行政書士 北東事務所ブログ (入管実務)

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永住者に日本で子どもが生まれた場合について

2011年11月14日 | 入管実務
 永住者に日本で子どもが生まれた場合の手続きです。両親のいずれかが永住者であり、その子どもが“日本で生まれた”場合は、その
子どもに永住者の在留資格が付与されます。
 それでは、次にその手続きを記載します。
 まず、関係機関への手続きの順番は次のとおりです。

 ①市町村役場 → ②地方入国管理局 → ③在日大使館等 → ④在日大使館等 → ⑤地方入国管理局 → ⑥市町村役場

1 出生後30日以内に父又は母などの同居の親族が、出生届(医師から受領した出生証明書が記載されたもの)、父親と母親のそれぞれのパスポート、外国人登録証明書、母子健康手帳を持参して居住する市町村役場に行き、出生届の提出と外国人登録を同時にします。この時は、在留資格はない状態です。両親の外国人登録証明書の裏面には、子どもが出生した事実が記載されます。さらに両親が国民健康保険に加入している場合は、国民健康保険の加入手続きもする必要があります。

2 市町村役場で出生届受理証明書と家族全員が記載された外国人登録原票掲載事項証明書の交付を受け、出生後30日以内に、父又は母は、永住許可申請書、出生届記載事項証明書、申請人と永住者が記載された外国人登録原票記載証明書(原本)を持参して、地方入国管理局に行き、次のサイトのとおり永住許可の申請をします。子ども自身のパスポートは、この時は必要ありません。
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-4.html

3 子どもの国籍のある在日大使館等に行き、子どものパスポ-トの交付手続きをします。

4 3週間前後には(在日大使館等で異なります)、在日大使館等からパスポートを受領し、入国管理局から通知書(はがき)が郵送されれば、再度、子どものパスポートと外国人登録証明書(両面)の写しを持参して入国管理局に行き、パスポートに永住者の証印がされます。この場合、8000円の印紙は不要です。

5 上記4の手続き後14日以内に、パスポートと外国人登録証明書(原本)を持参して市町村役場に行き、子どもの在留資格を永住者に書き換えをする手続きをします。

永住申請時の身元保証人について

2011年11月13日 | 入管実務
 また、過去に次の質問を受けました。

設問2:在留資格である「永住者」を申請する場合には、身元保証人が必要ですが、知人の永住者の方が、嫌がってなってくれません。私には、他に依頼できる日本人や永住者の方もいません。どうしたらよいでしょうか?


回答:やはり、“保証人”という名称があるため、大きな責任を負うかもしれないと誤解されているようですね。それでは、次に、身元保証人について、その要件や責任等を記載しますので、これをプリントアウトして、その永住者の方に説明してください。きっと理解していただいて、保証人になってくれると思いますよ。
 それを見せても、保証人になっていただけないのなら、最寄りの入国管理局にお問い合せください。

 1身元保証人の要件について  
(1) 日本人又は永住者(特別永住者を含む。)であること。  
(2) 次の2の責任を負うことができる収入・資産を有すること。 

 2身元保証人の責任について  
身元保証人は、申請人が法令の遵守を指導したり、何らかの事情で日本での在住を継続できないようになった場合、帰国するまでの滞在費や帰国の旅費を支払う責任があります。
しかし、その責任はあくまでも道義的責任であって、法的責任ではありません。 

3身元保証人が責任を負う可能性について  
上記の2のとおり、保証人の責任は、道義的責任ですのでご心配されることはありません。 

 4身元保証人が用意する書類について
(1) 身元保証書
(2) 身元保証人の在職証明書
(3) 身元保証人の課税証明書
(4) 身元保証人の納税証明書
(5) 身元保証人の住民票の写し、又は外国人登録原票記載事項証明書 

 5その他
身元保証人について、その他ご不明な点ありましたら、弊事務所までお問い合わせください。



                 
行政書士 北東 聡(きたひがし さとし)
事務所名:行政書士 北東事務所
〒547-0015 大阪市平野区長吉長原西1-5-3
TEL:06-7504-9722
携帯:090-8385-7531(SoftBank)

生活保護受給者の定住者申請

2011年11月13日 | 入管実務
 過去に次の質問を受けました。

設問1:中国人の50代女性Bさんは日本人Cさんと結婚して、現在、一年間ビザを得ました。来日半年後、夫が毎日酒を飲むことに耐えられず、離婚したが、続けて日本に住みたいと考えています。この場合、Bさんは合法のビザもらえますか? 現在、Bさんの娘は日本人と結婚し、永住ビザをもっていますが、Bさんのビザに影響ありますか?



