行政書士 北東事務所ブログ (入管実務)

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2人以上の外国人で起業等をする場合における各人の投資額について

2013年10月23日 | 入管実務
 2人以上の外国人が起業したり、既存の会社(事業)に投資して、在留資格を「投資・経営」に在留資格変更許可申請をする場合があります。それらの場合における各人の投資額は、いずれも“相当額”です。
 そして、合算した額が、最低500万円以上が必要です。全体の投資額が500万円の場合は、許可される可能性は極めて低いと推測します。

 次は、この結論に至る過程の中で、考えたことがります。なお、次の第1と第2には、共通した根本的な論点があります。それは、投資・経営などの在留資格を考える際には、まず、在留資格該当性(法律)を考え、次に、上陸許可基準適合性(省令)を考える必要があるというものです。

 つまり、該当性と適合性を並列的に考えやすいですが、あくまでも該当性(法律)の枠内で、適合性(省令)を考えるべきだと思います。


 第1 平成24年3月30日付け法務省入国管理局「在留資格「投資・経営」の基準の明確化(2名以上の外国人が共同で投資し,事業を経営する場合の取扱い)」以前の「入国・在留審査要領」における記述について

 まず、大阪会から頒布された昨年の平成24年2月付け「入国・在留審査要領」(CD-R版)での「投資・経営」について、複数の者が事業をする場合に関連した記述は、次のとおりでした。

  1 「⑤ 共同出資者の取扱い」(第3分冊第12編、31頁)
       数人が一定額を拠出して共同出資している場合には, これらの者全員を「投資・経営」の在留資格の対象とするのでなく, それぞれの行う業務内容について, 事業を経営する者といえるか否かを判断する。

  2 「⑥ 複数の者が事業の経営又は管理に従事している場合」(同上)
       (省略) 事業規模, 業務量, 売上げ, 従業員数等でなければならず, これらから見て事業の経営又は管理に従事すると認められない場合は該当しない。

  3 「⑧ 『本邦で事業の経営を開始して(た)』」(同上, 32頁)
       「本邦で事業の経営を開始して(た)」とは, 本邦において相当額の投資をして活動の基盤を築き, 事業経営を開始する(した)ことをいう。
       なお、相当額とは, 当該事業の遂行が可能となるような投資額であって, 事業所及び立上がりの業務運転資金を支弁し得る程度の額をいい, 投資・経営により在留する外国人1人につき500万円を目途とする。

  上記の3の記載において、「相当額」における「外国人1人につき500万円を目途とする。」の「目途」とは、あくまでも“年間500万円以上の投資”が必要であることから、記述されたものと考えます。

  ただ、上記の1から3までの記述では、数人が一定額を拠出して共同出資する場合の最低投資額は不明です。しかし、3の「相当額」がメルクマールになっていると言えるでhしょう。

  さらに、次の参考に掲げた平成24年3月30日付けで法務省入国管理局が公表した内容は、これまでとは何ら変更はないものと考えます。内容を明解にしたものと理解しています。

(参考) 
  平成24年3月30日付け法務省入国管理局「在留資格『投資・経営』の基準の明確化(2名以上の外国人が共同で投資し,事業を経営する場合の取扱い)」について
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00052.html


 第2 該当性における4類型ごとで、投資額が必要とする審査官の理屈について

    私が所属する入管手続研究会において、A氏が「審査官から入管法別表第1の2における『投資・経営』における在留資格該当性4類型ごとで、500万円の投資額が必要だ。」との見解を聞くと報告がありましたが、別の会員どあるB氏から申請事例をもって、その見解を否定されています。
    ところで、ここで、重要なことは、「なぜ、その審査官がそのような見解を考えたか?」です。私が推測するには、この審査官は、まず始めに、「1人当たり500万円以上の投資が必要だ」から考えて、その上で該当性を判断したからではないでしょうか? 別の言い方をすれば、該当性と適合性を並列的に考えたのではないでしょうか?
    考え方によっては、このような本末転倒した“見解”が生じる恐れがありますので、私たちも注意すべきだと思います。

