キツネノマド

松岡永子
趣味の物書き
(趣味とはなんであるか語ると長くなるので、それはあらためて)

闇色のマント

2014-12-06 06:31:51 | コトリの宮殿
「どのような闇をご所望でしょう」  仕立屋の問いに、闇は闇だろうと思う。真っ暗でなにも見えない、それが闇だ。 穏やかな微笑とともに仕立屋はつづける。 「夜の闇、地下の闇、瞼を閉じると訪れる闇。また、同じ夜の闇でも季節や天候によって闇の色は違います。どのような闇を差しあげましょう」  約束は明日だ。降っても晴れても。夜の闇に紛れて黎明までにすべてを終わらせなくてはならない。 「春浅い新月深更、誰 . . . 本文を読む