回答:婚姻期間が、半年間では「定住者」の在留資格を取得するのは、一般には、困難だと思います。やはり、実態を伴った婚姻期間が一定程度(約3年程度)あり、申請人が日本との関連性が高いと判断される必要があるでしょう。ただし、夫が酒を飲み、Bさんに暴力を振るったことが離婚原因であれば、「定住者」の資格を取得できる可能性はあるかもしれません。 

 さらに、Bさんが、「定住者」への在留資格を取得できるためには、日本で生活ができる収入又は資産が必要です。このことに関連して、日本人の男性と9年前に結婚し、2年前に死別された中国人女性が、「定住者」への在留資格の申請をしたが不許可になったため、今月、弊事務所へ相談に来られました。  

 お話を伺ったところ、結婚当初から夫は生活保護を受けており、相談者は、夫が死亡後も単独で生活保護を受けておられました。生活保護の受給者は、「自己の収入や資産で生活している」とは看做されないため、在留資格を許可されなかったのです。現在、生活保護を受けておられる方は、ご注意ください。  

 次に他の在留資格についてですが、Bさんの学歴や職歴から判断して、「人文知識・国際業務」等の就労資格への変更が可能であれば就職されるとか、さらには、500万円以上を投資することができるのなら、「投資・経営」の在留資格に変更できる場合があります。

 最後に、Bさんの娘さんが持つ「永住者」の在留資格に対しては、Bさんの離婚や在留(資格)は、何の関係もありませんので、ご心配されないように願います。

家族で永住申請することは?

2011年11月07日 | 入管実務
 私のHP「外国人サポートセンター」に投稿した記事です。

設問:私は、日本に在住して10年以上となり、最後の5年間は就労資格で在留していました。3年前に結婚して、一昨年に出産して、現在2歳の子供(家族滞在で、在留期限が2011年3月末)がいます。勤めていた以前の会社を1年前に退職して、今年4月には、別の会社に再就職しました。夫は日本在住が9年で、7年間は就労資格で在留しています。

 また、子供を私の上海の実家に預けており、今年の9月には日本に呼び戻す予定です。

 そこで、私は、永住者の申請を考えているのですが、やはり、私がまず単独で申請して、許可後に夫と子供が申請した方がよいのか、それとも家族全員で申請する方がよいのでしょうか?


回答:まず、お子さんを永住者として申請することができません。申請時には、日本に在住している必要があるからです。ご存じのとおり、永住者として認められるためには、次の要件を満たす必要があります。

(1) 素行が善良であること。

(2) 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。

(3) 申請者の永住が日本国の利益に合すると認められること。

 ここで、上記の(3)の「日本国の利益に合する」とは、非常に抽象的な文言ですから、法務省入国管理局は、次のとおりガイドラインを示しています。

(1) 原則として引き続き10年以上、日本に在留していること。この期間の内、5年以上は就労資格で継続して在留していること。

(2) 最長の在留期間で在留していること。例えば、就労資格で在留していれば、3年の在留期間であること。

(3) 日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。その実子等の場合は、1年以上日本に在留していること。

 貴方が、子供の育児のために退職された1年間については、就労されていませんが、私は、就労しないことに合理的な理由があるため、基準は満たされていると考えます。
 しかし、入国管理局の審査官がどう判断するかは、分かりません。
 また、ご主人は、在留期間を満たされておられませんが、私はお二人で同時に申請されることをお勧めします。と言いますのは、一人分を申請するのも二人分を申請するのも手間はほとんど同じだからです。そして、申請される場合、お二人ともが、能力の高いことをできる限りアピールしてください。それは、「10年、5年」という基準は、あくまでも「日本国の利益」というフレームの範囲内の基準ですから、お二人が日本で永住されることが、日本国の利益に適うことをアピールしていただきたいのです。

