厳格に過ぎるものと判断されるから、処分基準の見直
しを検討すべきである。
以上が賞罰審査委員会の意見の要旨です。
意見具申に対する感想
審査事項(1)について
利害関係者との飲食については、11月19日の飲酒運転事案発覚当初は伏せられていた。その後、2次会に
民間人2名が同席していた事が判明したが、「部長は民間人の同席を知らずに参加したので倫理条例に抵触しない。」と説明していた。その後、部長への案内メールの存在が判明し、そのメールに参加者としての民間人の
名前が記載されていた事が判明した。
先だって開かれた倫理審査会では、「三木市にとって民間人2名は利害関係者に該当し、メールの存在について、これを開けることなく削除するというのは、不自然で信用し難い。また、店内に入り民間人2名が参加して
いるという認識がありながら、違和感を覚えた者がなく、まさしく倫理観が欠如しているとしか言いようがない
」と指摘している。
そして、三木市の部長会の2次会において、三木市と利害関係にある民間人2名と飲食したことは、三木市倫
理条例施行規則第3条第1項第7号に抵触すると結んでいる。
一方、賞罰審査委員会では、各部長それぞれについて、民間人2名との利害関係について調査し、教育長、部
長の4名(理事については審査事項2)については利害関係があり「戒告」とし、2名の部長には利害関係がないと
して「訓告」「厳重注意」としている。
しかし、今回の事案の場合、それぞれの部長が個別に民間人と飲食をしたのではなく、三木市幹部組織(部長
会)としての行為であるが故に、三木市にとっては民間人2名が利害関係者に該当するという倫理審査会考えの方
が正しいのではと考える。
審査事項(2)について
理事兼企画管理部長の処分についてであるが、
賞罰審査委員会では
1、懲戒処分の基準では飲酒運転は一律「免職」となっているので厳罰をもって臨むべき
2、懲戒処分の指針では、飲酒運転をすればその他具体的な事情を一切考慮することなく、画一的、自動的
に免職とするものではない
3、酔いがさめたと勘違いしたと言っているが、これをもって故意が完全に拭い去られるものでもない
4、理事は倫理監督者を率先して指導する立場にあり、市民の信頼を大きく損ねた
5、理事は35年間職員として特段の非違行為もなく真面目に勤務してきた
と述べ、「本件指針の6項目を総合的に判断すると直ちに免職より軽い処分と判断することはできない。」
としている。
しかし、「各地の自治体で酒気帯び運転したことを理由に職員を懲戒免職処分にしたことの是非が訴訟におい
て争われ、懲戒免職処分は違法であると認定された裁判例が相次いでいる。そこで、本件において理事に免職処
分をすると、裁判で争われた場合に違法と判断される可能性が高い。」とも述べ、
「よって、理事に対しては、標準的な懲会処分の免職より一段軽い停職とすべきで、期間については、酒気帯
び運転、飲食、職責を鑑み、停職のうち一番重い「停職6か月」とすべき。」としている。
以上、いろいろと回り回った考察をされているが、理路がよく理解し難く、要は、現行の標準的な懲戒基
準では免職だが、訴訟を起こされると敗訴する可能性が高いので一段下の停職6か月にしたと理解しました。
この、理事の酒気帯び運転で検挙された懲戒処分は、現行の基準では「免職」となっているが、12月議会で
の「市長等の給与減額について」という資料でも、飲酒運転の懲戒処分を一律免職とした市の裁判例やその後の
基準の見直しを記載し、当初より「免職」を回避したいという思惑があり、賞罰審査委員会でもこの考えが議論
の片隅に存在していたのではと考えるのは私だけでしょうか。
審査事項(3)について
賞罰審査委員会意見書は「平成18年に三木市が飲酒運転の懲戒基準を「一律免職」としたのは、同年公務員
による悲惨な交通事故が相次ぎ、公務員の飲酒運転に対する厳罰化の流れが加速したことを受けてのものである。」と始めている。
飲酒運転についての罰則は、運転者だけでなく、酒を提供したもの、同乗者、飲酒運転することを知りながら
車を提供したもの等にも厳しい罰則が科せられます。
このような厳罰化により、飲酒運転による事故が減っているとは言え、身近なところでも軽い気持ちで運転し
ている人が後を絶たないのが現状です。
まして、社会で率先垂範すべき公務員が飲酒運転したことは重大であり、一律免職と改正したときの発表資料
にも「飲酒運転は犯罪です。」と明記しています。
今回の懲罰審査委員会では「処分基準の見直しを検討されるべき。」と結んでいるが、飲酒運転が根絶して
いない今、何故緩い処分に改正するのかわかりません。もし、処分が不服なものは裁判所に判断を仰げばいい
だけのことです。
また、著しい速度違反(30km以上)等の交通法規違反と、軽微な酒気帯び運転という表現で処分の基準を比較
しているが、飲酒運転に軽微などなく、何かこじつけのような意見に感じました。
以上、三木市職員倫理審査会は第三者機関として責任を果たしていただきましたが、三木市職員賞罰審査委員会については、その設置意義や当局との独立性について疑問に感じるところが多々あったように思います。
懲戒処分の公表と市長等の責任について
以上の賞罰審査委員会の意見を受け、3月4日に懲戒処分が公表され、その内容は審査会の意見に沿ったもので、理事兼企画管理部長には「停職6か月」、教育長、市民ふれあい部長、健康福祉部長、まちづくり部長につ
いては「戒告」、豊かなくらし部長については「訓告」、豊かなくらし部参与については「厳重注意」でした。
市長等の責任や3月議会の事については、またの機会にさせていただきます。
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