 以上です。

(参考)
  1 出入国管理及び難民認定法別表1の2
  2 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令
  3 平成12年12月25日付け法務省入国管理局長通達「出入国管理及び難民認定法第七条第1項第2号の基準を定める省令在留資格「投資・経営」の上陸許可基準に係るガイドラインについて」

(参考)
  行政書士 林幹先生のサイト
http://www.officekan.com/category/1244883.html

  4 平成12年12月25日付け法務省入国管理局入国在留課長事務連絡「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の在留資格『投資・経営』の上陸許可基準に係るガイドライン策定の背景及びその運用について」
  5 平成16年2月17日付け法務省入国管理局入国在留課法務専門官事務連絡「在留資格『投資・経営』及び『企業内転勤』の留意点について」
  6 総合規制改革会議の「規制改革の推進に関する第3次答申」に関する在留資
格認定
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan20.html
  7 平成24年3月30日付け法務省入国管理局公表「在留資格『投資・経営』の基準の明確化(2名以上の外国人が共同で投資し,事業を経営する場合の取扱い)」
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00052.html

(追記)
  入国・在留審査要領は、上記の通達文書を適当に切添りして当てはめるため、当てはめる文章の前提を欠落した場合、要領だけでは誤解を生じる場合があります。

入管法で定める省令の技術及び特定活動の在留資格に係る基準の特例を定める件の改正について(意見募集)

2013年10月09日 | 入管実務
 標記はパブコメです。
 次は、改正の概要です。

1 改正の趣旨
 IT技術者の受入れに関しては,上陸の基準を定める省令において,法務大臣が告示で定める試験に合格し又は告示で定める資格を有しているときは,日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることを前提に,当該外国人の学歴又は実務経験年数にかかわらず上陸の基準に適合し得ることとされており,IT告示が,我が国や諸外国の試験・資格を定めているところ,IT技術者に係る我が国の試験と同等の水準にあるものとして,前回改正後に,相互に認証した諸外国の試験を追加等しようとするもの。

2 改正の内容
  今回の告示改正は,IT技術者に係る我が国の試験制度の変更に対応するとともに,新規に相互認証されたタイ及びモンゴルの試験,及び追加認証された中国,フィリピン,ベトナム,ミャンマーの試験を告示に追加し,名称変更があった中国,ベトナムの試験実施機関,平成24年末をもって国家試験としての経過措置が終了した台湾の試験について所要の改正(全部改正)を行うもの。

3 今後の予定
11月下旬,官報掲載,施行


http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300130069&Mode=0

マレーシアとタイ両国民に対するビザ免除について

2013年10月02日 | 入管実務
非常に遅い情報ですが、7月1日からすでに両国は、査証免除となっています。

マレーシア国民に対するビザ免除(一定の要件の下に,継続して3か月を超えない
滞在期間(短期滞在))
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000362.html

タイ国民に対するビザ免除(15日を超えない短期滞在での活動)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000361.html

住民基本台帳カードへの証明発行機能の付加について (大阪府茨木市)

2013年10月01日 | 行政
大阪府茨木市において、本日の10月1日から住民基本台帳カードで印鑑証明書が交付されるようになります。

 茨木市ですから、関係する方は少ないでしょうが、住基カードの多目的利用が計られている情報は重要だと考えましたので、お知らせします。
http://www.city.ibaraki.osaka.jp/kikou/shimin/shimin/menu/todoke/juki/card/syomeihakko.html

短期在留外国人の脱退一時金

2013年10月01日 | 行政
 昨日、永住者の方から厚生年金保険からの脱退について、質問がありました。次の日本年金機構のサイトに解説がありましたので、お知らせします。
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=1728

 このサイトの「POINT 1」 と「POINT 2」が重要ですね。

 原則としては、在留資格を喪失した上での申請となりますが、やむを得ない場合には、「市区町村へ国民年金の資格喪失届を提出した場合に限り、再入国許可の有効期間(みなし再入国許可期間)が経過する前に脱退一時金の請求をするこ
とができます。」と記載されています。

 ここで、「やむを得ない場合」とは、どのような場合なのかが、疑問となります。