 ただし、家族との同時申請には、申請の中心となる方(「本体」という。)について何の問題がない場合でも、家族に不許可事由があるため、本体も併せて不許可になる場合がありますので、御御注意ください。
 
 また、お子さんについては、貴方が永住許可を受けてから申請されればよいでしょう。

在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン(改正)

2011年11月06日 | 入管法関連通達
                                                    法務省入国管理局
                                                    平成20年3月策定
                                                    平成21年3月改正
                                                    平成22年3月改正

 在留資格の変更及び在留期間の更新は,出入国管理及び難民認定法( 以下「入管法」という。)により,法務大臣が適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可することとされており,この相当の理由があるか否かの判断は,専ら法務大臣の自由な裁量に委ねられ,申請者の行おうとする活動,在留の状況,在留の必要性等を総合的に勘案して行っているところ,この判断に当たっては,以下のような事項を考慮します。

 ただし,以下の事項のうち,1の在留資格該当性については,許可する際に必要な要件となります。また,2の上陸許可基準については,原則として適合していることが求められます。3以下の事項については,適当と認める相当の理由があるか否かの判断に当たっての代表的な考慮要素であり,これらの事項にすべて該当する場合であっても,すべての事情を総合的に考慮した結果,変更又は更新を許可しないこともあります。

 なお,社会保険への加入の促進を図るため,平成22(2010)年4月1日から申請時に窓口において保険証の提示を求めることとしています。
(注)保険証を提示できないことで在留資格の変更又は在留期間の更新を不許可とすることはありません。

1 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
  申請人である外国人が行おうとする活動が,入管法別表第一に掲げる在留資格については同表の下欄に掲げる活動,入管法別表第二
 に掲げる在留資格については同表の下欄に掲げる身分又は地位を有する者としての活動であることが必要となります。
2 入管法別表第1の2の表又は4の表に掲げる在留資格の下欄に掲げる活動を行おうとする者については,原則として法務省令で定め
  る上陸許可基準に適合していること
  法務省令で定める上陸許可基準は,外国人が日本に入国する際の上陸審査の基準ですが,在留資格変更及び在留期間更新に当たって
 も,原則として上陸許可基準に適合していることが求められます。
3 素行が不良でないこと
  素行については,善良であることが前提となり,良好でない場合には消極的な要素として評価され,具体的には,退去強制事由に準
 ずるような刑事処分を受けた行為,不法就労をあっせんするなど出入国管理行政上看過することのできない行為を行った場合は,素行
 が不良であると判断されることとなります。
4 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  申請人の生活状況として,日常生活において公共の負担となっておらず,かつ,その有する資産又は技能等から見て将来において安
 定した生活が見込まれること(世帯単位で認められれば足ります。)が求められますが,仮に公共の負担となっている場合であって
 も,在留を認めるべき人道上の理由が認められる場合には,その理由を十分勘案して判断することとなります。
5 雇用・労働条件が適正であること
  我が国で就労している(しようとする)場合には,アルバイトを含めその雇用・労働条件が,労働関係法規に適合していることが必
 要です。
  なお,労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は,通常,申請人である外国人に責はないため,この点を十分
 に勘案して判断することとなります。
6 納税義務を履行していること
  納税の義務がある場合には,当該納税義務を履行していることが求められ,納税義務を履行していない場合には消極的な要素として
 評価されます。例えば,納税義務の不履行により刑を受けている場合は,納税義務を履行していないと判断されます。
  なお,刑を受けていなくても,高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も,悪質なものについては同様に取り扱います。
7 外国人登録法に係る義務を履行していること
  外国人登録は,在留外国人の公正な管理のために行われており,外国人登録法に定める新規登録申請,変更登録申請等の義務を履行
 していることが必要です。